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カウンセラーが考えるいじめの対策

文部科学省が実施している問題行動調査(いじめや不登校、暴力行為など生徒指導上の問題行動を把握し、対策の参考にするためのもの)の平成26年度分の集計結果が発表されました。

中学生のいじめは減少傾向が見られる中、小学生のいじめの件数は、平成23年度33,124人、平成24年度117,384人、平成25年度118,748人、平成26年度122,721人と増加の一方です。また、いじめを受けた小学生の内、誰にも相談をしていない子は8,914人と約7%にもなります。

いじめが無くなる傾向になく、相談が出来る状況にない子どもがいる現状、私たち大人は何をすべきか?私のカウンセリング経験や子どものお手本であるべき昨今の大人の行動などから見た、未来の大人のために、大人が考えなければならないことについて、整理してみました。

■予防の強化・・・ドラマ「伝説の教師」に見る痛みの理解


松本人志さん、中居正広さんが教師として出演された学園ドラマで、いじめられる側の痛みをいじめる側に理解させるために“いじめの当番制”という機会を作っていました。これは、全員が順番で一人ずついじめられる日を設けられ、一人以外がいじめる側に立場になるというものです。

この方法をそのまま活用というのは、現代の教育環境では難しいかもしれませんが、愛情のある厳しさを持って育てられていない子も増えていたり、怪我の教訓から安全な環境が整いすぎていたり、“痛みを知る機会”が減ってきている昨今、いじめられる人の気持ち、いじめの終わりが見えない恐怖、痛みを理解する教育が重要だと考えます。

■相談の壁の改善・・・“助けて!”と言える環境の確立


文部科学省で提供している「24時間対応のいじめ相談ダイヤル」というものがあります。

24時間いつでもというところで、一つの有効な窓口ではありますが、電話をかけれない状況にある子も少なくないのでは?と考えます。親や兄弟姉妹にも言えない、誰にも聞かれない状態で小学生が電話をかけるのは難しいことです。いきなり見知らぬ人が出る番号に電話をかける、そんな力も残っていない状況もあるのではないでしょうか?学校内の問題の場合、今後を考えたときに先生やスクールカウンセラーに相談出来るのかというところも疑問です。

町には子どもの安全を地域住民で守る「こども110番の家」というのがありますが、近所の相談場所や交番、親戚でもいい、いつでもどんなことでも“助けて”を駆け込める場所や存在、助けの求め方の教育が必要なのではと思います。

また、大手企業などで活用され始めているメンター制度という手法を活用するのも相談窓口の拡大として良策と考えます。これは、相談しづらい面もある直属上司でなく、違う部署の先輩にキャリア形成や人間関係などの相談に乗ってもらってアドバイスを受けるというものです。高校生が小学生の悩み相談を大学生が中学生の悩み相談を受けるという仕組みの構築は、先生や専門家のフォローは必要ですが、“相談しやすさ”という面だけではなく、子育て学習の一環としても有効な手段と考えます。

■問題解決力の強化・・・いじめた側の子も含めたケアと解決事例の共有化


いじめの原因、それは様々です。その多くは、いじめる側が一方的に悪いケースですが、いじめられる側が原因を作るケースもあれば、いじめる側がいじめだと思っていないケースもあります。いじめの原因を聞き、いじめる側(原因によってはいじめられる側も)の反省と謝罪によって、いじめが終わりますが、“いじめる側の子の反省と謝罪“が必ずしも解決にならないケースもあります。

実際に、震災を機にいじめという行為に至ったお子さんもおりました。一軒家からプレハブ住まい、両親を失い叔父叔母に育てられ、駆けずり回れる公園も無くなり、違う町から来た見知らぬ人も同じ町、プレハブにいる状況。急激な環境の変化による抑圧、これを発散すること、気持をコントロールすることが出来ず、発散の手段としていじめに至りました。

このようなケースでは、いじめをすることでバランスが取れていた子に、いじめを注意・禁止をすることだけでは真の解決には至りません。子ども達の将来の視点で考えるといじめを受けた人の心の傷のケアだけでなく、いじめをした側の原因と対策についてもきちんとケアをしなければなりません。

いじめには多種多様の原因がありますが、たくさんの解決事例もあります。どういったケースでどのような解決方法が有効だったか?再発防止と早期発見の視点で、共有化や義務教育へのフィードバックを行う必要があると考えます。

■子育て教育を受ける機会の義務化・・・教育基本法第十条(家庭教育)とは?


教育基本法第十条(家庭教育)を皆さんご存知でしょうか? 条文には以下のように書いてあります。

「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るように努めるものとする」
国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるように努めなければならない。

しかしながら、“子育て”、すなわち健全で幸福な成長を成し遂げるために必要な“発達課題”について義務として教育を受ける機会はありません。義務教育の中、もしくは子どもを産む前の段階で男女とも、子育てについて教育を受ける機会、発達課題に関する理論の学習や演習を通して、学ぶ機会が必要だと考えます。

■抜本的な対策・・・結婚前から考える「いじめ」


親子間のコミュニケーション時間の減少が問題となっている昨今、子どもにとってストローク(自分の行為に対する相手のリアクション)の欠乏が、大人になってうつ病の原因や犯罪の原因になるなど問題行動になることがあります。

「今日、学校でこんなことあってさ・・・」

そんな声にきちんと応える親子の時間、環境作りが予防や早期発見につながる要素と考えますが、それが出来る親になれるのでしょうか?

また、現代の子どもの環境は、小学生から自分の部屋、テレビ、ゲーム、インターネット等、目に入る情報は大人と変わらなくなってきています。いじめの手段も同様です。

そういった環境の中、私たち大人は、子ども達に適切なアドバイスが出来るのでしょうか?いじめる側ではなく、いじめられる側でもなく、いじめの間に入って問題を解決出来る未来の大人を育てられるのでしょうか?

明日が怖い、明後日も怖い・・・ゴールの見えない不安を抱えている子どもは少なくありません。
まずは、大人がその不安、痛みを知る必要があるのでは?と私は思います。