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なぜ遺族に寄り添った調査がされないのか…「いじめ自殺」

子どもの自殺といじめの関係が疑われる重大事態に直面したとき、なぜ遺族に寄り添った調査がされないのか。学校や教育委員会、そして第三者調査機関の振る舞いが不信を招く事案が相次ぐ。

 例えば、二年前、茨城県取手市の女子中学生が「いじめられたくない」と日記に書き残して自殺した事案では、市教委の無知と事なかれ主義が浮き彫りになった。

 市教委は第三者機関を設ける前に、学校はいじめを確認できなかったとして「重大事態ではない」と議決していた。頭からいじめを否定する姿勢が、遺族の怒りを買ったのは当然だ。

 いじめ防止対策推進法は、いじめが疑われれば重大事態ととらえ、教委や学校の下に組織を設けて調べ、情報を提供するよう定めている。ましてや、遺族は同級生の目撃証言を自力で得てもいた。

 国の指導を受けて、市教委は調査から撤退した。遺族の要望に沿って、県が新たに第三者機関を置く。二度と失敗は許されない。

 誰のために、何のために重大事態を調べるのか。教育行政や第三者機関の側と、遺族ら被害者の側とで、その認識が食い違っていては不毛な結果しか生まない。

 第三者機関の任務は、自殺の背景にいじめがあったとの前提に立ち、事実を解明することだ。「真相を知りたい」と願う遺族の心情に寄り添い、それに誠実に応える調査でなくてはならない。

 そのためにも、遺族が構成員の人選に参加し、加害者側はもとより、教委や学校からの独立性を担保することが重要だ。調査の目的は、あくまで悲劇を繰り返さないための教訓を学ぶことにある。

 自殺に至る過程には、多様な要因が複雑に絡み合っている。だが、家庭環境や個人的発達のありように不用意に踏み込めば、遺族の信頼を失う恐れがある。

 一年前、青森市の女子中学生が自殺した事案では、市教委の第三者機関がまとめかけた結論に遺族が反発し、棚上げ状態に陥った。

 いじめは自殺の直接の引き金とは言い切れず、思春期うつだったとされたからだ。これでは自己責任に帰するに等しい。

 第三者機関には、いじめとは無関係の領域を子細に分析する権限はあるのか。また、なぜその必要性があるのか疑問が拭えない。相手の刑事、民事の責任を追及するための調査ではないはずだ。

 いじめがなければ、死なずにすんだかもしれない。その切実な問いへの答えこそが望まれている。