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男女の区別をなくすイギリスの学校

<トイレや制服のジェンダーニュートラル化が進んでいるイギリスの学校。だが疑問や困惑の声も>

イギリスは多民族な国家だ。ダイバーシティーといえば今まで、肌の色や民族、宗教などを指すことが多かったが、この数年に性的少数者LGBTLGBT+、LGBTQと称されることが多い)も含むようになってきた。ジェンダーニュートラルなトイレの登場はそんな背景を反映している。

一昨年には、教育監査局OFSTEDの局長が学校のトイレもこうした時代の変化に対応していかなくては、とコメント。政府が教育の現場での性的少数者の差別解消を奨励するようになって以来、あちこちの学校がトイレのジェンダーニュートラル化に踏み出した。

さらに、変革はトイレにとどまらない。制服にも男女の区別をなくそうと、スカートを廃止したり男子生徒もスカートを履いてよいことにするという学校が現れた

イギリスでは私立公立に関わらず、制服のあるなしや服装コードは学校ごとに決めることができる。この2年間の間に全国で小中高合わせて 120校以上ジェンダーニュートラルな制服に移行、そのうち40のセカンダリー校(11歳から18歳まで)はスカートを廃止した。英インディペンデント紙によると、ロンドンの名門女子校では今年から、生徒がズボンを履いたり男性の名前に変更することを認めたそうだ。

このように思い切った取り組みは、性的少数者を含むマイノリティーの立場向上を目指す人々や活動団体から、ダイバーシティー受容を推進する動きとして高い評価を得ている。もはやこの国が1967年まで、ホモセクシュアリティ無期懲役もあり得る重大な犯罪行為としていた事実などすっかり忘れ去られたかのようだ。同性同士の婚姻も法的に認められているし(北アイルランド以外)、都会の学校でなら、クラスにひとりかふたりは両親ともに同性という家庭の子供がいる。

共用トイレ、スカート廃止への子供たちの反応は......

しかし、子供達はどう反応しているのだろうか。女子生徒からの共用トイレへの評判はいまひとつだ。「男子生徒がいる中で用を足すのはイヤ」「生理中だと知られたくない」などの理由で学校のトイレを使うのを避ける女子が増えた。男子のほうも同様で、小便器を使っているところを女子に見られたくないからと同性の友人を見張りに立てる生徒も。

当然、保護者たちからのクレームが届き、全部のトイレを共用することをやめ一部のみにと変えた学校もあると英デイリーメール紙は伝えている。また、自然に1階のトイレは男子、2階のトイレは女子ばかりが使うなど暗黙の慣習ができたところも多い。

それに、恩恵を受けるはずのトランスジェンダー生徒(体と心の性別が一致しない)や、どちらの性別にも固定しないジェンダーフルイド生徒たちは依然としていじめを恐れている。トイレが共用になったのはお前のせいだ、と言われたりするからだ。これは政府や教育機関の「いじめが減る」という目論見とは逆の結果になっている。

また、彼らはスカートの廃止にも反対だ。特に体は男子でも心は女子、というトランス生徒は、全校生ズボン着用となった共学校で「自分が着たいのはスカートなのに...」と訴えた。かたや女性がズボンを履くことを好まない宗教の信徒家族は、娘を転校させるべきかで悩んでいる。こうして生徒や保護者たちの声を聞いていると、「教育の現場は混乱している」という印象を受ける。

教育研究家のジョアンナ・ウィリアムズ博士は、ジェンダーニュートラルにこだわりすぎることで、子供達が自分のセクシュアリティーについて混乱する危険性を英インディペンデント紙のインタビューの中で訴えている。

この5、6年の間に、性転換手術を希望する未成年の数は10倍近くに増えたそうだ。その中には、真剣に性不一致に悩む子供達に混じって、友達の注目を得ようと「私って本当は男性(女性)だと思う」と言ってみたというケースも。英ミラー紙によれば、相談年齢も6歳くらいまで下がっているという。(注:転換手術を受けられるのは18歳から)

 

ジェンダーニュートラルなトイレや制服が、肌の色、宗教、性的志向、心と体の障害...とお互いの「違い」を認め合って受け入れ、共生できる社会を実現するための一歩であることは確かだ。しかし、マイノリティーが安心して学べる環境を、と一口に言っても、その「マイノリティー」は、男か女かという分け方をやめただけでは到底カバーできないほど、様々な立場を抱えている。学校のような集団生活の場での取り組みは、これからも試行錯誤を経ながら続けられるのだろう。