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いじめのSOSをつかんでこそ始まるのでは…

生徒の苦悩をすくいとれなかった悲痛な教訓は生かせなかった。

名古屋市立中学1年の男子生徒が今月1日、いじめに苦しんできたことを書き残し、自ら命を絶った。

 学校側はそれまでのアンケートなどで「いじめは把握していない」としていたが、市教育委員会が緊急に校内アンケートをし直したら、20人が生徒へのいじめを見たと答え、57人が本人以外から聞いたという。本人から相談を受けた生徒もいた。

 暗然とする。

 

 今年7月、岩手県矢巾(やはば)町でいじめを受けていた町立中学2年の男子生徒が自殺した。

 やはり学校はいじめをとらえていなかった。生徒は担任と交わすノートにはつらさを訴え、自殺の示唆さえしていたが、情報は教員間で共有されなかったという。

 見落とされたいじめが相当数あるのではないか。文部科学省は、当時全国集計した2014年度いじめ認知件数は信用できないと、異例の調査やり直しを指示した。

 その結果、件数は小中高校などで当初集計より約3万件多い18万8057件に上る。その発表の5日後、名古屋の生徒は命を絶つが、やり直し調査のいじめ件数の中にもこの生徒の被害は入っていない。

 2年前、いじめ防止対策推進法が施行され、各学校は独自に防止方針を定め、校長らを中心に対策組織を備えたことになっている。矢巾も、今回の名古屋も例外ではない。しかし、形はありながら、結果的に機能していない。学校側と子供たちとの間の信頼関係や細心の配慮が大きなポイントになるという指摘もある。

 アンケートでは、今回の名古屋の場合は記名式、市教委のやり直しは無記名だった。記名が率直な回答をためらわせた面はなかったか。

 調査は、いじめに苦しんでいる子供たちが発信する「SOS」を踏み込んでつかみ、救うことにつながらなければ意味がない。今回の全国調査で4割の学校がいじめを「ゼロ」としていることに文科省は首をかしげる。「いじめはどこでも起こりうる」という認識と注意深い観察がなお足りないのではないか。

 一方で、子供たちが主体的にいじめの卑劣さ、被害者の苦しみを感じ取ることが未然防止にもつながる。

 そうした視点で被害者、加害者の役を劇のように演じながら学ぶ「ロールプレー」など、さまざまな取り組みもある。成功例や教訓を、もっと各学校現場で分かち合いたい。

 教員の繁忙と問題の抱え込みや孤立。多数のいじめ認知件数をマイナス評価ととらえる土壌もまだある。いじめ問題への取り組みは、学校教育改革にもかかわるといえよう。