いじめニュース速報@イジ速

いじめ事件 ・イジメ ニュースを発信中!スマホいじめが増加!子供達をいじめから守ろう!

大人になっても続くいじめの後遺症!

f:id:ryoushinn11:20160730212957p:plain

<子ども時代のいじめは後々まで影響を及ぼす。何年もたって「成人いじめ後症候群(APBS)」を発症することもある>

 アメリカの学校でいじめといえば、プロム(卒業記念ダンスパーティー)や生徒会選挙、アメリカンフットボールチームと似たような存在。つまり、自分は直接関わっていなくても、どこかで誰かがやっていることは知っている。

 5年前にホワイトハウスで行われたいじめ防止会議で、バラク・オバマ大統領は「大きな耳と名前のせいで、私もいじめと無縁ではなかった」と語った。「でもいじめはよくあることだから、私たちは見て見ぬふりをすることがある」

 いや、見て見ぬふりはすべきでない。いじめは子供の心身をむしばむことが研究で分かっている。その結果、睡眠障害不登校鬱病自傷、自殺などさまざまな問題が生じる。

【参考記事】サイコパスには犯罪者だけでなく成功者もいる

 被害は子供時代だけにとどまらない。いじめられた経験をきっばり忘れることはできないと、家族療法士でシラキュース大学准教授のエレン・デラーラは指摘する。彼女は18~65歳の800人以上に、いじめの長期的な影響についてインタビューを実施。かつてひどいいじめに遭った人には、大人になって独特な症状が現れるのを見てきた。

 彼女は新著『いじめの傷』で、そうした症状を「成人いじめ後症候群(APBS)」と名付けている。

 デラーラは、インタビューした人のうち3分の1以上がAPBSだと推測。ただしAPBSは診断名ではなく、説明のための表現だと彼女は強調する。精神疾患とは見なしていないのだ。

 アメリカの学生のおよそ3分の1は学校でいじめに遭っているとされる。いじめの種類は仲間外れ、噂話、悪口、身体的危害などだ。サイバーいじめの数は分かりにくい。ほかの形態のいじめよりも新しく、いじめに利用されるテクノロジーが常に変化するからだ。被害者は一匹狼タイプもいれば、友人やライバルから付きまとわれるタイプもいる。

APBSの導火線は長い

 いじめの被害から何年もたって、APBSの人は信頼感や自尊心の欠如に苦しみ、精神的な問題を抱えがちになることが、デラーラの調査で判明した。そうした問題に対処するため、他人の言いなりになる、食べ物やアルコール、ドラッグに依存するといった傾向も見られる。

 APBSは、恐ろしい経験をした人が発症する「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」に似た面もある。APBSもPTSDも継続的な怒りや不安、薬物乱用、自尊心の崩壊、人間関係の問題を招くことがある。

ポジティブな結果を生むことも

違いといえば、APBSの人は突然怒りを爆発させる傾向が少ないこと。「PTSDの人はトラウマを内面化させるので、神経系に影響が及ぶ」と、デラーラは言う。「彼らはつらい経験を思い出すきっかけがあると、危険から身を守らなくてはと感じてすぐに症状が出る」

 

 APBSは導火線がもっと長く、すぐに過剰反応を起こすことはない。彼らは起きた事態についてじっくりと考えるからだ。

 デラーラはもう1つ違いを発見した。APBSでは時に、いじめられた経験がポジティブな結果を生むことがあるようなのだ。彼女がインタビューした人の47%が、自分の経験から内面の強さや自立心といった有益な何かを手に入れたと話した。共感する力を身に付けたり、他人を大事にしたり、何かを成し遂げようと決意した人もいた。

【参考記事】「ジカ熱懸念」で五輪を辞退するゴルファーたちの欺瞞

人格上の欠点ではない

 明るい側面が生まれたのが遺伝的な要素のせいなのか、家族や友人の支えのおかげなのかは分からない。1つ分かっているのはPTSDの人と違って、APBSの人は世界を恐ろしい場所と考えていないことだ。 

 もちろん、いじめは深刻な被害をもたらす。プラスの側面があるからといって、いじめがいいということにはならない。

 デラーラは、APBSという名前を付けることで有効な治療法が見つけられればいいと考えている。ある男性はAPBSという概念のおかげで、自分の反応は正常であり、人格上の欠点ではないことが理解できたと語ったという。彼らは、そうした症状があるのは自分だけではないことに気付いていないのだ。

 デラーラはいじめの長期的な影響や、その治療法について調査を続ける予定だ。

 子供時代のいじめの精神的影響を研究している英ワーウィック大学のディーター・ウォルク教授も、いじめが長期にわたって計り知れない心理的ダメージを残すことがあると指摘する。

 ただし彼は、そうした症状に新たな用語を使うことには積極的でない。「新しい名前を考案することに大きな価値はない」と、彼は言う。それよりもいじめの話題を患者にきちんと持ち出せるよう、医師たちが訓練を受けることのほうが重要と考えているからだ。

 はっきりしているのは、子供時代に受けたいじめを乗り越えた大人もいれば、今も悩む大人もいるということだ。いじめの苦しみがどんな形で現れるかについての研究は始まったばかり。APBSという名前が今後も使われるかどうかにかかわらず、つらい症状を和らげるための研究は、多くの人の役に立つ。