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「いじめ対策」採点! 1位・鹿児島市、2位・仙台市、3位・川崎市

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いじめ問題に取り組むNPO法人「ストップいじめ!ナビ」(荻上チキ代表理事)が、「いじめ防止対策推進法」に基づき各自治体が策定している「いじめ防止基本方針」に実効性があるかを採点した。昨年7月に起きた岩手県矢巾町の中学生のいじめ自殺では、教員らが同法の趣旨を十分に理解せず、同法の規定で設置された学校のいじめ防止対策組織も機能しなかったと指摘された。荻上さんは「第三者の立場でチェックし、自治体や学校に変革を求めたい」と話している。

 

 「ストップいじめ!ナビ」は2012年に設立。弁護士や不登校の問題にかかわる専門家ら約20人で構成されている。いじめに関する調査研究や行政への政策提言などをしており、自治体の基本方針の採点は14年に続き2回目となる。

 同法は小中高校や特別支援学校に、学校独自のいじめ対策を定めた「いじめ防止基本方針」の策定を義務づけている。各学校は自治体が提示する「ひな型」を基に策定しているのが一般的という。このひな型は各自治体の基本方針に沿った内容になっている。

 このため、荻上さんらは自治体の基本方針が法の趣旨に即した実効性のある内容になっているかを評価した。昨年8月18日までに基本方針をホームページで公開した主要25市(おおむね人口50万人以上)を対象に実施。結果は各自治体に送付した。

 ●基準は25項目

 評価基準となる「チェックリスト」は、理念や方針が具体的か▽学校のいじめ防止対策組織に弁護士ら外部人材の参画を義務づけているか▽子どもが直接相談・通報できる窓口を公開しているか▽いじめ情報を教員同士で共有する具体的な手段を明記しているか−−など25項目からなる。項目ごとに採点し、満点は107ポイント。

 その結果、1位は77ポイントの鹿児島市だった。同市は、いじめ行為について「不快に感じるあだ名をつけられ、しつこく言われる」「席を離す、避けるように通る」などと詳細に例示。教員らが判断する際の注意点も「いじめられていても本人が否定する場合があることを踏まえ、子どもの表情や様子をきめ細かく観察する」などと具体的に指摘した。相談窓口である市教育相談室などの電話番号を記載したカードも小中学生全員に配布している。NPOは「非常に読みやすく、読み手を意識している。具体性に富んだ記載からは、いじめ防止に熱心に取り組む姿勢を感じる」と評価した。

 2位は64ポイントの仙台市。心身や財産に大きな被害が生じた疑いがあるなどの「重大事態」について学校が主体となって調査する場合、「学校評議員やPTA役員など学校以外の委員を加えて公平性・中立性の確保に努めた構成にする」とした点などが評価された。

 3位は川崎市で57ポイント。市が学校の評価を行う際は、「いじめの事実が隠蔽(いんぺい)されないように、早期発見や再発防止の取り組みを適正に評価する」などと明記した点が、他の自治体と比較して良かったとした。

 ●具体策に乏しく

 一方、最下位の25位は東京都八王子市で6ポイントにとどまった。教職員同士の情報共有は「組織的に対応する」、相談窓口の設置は「電話・来所によるいじめの通報や相談を受ける体制を整備する」と記載しただけで、基本方針からは具体的な取り組みがうかがえなかったと指摘した。「全体的に法の文言をそのまま引用、または簡易に表現し羅列しただけ」「早急に見直しが行われる必要がある」などと注文も付けた。

 24位は27ポイントの岡山市。基本方針が、いじめだけでなく暴力行為や不登校問題も含めたものになっている点について、「いじめに特化した基本方針の作成が望まれる」と提言。相談窓口の規定がない点なども挙げ、「法の施行に伴い状況を改善していこうとの姿勢が感じられない」と指摘した。

 採点された自治体の担当者に話を聞いた。

 八王子市教委は「法律の施行後、なるべく早く対応しようと基本方針を作ったが、その後に(いじめ防止対策について教育委員会や学校などの責務を定めた)都の条例ができた。条例ができた後に作っていれば、(条例を参考にして)より具体的な内容にできたと思う」と説明。「指摘の通り、具体的な取り組み内容が記載されていない面は確かにある。今年度から保護者代表や弁護士、警察などでつくる『いじめ防止対策推進会議』を設置して組織的に対応するなど、基本方針以外の取り組みも進めている」と強調した。

 岡山市教委の担当者は「いじめは暴力行為や不登校とも関連する部分が多く、一体的に取り組む必要があると考えて基本方針を作った。このため網羅的な内容になったが、必要な項目はカバーしている。今回の結果は一つの意見として尊重したい」と話している。【佐々木洋】


チェックリストの主な項目

 (1)具体的な理念や方針を記載しているか

 (2)基本方針を見直すことを明記しているか

 (3)教委や児童相談所などでつくる協議会とは別に、教委にいじめ対策を行う付属機関を常設しているか

 (4)学校内のいじめ防止対策組織に外部者を入れることを勧めているか

 (5)子どもが直接相談できる窓口を公開しているか

 (6)啓発活動を実施しているか

 (7)いじめ防止に向けた子どもの自主的な取り組みへの支援を明記しているか

 (8)教員間で情報共有するための具体的手段を明記しているか

 (9)学校による隠蔽(いんぺい)を防ぐため、いじめの存在をマイナス評価しないと明記しているか

(10)重大事態に対応する教委や学校の組織に外部専門家を入れると明記しているか