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学校vsモンスター母

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いじめが原因とされる自殺事件が後を絶たない昨今ですが、「特殊なケース」もあることを知っておいたほうがいいようです。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介されているのは、「我が子の自殺はいじめが原因」として亡き息子が通っていた公立高校を糾弾する母親と、いじめはなかったと主張する学校側の裁判について記された一冊。その衝撃の結末とは?

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福田ますみ・著 新潮社

「学校、いじめ、自殺、裁判」なんてのがキーワードのニュースなんて見たくもないが、マスコミや一部評論家・弁護士・政治家などの好餌であることは間違いない。それと勘違いの支援者たちがいる。福田ますみ『モンスターマザー』を読んだ。長野県の教育史に深刻な傷を残したいじめ自殺事件の全貌を明らかにする、戦慄のノンフィクションである。不登校の高校生・悠太が自殺した。その母親は常軌を逸した執拗な追及で学校の責任を迫り、なんと校長を殺人罪で告訴する。息子を失った気の毒な母を演ずる女・高山さおり、その本性は恐るべきモンスターだった。信じられないレベルの。

悠太がバレー部でいじめられたのが自殺の原因だというさおりの主張を、事実であるかのように報じた記事が「週刊金曜日」に掲載された。「長野県立丸子実業高校のいじめ殺人事件 母親に原因を押しつけて逃げるのが『教育者』か」というセンセーショナルなタイトルで、「子どもへのいじめに気がついたら、あなたはどうするだろうか。しかも学校の対応が不誠実だったら。息子を守ろうと必死だった母親が、その行動力ゆえに変わり者扱いされてしまい、最悪の結果の後でも『原因は家庭』などとデマをながされている。なぜだろうか」というリードがじつにうまい。筆者は著名なルポライター・鎌田慧である。

さおりについたのが高見澤昭治弁護士だ。高見澤はあらゆる手段を用いて学校側、県教委、バレー部を追及しているが、旧知の仲の鎌田にも大々的なキャンペーンの一翼を担わせた。鎌田は高見沢の資料提供と、さおりへの長時間インタビューをもとにこの記事を書いた。原告側のストーリーをそのままルポ風に焼き直した代物だ。鎌田にとっては、生徒や保護者は学校という抑圧組織の被害者なのだ。保護者にも問題がある可能性を頭から排除し、さおりを理解しない学校やマスコミにこそ問題がある、と主張した。彼にとっていじめ自殺は疑いようのない事実だ。彼は二度目のルポでも、いじめがあったと決めつけた。

この事件は「いじめ自殺」事件ではない。いじめはなかった。さおりというモンスターの暴走が悠太君を自殺に追い込んだのだ。さおり側は民事、刑事両方の裁判で全面敗訴した。崩壊寸前だった学校は立ち直った。さおりの毒で暴走した高見澤昭治は相応の罰を受けたが、ミスリードで盛んに煽り立てた人はどう責任をとったか。筆者は鎌田慧に二度手紙で取材を申し込んだがなんの返事もなかったという。

帯の「たった一人の母親が学校を崩壊させた」というのは言い過ぎ。崩壊をくい止めた教師たちの闘いを描いているのであって、崩壊はしてない。「教育現場の『恐るべき現実』に迫る」も微妙。教育現場の問題というより、野放しにされているモンスターのほうが大問題だ。読者はこの本でモンスターの吐き出す毒を体験せざるを得ない。かなりつらい。覚悟して読みましょう。