150万円を支払わせても「いじめと認定できない」…
原発事故で横浜市に自主避難してきた生徒がいじめにあい、合計150万円を支払わせていたにもかかわらず、横浜市教育委員会が「いじめと認定することは困難」との判断を下したこのニュース。
150万円という金額がやり取りされたことは間違いのない事実とのことなので、よほど「能動的・自主的に」当該生徒が150万円もの大金を渡していたエビデンスがあるのでしょうか…?そうでもなければ、とうてい一般常識からは想像し難い結論であると言えます。
報道のみで報告書の全文などが読めていないのでなんとも言えないところですが、気になる点としては、10日ほど前に横浜市長がこのようなコメントを出しています。
横浜市側、早期謝罪を検討 林文子市長「つらい思いをさせてしまった」(産経新聞)
にもかかわらず、教育長の下した判断は真逆とも言えるものです。
この背景にあるのは、教育長の独立性です。教育長は首長が任命・議会が承認して就任するものの、その役割から政治的中立性が定められています。行政の長の意向に、必ずしも教育長・教育委員会が従う必要はないというわけです。
とはいえ任命責任は首長にあり、そもそも「大津いじめ事件」などで教育長・教育委員会が適切・迅速な対応ができなかったからこそ、平成27年4月から首長が任命する新教育長に権限を集中する改革が施行されたばかりです。
こうした中で「いじめではなかった」という大胆な判断を下した以上は、相当な理由があったということでしょう。なかったら、教育長以下すべての教育委員会メンバーのクビが飛ぶほどの事態になりかねません。
こうしたことを判断するために、先に行われた制度改革では、会議の議事録作成・公表などを義務付けることも明記されています。
(細かくて恐縮ですが、左下の赤線部分)
となれば、横浜市議および横浜市民の皆さまがまず着手すべきは、「いじめではない」ことを決定した教育委員会の会議録の精査です。場合によっては首長みずからが確認・判断することも必要になるでしょう。
教育委員会改革が施行された直後に起こったこの事態に、新制度がどこまで対応することができるのか。
他自治体の事例ではありますが、私としても今後の行方に着目していきたいと思います。