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いじめのトラウマに悩む被害者に勧めたい!「解決志向アプローチ」

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解決志向アプローチ

今回は、従来の「いじめ解決法」や司法的な枠組みでの考え方とは別に、ソーシャル・ワーク的な発想からのいじめ解決法を考えたいと思います。

いじめの相談者の中には、子供に不登校やひきこもり、非行などの問題行動が起きてから、実は1年も2年も前に大きないじめ被害に遭っていた、という事実に初めて気が付いて愕然とした、といったエピソードを聴くことがあります。また、親御さん自身も、子供や家族との間にある葛藤や学校との関係性で傷つき、精神を病んでしまい、相談が遅れるケースがあります。

相当な時間が経過してから「実は子供が小学4年生のときに、虫やカエルを上級生たちから食べさせられる、ひどいイジメを受けたのです。それを言っても、学校は何もとりあってくれませんでした」と中学2年生の3学期、来年は受験進学という大切な時期を間近にして、ようやく相談に来られることもあります。

既に、その当時の教員もいじめ加害者も学校にはいなくなってしまっています。現在の校長先生にお話のお相手していただいても、堂々巡りでらちがあかない、親としては、怒りだけが込み上げてくる、という相談がありました。

時間が相当経過してから、「実は…」と告白するといった状況は、いじめの問題だけではなく、たとえば犯罪被害にあった場合にもしばしば見られることです。たとえば女子学生の中には、性被害を受け、勇気を出して、支援者と警察に被害届を出したものの、「なぜもっと早く言わなかったの?」という担当官のつぶやきに自分を責めて、さらに精神を病むということも珍しくありませんでした(但し、現在は、女性警官が対応しカウンセリング技法を学び丁寧に対処していることが多い)。

こういった場合、どうやって相談にのり、どのように解決したらいいのかということについて、相談を受ける側、援助者としての姿勢や思考、考え方のフレームが大切になってきます。もう時間が過ぎてしまったので…という、「言わなかった貴方が悪い」という方向では、泣き寝入り状態になり、解決とはいえません。

「いじめから子供を守ろうネットワーク」が行っている「いじめ被害の問題解決方法」では、いじめた側を探し出して事情を聴き、謝罪させる、学校の責任も問う、という方向に行くことになります。そこでは相談者が自分の問題として取り組むために、課題の明確化を図って支援が行われます

一方で、ソーシャル・ワークでは、新しい方向性が示されています。それが、「解決志向アプローチ」と言われるものです。「解決志向アプローチ」は、問題やその原因、改善すべき点を追求するのではなく、解決に役立つリソース=資源(能力、強さ、可能性等)に焦点を当て、それを有効に活用することにあります。事件から時間が経ちすぎてしまった場合は、こちらのアプローチを検討してみて下さい。

「何がいけないか」と考える代わりに、当事者が望む未来を手に入れるためには「何が必要なのか」「どうやればできるのか」を援助者と当事者が一緒に考えて解決を図っていきます。つまり、当事者が自ら持っている具体的な解決イメージを重視し、問題が解決した状態を短期間で実現することに焦点を当てるのです。およそどのような問題も永遠に続くことは無く、どのように深刻に見えても、問題が起きていないときや問題が比較的軽度の状態、すなわち「例外があるということを意識させ、短期間での当事者の自立を支援していきます。

先のカエルのいじめ被害にあったご家族にこう語りかけたことがあります。

  • 今、息子さんはどのような未来を手に入れたいですか。
  • 生物学者になりたいという夢をかなえてあげたいですね。
  • 希望する高校や大学に入学するといいですね。
  • 将来、夢がかなってから、いじめた人を見返すこともできますね。
  • 息子さんはセラピーを受けることができますよ。
  • 今、いじめ被害を語ることは良いことです。

今の学校で、いじめ抑止となり、自分のことだけでなく、他の生徒に役立つことでしょう。

  • でも、どうしても納得いかないときは、過去のことを司法的な手段で訴える方法もありますが、メリットとリスクがあるので、司法の専門家からアドバイスを受けることができます。
  • お父さんと話し合いましょう。
  • お母さん自身もどうしても怒りが収まらないということでしたら、アンガー・コントロール・マネジメント(怒りの感情のコントロール訓練)を受けることができます。

このようなご提案をした結果、息子さんは「大切なことは自分で決める」と言いました。その気持ちを尊重し、息子さんの強みを強化する方針を立てたのです。お母様には、毎週1回約3か月間、アンガー・コントロール・マネジメントを学び、実践する支援を行いました。お母さまが冷静になるにつれ、息子さんの登校も継続し、成績も伸びていきました。

そして、卒業式の後、明るい声で電話をかけてきてくださったのは、なんと校長先生でした。あれほど、毛嫌いされていた校長先生が、お母さんと息子さんといっしょに校門前の卒業式の立て看板の前で自然に写真が撮れたというのです。笑顔で卒業式を迎えたいという希望がかないました、と本当にうれしかったそうです。校長先生は心をくだいておられたのです。

後日、高校に入学した、と息子さんからお手紙が来ました。息子さんは、自分で決めた未来を手に入れ、希望を実現しつつあります。いつの日か、町でいじめをした人物に出会ったとき、彼は被害を受けた恨みを言うかもしれません。けれども、そのとき彼はポジティブ積極的でアサーティブ自己主張するな言い方で語ることでしょう。私はその光景を明確にイメージすることができます。