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友人の死といじめ被害

「多くの人に助けてもらい、感謝している」と話す豊橋市杉山町の中神紗弥さん(19)は、今月の誕生日で成人を迎える。中学の頃に無二の親友を事故で失い、いじめを受けて不登校にもなった。傷心の中で、母やフリースクールの教師から愛情を受けて自立。過去と真摯(しんし)に向き合い、成人の日には晴れ着姿で母や恩師に成長した姿を披露する。

 ■友人の死といじめ被害
 「いろいろあったが20歳まで成長してくれて、うれしく感じる」と話すのは、母の由佳さん(47)。長女である紗弥さんの振り袖を着付けしながら、我が子の成長ぶりに目を細める。

 中学1年のころ、静岡県浜名湖での課外授業で、親友の西野花菜さん(当時12)の乗ったボートが転覆。紗弥さんは、学校に戻った後で花菜さんの訃報を知る。「当時は何が何だか分からず、涙も出なかった」と振り返る。

 「いつも一緒だった」という花菜さんの死は、次第に心へ影を落としていった。海や湖を見ると体が震えた。何げない日常生活の中で、2度と親友とは会えない現実に打ちひしがれた。喪失感に襲われる中で、2年生のころにはいじめに遭う。理由もなく悪口や陰口の対象となり、制服のスカーフは捨てられ、石を投げつけられるなどして不登校となった。

 「学校に行くのが怖い」という中神さんに、母の由佳さんは「無理に行かなくてもいい」と理解を示し、フリースクール「ゆずりは学園」(田原市)への入学を勧める。同学園の沓名和子学園長は「しばらくは、全く笑顔を見せなかった」と当時の紗弥さんの様子を語る。

 しばらく見守り続けた沓名学園長は、「あなたの人生を歩むべき」と声をかける。学園には、同じような境遇の児童生徒が通学していた。互いの事情を語り合わずとも、さりげない会話の中で級友たちの優しさが心に染みた。

 徐々に心を解かしていき、学園の行事で海に入って事故以来の恐怖心を克服。2016年に学園を卒業し、現在は映画館で働く生活を送る。「当時はおびえてばかりで、自分から行動することがなかった。ひとりで抱え込まずに、信頼できる人に悩みを打ち明けることも大事」と苦悩と向き合う若者にメッセージを送る。

 ■母のように
 7日には、学園で開かれる「もうひとつの成人式」に振り袖姿で参加し、恩師や級友に成長した姿を報告するつもりだ。「花菜ちゃんは心の中にいる。一緒に成人を迎える感覚」と明るく前向きに語る。

 20歳となり「お母さんのように優しい大人の女性になりたい」と母にまなざしを向ける。振り袖の着付けは、元美容師の由佳さんが行い、手際良く晴れ姿を整える。まな娘と目は合わさず、少し照れながら「とても似合っている」と静かに節目を祝った。