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いじめ・差別を乗り越え56回の手術全記録

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youtu.be

 

米国ユタ州のケイティ・ウィッカーさん(21歳)は「トリーチャー・コリンズ症候群」の症状を持って誕生した。


■トリーチャー・コリンズ症候群

 ケイティさんは出生時に5万人に1人の割合で生まれてくるトリーチャー・コリンズ症候群と診断され、呼吸を助けるために気管切開を受けた。新生児の時のケイティさんは泣き声が誰にも聞こえないほどかすかで、両親はわが子の様子を確かめるために顔を見つめていなければならなかったという。

ケイティさんの気道には問題があり、言語療法士が手話をコミュニケーションの方法とすることを勧めたこともあり、一家で手話を学んだ。

 しかし言語療法士の予測に反し、彼女は気管切開チューブ用のバルブを操作する事で話せるようになった。ケイティさんは5歳になると話し出すと止まらないくらい、とても話好きになったという。


■終わりなき手術――56回もの手術

 会話が可能になったケイティさんだが、彼女の顔は成長しても骨が正しく形成されずゆがんでいた。そのため彼女は、自分の腰骨と肋骨を使ってあごを修復する手術などを今までに56回受けてきた。

 最近では十分な栄養素摂取のために、彼女の閉じた鼻孔を開く手術を受けた。またほかにも多くの過酷な手術を受け続けてきたのだ。

 例えば、母親の子宮内で作られるはずの顔の形成に必要な骨が彼女には生まれつき不足していたので、医師は新しい骨を作るために彼女の顎骨を切って、顎の伸延をしなければならなかった。

そのため彼女は8週間もの間、針金で口を縛って閉じたまま過ごす必要があった。そして手術を行った今でも顎に損傷を起こす可能性のあるリンゴ、ステーキなどの硬いものを食べないように注意する必要がある。


■いじめ、そして人々からの心無い言葉

 ケイティさんの学校生活は、いじめによって苦難の連続だったと話す。しかし彼女はいじめをする子どもたちを勉強で打ち負かすことで、自分には知性があるということを知らしめたという。

 また現在ケイティさんはスキー場で働いているが、人々の中には彼女のことを「低能」と呼んだり、知的障害のある人に話しかけるようにゆっくり話す人がいるという。そして人々の中には無視する必要があるほど残酷な人々や、自分の言葉で彼女を傷つけていることに気づかない人たちもいる。

「君はバカだからここで働くべきでないよ」とケイティさんにわざわざ言いに来た人もいて、彼女はその言葉には本当に深く傷ついたと語る。

「人は私の容姿が他の人々と違っているので、精神面も“違う”のだろうと考えています。でも私は常に『それは間違いだ』と指摘しています」(ケイティさん)


■人々への呼びかけ

 ケイティさんは下段の動画で、「私のことを外見で決めつけないで」と呼びかける。彼女の顔が一般と違うために、人々は先入観を持つ。ケイティさんを外で見かけると子どもは彼女の顔について質問したがるが、親はそれを止めようとする。しかし正直なところケイティさんはじろじろ見られたりするよりも、直接話しかけられる方が良いと話す。

ケイティさんは自分の外見は完璧ではないかもしれないが、自分は知的能力がある普通の人間だと訴える。そして、「私はこの顔を持って生まれてきました。私の骨は変形していますが、話せて、見て、匂いを感じられます。問題は単に顔の骨だけなのです」と語る。

 そしてもっと普通の生活を送りたいと思ってはいるが、呼吸し、食べ、話すことができるなら自分を幸運だと思うときっぱりと言う。「私は人々が持つ偏見と先入観の問題を世の中に広く知らせて、たとえ問題が何であっても必ず乗り越えられることを伝えていきたいと思います」と話した。

 ケイティさんの闘志は並大抵ではない。普通の人だったら、1回で弱音を吐きそうなつらい手術を何と56回も乗り越えてきたのだ。その闘志で彼女はきっと今後、世間の先入観を打ち破っていくだろう。