名古屋市西区の市立中1年の男子生徒(12)が「いじめが多かった」などと書いた遺書を残して自殺した問題で、市教育委員会は5日、同校の生徒に実施した緊急アンケートの結果、20人が「部活動や学校生活で生徒へのいじめを見た」と回答したと発表した。また57人がいじめを「本人以外から聞いた」と答えており、校内でいじめがあったことが広まっていた。記者会見した市教委は「いじめを把握できなかったことを重く受け止めている」と述べた。

 生徒は卓球部に所属。遺書には「学校や部活でいじめが多かった。部活で弱いなと言われていた。もう耐えられない」などと書かれていた。

 市教委は4日、同校の全生徒約500人を対象に、無記名のアンケート調査を実施。この生徒へのいじめの目撃の有無や、相談を受けたことはないかなどを複数回答で尋ねた。この結果、「直接現場を見た」が20人おり、このうち「冷やかしや、おどし文句などを言われていた」が13人、「仲間外れ、集団による無視」が6人、「物を隠されるなどしていた」が1人いた。男子生徒から直接相談を受けた生徒も3人いた。

 市教委は、弁護士や精神科医らでつくる「いじめ対策検討会議」に調査を依頼する。

 男子生徒は1日夕、西区の市営地下鉄の駅で、ホームの端から線路に飛び込み電車にはねられ死亡した。【三上剛輝】

 ◇勇気出して回答、両親「生徒らに感謝」

 緊急アンケートの調査結果を受け、男子生徒の父親が5日午後記者会見し、回答した生徒に「勇気を振り絞って答えてくれた」と感謝した。20人がいじめを直接目撃したことについて「もっと見た生徒はいたと思う」と話した。

 さらに「犯人捜しは望んでいないが、なぜ、いじめが始まったのか知りたい。まじめで優しい子だった。経緯を明らかにし、犠牲者が出ないような教育をしてほしい」と訴えた。