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10歳の少女がいじめを苦に遺書

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これまで数々のいじめ問題を解決してきたメルマガ『伝説の探偵』の著者で、現役探偵でもある阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。今回は遺書を書いていた小学5年生の娘に気づきいじめの事実を知った保護者からの連絡を受け、その現場へと向かいます。なぜ少女は自殺を考えるまでに追いつめられたのでしょうか。

仲間はずれのダメージと遺書

概要・経緯

保護者から連絡を受けたのは、小学5年生の女子児童が遺書を書いていたところを見つけていじめの事実を知ったからであった。

いじめは仲良しグループ5人の中で起きていた。

被害児童Aさんは、いつもの会話についていけないことを感じ、それは自分をいた4人が一緒に遊んでいて、自分だけが誘われていないということを認知した。

そこで、4人の中で最も仲の良いB子さんにそれとなく話をすると、B子さんは、4人で回されていた手紙の一部をもらった。

そこには、「Aちゃんはゼッタイにさそわないもし聞かれたら家の用事で遊べないという」とあった。

Aさんはそれにショックを受け、次の日、どう顔を合わせていいか分からず、保護者にお腹が痛いと嘘をついて学校を休んだ。

その日は何もなかったが、AさんはB子さんが他の友達に話をして謝ってくれると期待していた。もしくは、担任の先生に話し注意してくれるはずだと思っていた。

ところが何も起きなかった

その翌日も学校を休んだが、今度はB子がやってきて母親に「お知らせのプリント」や「授業のプリント」を手渡し、そのまま帰って行った。

その日の夜、 Aさんは泣きながら遺書を書いているところを心配して部屋に入った姉と父親に見つかって家族会議となり、私のところに連絡が入ったというのが、連絡までの経緯である。

対応

その翌日、担任へ朝一で報告をして対処するようにしてもらうということをアドバイスし、私は訪問して状況を整理することにした。

多くの場合、このような状況に至った場合、当事者からの聞き取りを行い情報を整理する必要が担任教員にはあるが、被害当事者が学校を休んでいる場合は、保護者からの情報提供を受ける形となりやすい。少なくとも最も早い日程で担任は家庭訪問をして本人と話をしようとするものだが、この担任の場合、学区内のでの様々な役割があり、訪問の予定はすぐに組まなかった

そうすると、4対1の意見を聞くことになり、声の小さな1の声は保護者といえど当事者でない以上、人伝ての意見ということになることから、多くのケースで、加害者保護の立場を取りやすくなってしまう。

そこで、私が状況を整理して、わかりやすい報告項目を作ることで、それを回避すると同時に、学校側の出方を見極めて、介入するかしないかと決めることにした。

学校の意見担任教員

  • 4人から話を聞いたが、その手紙は遊びの一環で、悪気はないようです。
  • とても反省しているので、指導をして帰宅させました。

担任はいじめを否定しつつも事実として手紙が頻繁にやりとりされていたことを認めた。

いじめの定義上、これは、「一定の人間関係」「なんらかの加害行為」「被害側の心身の苦痛」の3つの条件が整い、いじめとなる。

しかも、被害児童自体が遺書を書くほど追い詰められていたということから、早急に支援が必要な事案と判断するのが普通だが、この教員は、いじめ対応をしないという方針であった。

この状況を受け、この段階ですぐさま証拠を集めておき後に行為否定されても証明できるようにしておく必要性がある。というのも、多くの隠蔽はこの先で起きるからだ。

私はAさん保護者からB子さん保護者への連絡をお願いし、事実をしっかりと伝えてもらった。その上で、B子さんの持っているその他の手紙を閲覧させてもらいたいとお願いした。

初めはやんわりと断っていたB子さん保護者であったが、Aさんに同伴してB子さんと直接話をして協力を要請したところ簡単に許可が出た。

そして、その日の夜の間に資料を整え、私はAさん保護者に付き添って、学校長を訪問し、いじめの対応を行うように話をした。

学校長は担任教員を呼び出し、授業のない3時限目のおよそ1時間ほどを使い、担任を含めて話し合いを持った。担任は、遺書の内容を見て、唖然とし、対応が甘かったことを認めた

また、5人の仲良しグループのリーダー的存在であるCが、担任のことを含め教員らにはこの程度しかできないとバカにしている事実や、Aさんについてはストレスのはけ口でしかなかったことを知り、衝撃を受けていた。

そこで、いじめ防止対策推進法通り、加害者の指導を含めその保護者へも必要な助言などを行い、このような事態が二度と起きないように対策を行うことを約束した。同時に、被害者への支援として、まずはAさんが復帰できるようにクラス内の環境整備と、担任を含めたAさんと関係性がある教職員らが訪問するなどしてAさんに安心してもらうことなどの対策を行うことが決まった。

私が学校長に話したことは2つの質問と1つの確認のみ。

「事実認定については争いがないので、この事実があった場合、学校側が適正に行う対応はすでに開示しているいじめ防止基本指針では何でしょうか?」

「仮にいじめ防止指針通りの対応をしないという場合その根拠は何でしょうか? 保護者の方がきちんと理解できるように具体的に答えてあげてくだい」

「いち教師として、子供が自殺までを考えてしまうところまで追い詰められていた事実を目の前にしたら、それに対応していくことが当然だと思いますが、私の考えは間違っているでしょうか」

証拠と情報の整理が進んでいる場合、とんでもない教師でない限り、この質問と確認をしないまでも、状況を把握すれば、適正如何は別にして、対応をしようとするものだ。

この学校では、それまでの経緯にこそ問題はあるが、介入したことで対応を始めた

4人の相手の内、B子さんとその保護者はすぐにAさん宅に訪問して和解をしたが、それ以外は保護者からの簡単な謝罪の電話のみであった。

AさんはB子さんとグループを抜け、他のクラスメイトらと緩やかな関係を保つということになり、登校をすることになった。

何故そこまでAさんが追い詰められたのか

私はAさんと直接対話をして、彼女が何故そこまで追い詰められたのか考えていた。

小学生など学生は世界観が狭く、学校で孤立することは大人が思う以上に、絶望感がある。その絶望が明確になり、孤立をしたことで、Aさんは強い空虚感を感じた。

ただ、グループのリーダー的存在であったCに、抗議をする勇気もないし、仮に抗議をするにしても、人と争ったことのない大人しい性格のAさんにはどう抗議して良いかわからなかった。

また、その対象はC以外のグループメンバーも同様で、特にB子は助けてくれると期待していた。

ところが、助けはなく、自分以外は楽しい毎日を過ごしていると思うことで、復讐心が芽生え、それが抗議の自殺という方向に向いたのだ。

だから、遺書には、彼女ら一人一人に、「私が何も知らないで、話に入れなかったの、見て、楽しかった? どうして助けようと思わなかったの?」とある。抗議の対象は、直接指示を下した者のみならず、それに従ったり、見て見ぬふりをした相手へも向けられるのだ。

確かにAさんは泣きやすく、大人しい割りに感情がすぐに表情に出るタイプかもしれないし、感受性が悲観的な傾向にあるかもしれない。

しかし、思春期に入ろうとする頃、感受性が高い個性であれば、大人からみれば簡単に死を選択しやすい傾向はあるのではなかろうか。

いじめは大人感覚で軽微だと判断してはならない

人の死は取り戻しができない、リセットもなければ、復活の呪文もないのだ。

後日談として、これはよくあることですが、加害者は反省していませんでした

どんなに指導を受けても、どんなに話をしても響かない子はいます。

もしも、響く話をしたければ、加害者の心情を同じ感覚で感じられる人格を持つ必要が最低限あるでしょう。

今回は死を予感させる始まりでしたが、それはやはり一時の感情であり、その後はその感情を持ったことを本人が強く反省していました。

私からは、それは、あなたを本当に大切に思ってくれている人を苦しめるだけで、あなたが抗議をしたい相手は数日もすれば忘れてしまうし、酷いやつなら、それを武勇伝にしてしまうよ、と伝えました。

死んではなりません、自殺事案はどちらが被害者なのかわからないような判断や対応が学校や教育委員会で行われている事例は多数ありますし、隠蔽がひどいものです。

より強くアンテナをはり、危険な状態の子を一人でも多く救えればと思います。

 

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