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いじめ体験を絵本に

自身の体験をもとにした絵本を通じ、いじめと自殺防止を訴える寺井広樹さん=神戸市内

結婚式ならぬ「離婚式」や、泣いて気持ちを軽くする「涙活」など独創的なイベントを企画する寺井広樹さん(37)=神戸市灘区出身=が、自身のいじめ体験を盛り込んだ絵本「『おに』と名づけられた、ぼく」を出版した。寺井さんの原案をもとに、音楽ユニット「TM NETWORK(ネットワーク)」の木根尚登さんが執筆。併せて歌も制作し、10日の「世界自殺予防デー」を前に「人と違っていることはやがて立派な個性になる。今はつらくても、人生を諦めないで」と訴える。

 絵本は、学校でいじめられている「おに」という名前の小学生の男の子が、死のうとしたとき、名前に込められた親の思いに気付いて…という物語。

 寺井さんは21歳まで神戸で暮らした。高校2年生のとき、突然いじめが始まった。無視され、水筒に絵の具を入れられたこともあった。トイレや生物室で、独り弁当を食べ「毎日が、死ぬか生きるか。先生も『いじめられる側にも問題がある』と、見て見ぬふりだった」と振り返る。

 生きている価値はない、と自殺も頭をよぎった。そんなとき、修学旅行先で開けた弁当に「お母さんだけはあなたの味方よ」と書いた、母親からのカードが入っていた。「恥ずかしいし、心配を掛けまいと黙っていたけれど、親は気付いていた」。思わず涙がこぼれ「生きよう」と決めたという。

 それから20年が過ぎ、少しずつ過去と向き合えるようになった。昨年7月、歌を通じていじめや自殺を防ぐ活動を続けてきた木根さんと意気投合し、自分の体験を役に立てようと、絵本と歌を作ることになった。絵はイラストレーターの「もずねこ」さんが担当した。

 歌は寺井さんが作詞し、木根さんが作曲。タイトルは「ともしび」で「逃げることは恥ずかしいことじゃない」などのメッセージを込めた。今後、木根さんと子ども向けイベントや出前授業なども企画しており、寺井さんは「誰もが誰かの宝物。周囲の人も傍観者にならないで」と話している。

 AB判、32ページ、1620円。(広畑千春)

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■「ともしび」(歌詞の抜粋)

学校のトイレで食べたお昼ごはん

おふくろの味がした

情けなくて消えてしまいたいと思った

遠い日の思い出

(中略)

逃げることは恥ずかしいことじゃない

もう頑張らなくていいよ

君が弱いからいじめられるわけじゃない

ゆれる ともしび まもっていこう