青森県 八戸北高校 報告書1年 遺族、消えぬ怒りと悲しみ
県立八戸北高2年の女子生徒(当時17)が昨年7月に八戸沖で遺体で見つかり、両親がいじめによる自殺の可能性が高いと訴えている問題で、調査した県教委付属の第三者機関「県いじめ防止対策審議会」が報告書を出してから23日で1年となる。だが、遺族の怒りと悲しみは今も消えない。
「遺族に寄り添った調査をしてくれるだろうと期待を持っていましたが、それは大きな間違いでした」
先月21日、女子生徒の母親は東京都内のビルの会議室で、約40人を前に約25分間話した。いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)が、第三者機関(調査・検証委員会)の現状を考えようと開いたシンポジウムだった。
「いじめ以外のことに(死の)原因を当てようとしていると感じられた」
「本人の性格や家族のせいにする想像力を駆使するなら、学校での毎日がどんな状態だったか、なぜそこに向けられないのでしょうか」
娘の死を振り返る時に目に当てていたハンカチを、同審議会の調査について語る時は強く握った。
「委員全員が県教委の人選だった」
「聞き取りで、(女子生徒が)ブログや手紙で希死念慮を訴えているのに、なぜもっと早く病院に連れて行かなかったのかと責められた」
「報告書は学校から提出された調査資料がそのまま反映され、県教委に訴えたが、一度出された報告書は訂正することができないとの返答だった」
調査に対する疑問点を次々と挙げていった。
同審議会は「いじめはあったが、自殺の直接的な原因ではない」と結論付けた。遺族の意向で再調査した知事付属の第三者機関「県青少年健全育成審議会いじめ調査部会」はいじめと自殺に一定の因果関係を認めながら、「自殺に至った直接の原因については判断できなかった」とした。
母親はシンポ後、こう話した。「世間では報告書が出て事件が終わりとされ、誰も責任をとらないまま娘の死が忘れられていく。それが耐えられない」