8月25日午前10時ごろ。青森市立浪岡中学校2年生のA子さん(13)が、JR奥羽本線北常盤駅のホームから飛び降り、普通列車にはねられ、帰らぬ人となった。学校内や、LINEグループでのいじめを苦にした”自殺”だった。現場近くに住む男性はこう続ける。

「これまで聞いたことがない列車の汽笛を耳にして、大変なことがあったと、家を飛び出しました。事故は、下り線のホームで起こりました。しかし、彼女が買った切符は上り線の列車。だからはじめは、上り線のホームにいたそうです。わざわざ跨線橋を渡って、反対側のホームまで行ったんです」

まだ13歳だった彼女は、線路に身を投げる寸前まで、迷い、もがき苦しんでいた。

「いまでも信じられません。だって事件の前日は、『東京に何着ていこうかなぁ』とか、『どんなお土産を買ってこようか』、と仲間とにぎやかに話していましたから……」

そう語るのは、A子さんが小学校5 年のときから所属していた、津軽民謡に会わせて踊る「手踊り」チームの関係者。27日には、東京で手踊りの全国大会を控えていた。事件前日の練習も、いつも通り彼女は参加していた。

「帰るときも『へばな(じゃあね)』と笑顔で別れました。明るい性格で、普段は仲間とキャッキャして、先生に”うるせえ!”と注意されるくらいの子だったんです。それでも、人一倍責任感が強くて、教わった振付は、一生懸命覚えてくるし、後輩の小学生たちの面倒をよく見ていました。彼女を慕っていた小学生には、列車の事故で亡くなったとしか説明できません。彼女も全国大会に出ることを楽しみにしていたはずなのに……」

遺書には、『流石にもう耐えられません(中略)もう生きて行けそうにないです。いじめてきたやつら、自分でわかると思います。二度としないでください』とあり、いじめをした生徒数名の名前が記されていた。二度といじめをしないでほしい――A子さんの最期の思いが、遺書にはこめられていた。

本誌は、A子さんの母親に、話を聞いた。憔悴しきった表情で、大粒の涙を流す母親の言葉は、”悲痛”さで溢れていた――。

「遺書をみて、娘にこんな悩みや考えがあったのか、と思いました……。感受性があって、しっかり自分の考えを持っていて……そんな一面は初めて知りました。
いじめられていることは知っていたし、なんとかしようと学校にも相談したけれど、もっとやれることがあったのかもしれません。いまは、まだ整理がつきません。ただ、どうして、どうして……と思うばかりです」

彼女が命を絶つ日に着ていた白地に花柄のスカート、赤と白のスニーカーは、”お気に入り”の服装だったという。

「色白でかわいいし、頭も良かったんです。おじいちゃんが三味線奏者で、彼女は、小さいときから太鼓も上手。地区のイベントに出たこともありました。『手踊り』で全国大会に出場すると、地元の新聞に大きく載ることがあって、目立っていました。いじめについては、先生とも話していたし、挨拶してくれる笑顔は、解決する方向に向かっていたのかなと思っていただけに、悔やんでも悔やみきれません」(前出・手踊り関係者)

いま、浪岡中は、学校内でのいじめの実態について調査中だ。娘を失ったA子さんの父親は、苦悶の表情を浮かべながら本誌にこう強く語った。

「先生がたの対応に不満はありません。納得いくまで調べると言ってくれています。遺書を公開したのは、いじめをなくしたい、というのが娘の願いだからです。子供が命を絶つという現実があることを知ってほしいです」

『いつか来世ででも●が幸せな生活をおくれる人になれるまで、さようなら。また、会おうね』(遺書より)

彼女が遺したメッセージは、あまりに悲しい。