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死亡届出した元消防士 「いじめ」が人生変えた?

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茨城県警取手署は3月28日、有印私文書偽造・同行使と電磁的公正証書原本不実記録未遂の疑いで、守谷市の41歳の無職男を逮捕した。男が死亡届に書いたのは、自分の名前、住所だった。元々はまじめな消防士だったという。なぜ自分の存在を抹殺するような書類を書いたのか。男の足跡を追うと、内気でまじめな男が転落したある「事情」が浮かび上がった。

 1月23日午後9時ごろ、茨城県守谷市の庁舎の非常用出入口で「すみません」と男が声をかけた。警備員が事情を聞くと、身内が亡くなったといい、男は死亡届を差し出した。だが、妙に空欄が目立つその書類に当直の職員は不審を抱いた。市は直ちに取手署に報告、同署が捜査を進めていたところ、男が振り込め詐欺に関与していたことが分かった。同署は3月28日、別の県の県警に逮捕された男の身柄の移送を受けた。同署は、なぜ自分の死亡届の提出したのかについて調べを進めているが、動機に関して公式な発表はない。

 4月初旬、守谷市内の男の実家を訪ねた。表札の名前は消えていた。吸いかけのたばこを手に、一戸建てのガレージにたたずんでいた父親に声をかけた。

男が警察沙汰になったのは、初めてではなかった。平成20年2月、取手市の消防署から消防服を盗み出し、消防署員を装って、同県龍ケ崎市コンビニエンスストアで「巡回に来ました」と言って、店の奥に侵入。現金9万円を盗んだ窃盗の容疑で茨城県警つくば中央署に逮捕されていた。

 父親は深くしわが刻まれた顔をしかめてこう言った。

 「あいつには本当に迷惑をかけられっぱなしで…。でも息子ですから」

 人生を変えた「いじめ」

 父親によると、男は高校時代は野球部で活躍し、守谷市近辺の念願の消防士になった。ところが就職して数年経つと、様子が変わってきた。

 「ある朝、息子が泣いたんですよ。『もう消防署に行きたくない。死んでしまいたい』と」。

 事情を聞いた親に、男はいじめを受けていると告白した。元来、まじめだが内気で、人と積極的に関わるタイプではなかった。消防署に入って、地元出身で採用された先輩から排他的な扱いを受けていたという。

 男は20代のはじめに結婚し、子供もいた。親と同居していた。

 「消防を辞めて以来、月に1回ほど、精神科に行って薬をもらっていたんです。対人恐怖症になってしまったようで、消防署に行きたくても吐き気がすると言って…」

男が勤務していた消防の総務課では、取材に「日ごろから消防や同僚の悪口を言うことが多く、次第に周囲から孤立していったのは事実だ。ただ、こちらとしてはいじめと認識していない。欠勤が多く、依願退職した。特に非行があったわけではない」と答えた。

 消防を辞めてからは、コンビニやレンタカー会社でアルバイトなどをした。どの仕事も長続きしなかった。現在は離婚し、妻子とも別居した。

 今年2月、心配する父に男は「IT企業に就職が決まりそうなんだ」と答えた。東京・神田に本社があるのだという。

 「おまえ、パソコンちょっといじれる程度なのに、ITなんて大丈夫なのか?」

 そう聞く父に男は笑うばかりだった。ところが、数日後にやってきたのは、茨城県警とは別の関東地方の警察の捜査2課員だった。

男は実名で口座を開設した上、振り込め詐欺の受け子をしていたというのだ。

 「消防を辞めて、すっかり変わってしまった」とつぶやく父。トヨタレクサスを愛知県の自動車販売店から買ったということで2千万円の請求書が回ってきて、それを父親が肩代わりしたこともあった。サラリーマンを定年退職した父はその一件で、守谷市の今の場所とは別の所にあった持ち家を手放してしまった。

 取手署によると、男は守谷市役所に自分の死亡届を出した事件については容疑を認め、調べにも応じているという。

 「前の事件では法廷にも行って『仕事をしろ』と陳述したが、今回は面会にも行きません。もう立ち直るのはあいつ次第だから…」 タバコは根元まで燃え尽きていた。悲しそうにそう言うと、父親は目を落とした。