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いじめを受けた僕の居場所は俳句… ランドセル俳人は今

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自分をいじめていた同級生と再会した時、あなたならどうしますか? 「ランドセル俳人」として注目された小林凜さんが、その時の思いを言葉にした俳句があります。先生も助けにならなかった孤立無援の教室の記憶。どんな言葉が出てきたのでしょう?

【気持ちを表現する方法について様々な人に話を聞く、連載「表現しよう」。18日まで全6回でお届けします】

  

全部読まなくてもいいです、これだけ覚えておいて

【凜さんのメッセージ@表現しよう】
・その現場から離れることが一番大事
・学校に行き続けることだけが正解じゃない
・「自己流でいい」居場所になるものを始めよう

  

「17文字に、たくさんの考えを盛り込める」

 凜さんは今、高校2年生。俳句に出会ったのは、幼稚園の時でした。

 「五七五という17文字なのに、たくさんの考えを盛り込める。自然や生き物に触れられる。今、思うとそんなところにひかれたんだと思います」

 凜さんが11歳の時に出版した『ランドセル俳人の五・七・五』(ブックマン社)には、日野原重明さんが推薦文を寄せるなど、話題になりました。

  

先生も助けにならなかった

 高校での生活は「すごく楽しい」と言う凜さん。そこにいたるまでには、想像を超える苦しみがありました。

 凜さんは低出生体重児で生まれました。体が小さかったことから、小学校に入った時からいじめられました。

 自主休校していた時、俳句を朝日俳壇に投句し、9歳で初入選します。小学6年の時に出した句集『ランドセル俳人の五・七・五』は異例の売れ行きに。

 中学校は学区外を選びましたが、そこでもいじめは続きます。相談した先生も助けにはなりませんでした。

 ついに「自宅学習」を選びます。

中学校でも続いたいじめ、先生も助けにならなかったという ※写真はイメージです

中学校でも続いたいじめ、先生も助けにならなかったという ※写真はイメージです

出典:https://pixta.jp/

  

「命の危険さえ感じた」

 凜さんが受けたいじめは凄惨(せいさん)なものでした。顔や体が腫れ、祖母が「命の危険さえ感じた」というほど。

 凜さんは、当時を振り返り「その現場から離れること一番大事」と話します。

 「学校に行き続けることだけが正解なのか。大人の考えは本当に正しいのか。不当なものは、はっきり断ることが大事です」

 学校と決別した凜さんでしたが、俳句を通して人間関係が広がりました。

 「本を出したことで、知らない人から声をかけられるようになりました。すれ違いざまに『応援しています』と、近所の人たちがさりげなく見守ってくれている。そんな受け止め方がうれしいです」

凄惨ないじめは「命の危険さえ感じた」というほどだったという ※写真はイメージです

凄惨ないじめは「命の危険さえ感じた」というほどだったという ※写真はイメージです

出典:https://pixta.jp/

  

同級生との再会

 ある日、凜さんは、かつて自分をいじめていた同級生と再会しました。

 同級生の口から出たのは謝罪の言葉でした。

 「今までいじめてごめんなさい」

 凜さんはその時の思いを俳句にします。

《仲直り桜吹雪の奇跡かな》

 なぜ、同級生の謝罪を受け入れることができたのか?

 俳句に出会い自分の言葉を形にしてきたことが、凜さんの自信につながったと言います。

 「謝罪の言葉を聞いた時、驚きとうれしさがこみ上げました。同級生も、きっとどこかで変われたのだと思う。いじめをやめるだけでなく反省までしてくれたことがうれしかった」

かつて自分をいじめていた同級生との再会。その時の思いも俳句にした凜さん

かつて自分をいじめていた同級生との再会。その時の思いも俳句にした凜さん

  

今と違う居場所を作る

 俳句と聞くと、難しい決まりごとや、言葉の知識が必要だと感じるかもしれません。

 でも、凜さんが俳句を始めた時は「まったくの自己流だった」そうです。

 つらい思いをしているなら、それを見つめ直してみる。そのためには、今と違う居場所を作ることが大事です。

 凜さんは俳句という居場所を見つけました。

 もちろん俳句じゃなくても、たくさん、居場所はあります。

 凜さんは7月に新著『生きる: 俳句がうまれる時』(小学館)を出しました。

 新著では俳句とそれを作った時の思いを文章にしたためています。

 「ちょっとわがままを言うと……今回の本を一番手にとってほしいのは10代の若い人たち」と凜さん。

 『生きる: 俳句がうまれる時』には、いじめていた同級生と再会した時の思いも書きました。

 「今までは、いじめられていた自分の経験を告発したり、訴えたりすることが多かった。これからは自分の思いを呼びかけていきたい」