いじめと新学期

罰ゲームは「私」に話しかけること。十年前、暗くて人と接するのが苦手な私は、学校で浮いていた。嫌がらせもあった。新学期はもちろん嫌だった。

　福島で東日本大震災の被災者に話を聞き、苦しい現状を知った。避難のため一時地元の福島を離れる際、クラスメートは「どうせ県外へ行くんでしょ」と無視。転校した学校では「放射能がつく」と言われ孤立した。県外に避難中、自宅に浄水器をつけていただけで「ここに放射能、ないって」と近隣住民に非難された。被災したショックに二重三重の苦しみが襲った。

　その一方で、募金や保養キャンプなど、善意の輪も確かにあることも知った。急によぎった十年前のこと。人付き合いは相変わらず得意ではないが、記者になって三回目の秋がきた。