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彼女が幸せをつかむまでの軌跡

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母の再婚によって、

転校によっていじめを受けた少女が、幸せを掴むまで…

過去に受けた嫌な経験が、なかなか記憶から消えてくれない。忘れたつもりになっていても、フとした瞬間にトラウマとして蘇ってきてしまう……そんな経験はないだろうか。特に、過去の男女関係において経験した嫌な出来事は、記憶の底にこびりつき、その後の恋愛や結婚でも障害になってしまうことがある。

 「この人は前の人とは違うはず」「でもまた上手くいかなかったらどうしよう」過去に負った傷が頭の中で堂々巡りを続けてしまい、怖くてたまらなくなった時、一体どうやって抜け出せばいいのだろうか。

 尾崎衣良のマンガ『セカンドバージン』(小学館)は、そんな過去の恋愛のトラウマから抜け出し、見事に幸せをつかんだ一人の女性の軌跡が描かれている。

 本書の主人公は、小さなオフィス用品メーカーに勤める28歳の木葉。普段、セクハラや下ネタを華麗にかわし、ノリのいいキャラを演じている彼女は、ある日、上司の植木に飲み会で突然プロポーズされる。

 「ルックスは悪くないし、おちゃらけた性格だけど仕事はデキる人だし……」と思い、周りにも乗せられ、おつき合いを決めた木葉だが、彼女は一つ、大きな秘密を抱えていた。

 それは、木葉は実は、高校以来経験がない「セカンドバージン」であるということ。彼氏がいたこともあったけれど、Hができずに別れること数回。

「28にもなってほぼ処女とかドン引きだよ——— え つき合ってたら当然そーゆーことになるよね!? よね!?」

 仕事中は植木とも冷静に対応する木葉だが、実は内心、とても動揺していた。

 そんなある日のこと、木葉がセカンドバージンになった元凶を作った元彼が、なんと取引相手として彼女の前に現れる。実は木葉がこうなってしまったのは、理由があった。

 彼女は高校生の時、母親の再婚で転校することになったのだが、そこでいわゆる
「イジメ」に遭った。母親に相談するも軽く流され、階段から突き落とされたり、バケツの水をかけられたり、とても辛い経験をした。そんな中、「力になる」と木葉の前に現れたのが、元彼の西里だったのだが、実は彼はとんでもない奴だった。木葉の母親が略奪婚であったという噂を聞いて、制裁のつもりで、木葉をいじめていた女子とグルになって、彼女に手をだしたのである。


 大人になった木葉は、元彼の西里と再会して、このままではダメだと心を奮い立たせ、立ち向かうことを決意する。「オマエらの影に怯えてたまるか」と思い、強い目で、冷静に言い返したのだ。西里は木葉に手を上げようとするのだが、その時に上司で恋人の植木が現れ、木葉のピンチを救った。

 その事件以後も、過去の記憶がトラウマになり、セックスと愛情がイコールにならない木葉。植木と結ばれるまでにはずいぶん時間がかかるのだが、植木の優しさや前向きさに触れ、少しずつ心を、彼を、信じることができるようになる。そして、自分をいじめた同級生や、いじめを把握しながら何も行動を起こさなかった自身の母親とも正面から向き合い、一歩一歩進んでいく様子が描かれている。彼女はその度に、いつもまっすぐで頼りがいのある、優しい植木に支えられていた。

 木葉がもう一度、誰かを心から信じてみたいと思ったのは、上司であり恋人である植木がいたからだろう。人は心から誰かを愛し、守りぬこうと思う時、こんなにも強くなれるものかと、筆者は涙ながらに感じた。

 過去の痛みは、なかなか消えない。だが、そんな痛みも一緒に抱えてくれて「大丈夫だから」と言ってくれる人が現れた時、そしてその人を自分も心から守りたいと思った時、人は大きく変われるのかもしれない。木葉がトラウマを乗り越え、幸せをつかむまでの軌跡を、ぜひ本書を読んで確かめてほしい。