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SNSによる「いじめ相談」、効果はあるか?

ijime20180115

子供のSNS利用というと悪い面ばかりがフォーカスされがちですが、そのSNSがいじめから子供を救う強力なアイテムとなってくれるかもしれません。今回の無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、SNSを利用したいじめ相談の運用が始まった長野県と滋賀県の現状を報告するとともに、「いじめ減少の大きな足がかりとなるために求められていること」についても記しています。

SNSによるいじめ相談 全国展開へ

すでに、このメルマガでも何度かとり上げましたが、文部科学省の「いじめ防止対策協議会」では、SNSを活用したいじめなどの相談体制について、検討が進められています。スマートフォンスマホ)の普及で、子供たちの用いるコミュニケーション手段において、SNSが圧倒的な割合を占めることから、電話だけでなくSNSを活用して子供たちからの相談を受ける体制が模索されています。

そして、昨年12月、文科省は、SNSで相談を受ける事業の導入経費として、2017年度補正予算案に2億円を盛り込むこととしました。SNS相談は、当初は、2018年の4月以降に開始する予定でしたが、昨年10月、座間市SNSを悪用した殺人事件が起きたことで、前倒しされました。今後、参加する自治体や教育委員会を募り、全国20カ所程度で事業を始める、と報道されています。今年度中に着手されるもので、まさに、SNS相談元年といえる年になりそうです。

現在、各地での取り組みも進んでいます。

長野県では試験的に、昨年9月に2週間、LINEでの相談を受けつけました。10人の相談体制で、県内の約12万人の中学生・高校生を対象としました。なんと1,579件のアクセスがあり、547件の相談に対応しました。前年度1年間の子供たちからの電話相談は259件でしたので、たった2週間で1年間の2倍以上の相談に対処したことになります。

相談の内訳は、「交友関係・性格の悩み」119件、「恋愛」83件、「学業・進学」48件、「いじめ」については45件、「不登校」は3件の相談があり、数人からは「自殺したいなどの相談もあったと報道されています。電話相談と比べて、恋愛学業の悩みなど相談内容が多様化しており、身近な相談ツールとして認識されたのでは、との推測もされています。この結果をふまえ、長野県では、さらに検証するために、今年の入学シーズン、最大で60日程度相談窓口を開設して、本格的な導入に向けて検証を深めたいとしています。

滋賀県大津市では、昨年11月から、1人の相談員が対応する体制で、試験運用を始めました。市内中学生の3割にあたる3中学校の約2,500人を対象に、LINEでいじめの相談を受け付けました。12月22日までの約2か月間に68人が登録し、13人から23件の相談があり、いじめの相談は6件でした。前述した長野県の相談件数にくらべて、少なく見えますが、長野県は高校生も含んでいるのに、大津市では中学生のみを対象にした違いが出ていると言えます。中学生のスマホの普及率51.7%を勘案するとほぼ同程度になります。大津市は、今年1月からは、市内の全中学校18校の9062人に対象を広げるとしています。

さらに、大阪府も今年1月8日から2月2日までの期間限定で、試行実施すると報道されています。府立高校10校の1・2年生を対象に、LINEを活用した教育相談を、週2回行います。名古屋市教育委員会も、LINEなどを使い子供たちからいじめ相談を受け付ける事業を、来年度にも始める方針を示しています。

SNS相談は、子供たちにとって身近な相談方法です。ただ、学校などで、SNS相談を強調すると、「スマホがないと相談できないんだ」と思い込む子も多いと思いますし、スマホを欲しい子供たちには、スマホを買う良い口実を与えることにもなります。ですが、子供のスマホ所持はLINEいじめやスマホ依存など、その弊害が問題となっています。また、多くの小学生は、まだスマホを持っていません。したがって、ことさらSNS相談を強調するのではなく、電話相談メール相談なども一緒に伝えることが大切です。

もう一点述べておきますが、いじめの相談は、1回のやり取りだけで解決できるような事案はほとんどありません。何度も、何度もやり取りすることは避けられません。また、相談員が直接、学校や教育委員会に連絡することも必要になります。SNSによる相談であってもここは変わりません。今後、本格化するSNSによる相談システムも、「解決するまで関わるんだという強い姿勢を忘れないでいただきたいと思います。

今後も試行錯誤はあると思いますが、全国で展開されていくSNS相談に注目していきたいと思います。