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いじめ事件を解決する気がない 自称第三者委員会の実態

日本全国あらゆる地域を飛び回り、数々のいじめを解決してきた現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。今回、自身のメルマガ『伝説の探偵』で取り上げているのは、愛知県と名古屋市で発生した2つの「いじめ事件」に共通する、教育委員会が常設した「自称第三者委員会」の問題について。探偵が明かす、いじめを解決しようという気がないとしか思えない名ばかりの「第三者委員会」の実態とは?

1. 名古屋市と愛知県で起きている2つのいじめ事件

愛知県も名古屋市も一緒じゃないかといえば一緒ですが、学校区分で考えると小中は名古屋市、市教育委員会(市教委)となり、高校は県立高については愛知県となり、その管轄は県教育委員会(県教委)となる。教育委員会は独立組織であるから、上下関係はないと考える。だから、本件2件は、市教委、県教委の双方で起きているいじめ事件ということで、名古屋市と愛知県を敢えて分けたわけだ。

この2件は、前回前々回の伝説の探偵に一部を詳しく記した。

2. 名古屋市はいじめ自殺事件、愛知県はいじめ隠蔽のある重大事態発生事件

ハッキリ言って、いじめは時に人の命を奪う

名古屋市では、すでに1つの命が失われているし、愛知県のいじめ重大事態発生事件では、命に関わる極めて危険な被害を県教委や学校部活顧問と校長が発生させている

名古屋市のいじめ自殺については、すでに報道発表もあるが、教育委員会が、いじめを否定し、遺族と軋轢を生じさせた。というのも、この問題では、いじめを否定し難いアンケート結果が得られているのだ。

もはや否定するのは苦しいほど、加害者の氏名や数々の行為が自殺直後のアンケートには記されているのだ。これをどういうわけか、教育委員会はいじめはなかったと結論づけるわけだがその理由は単に無能なのか、いじめを認めることに大きな不都合があったのかの2つが考えられる。

愛知県の件では、学校、加害者、県教委が互いに責任を擦り続けあうというスケープゴートも発生しており、被害者だけが取り残されているし、県教委の指導を理由に、学校は全くいじめの対処をしないこれこそ、学校と県教委による二次被害の発生であり、今は被害者が加害者扱いを受けている状態なのだ。

そして、この2件に共通するものが見出せた。それは、本来は、誰もが信頼を置くであろう存在である。

3. 第三者委員会の存在意義

本件2件には、第三者委員会が関与しているという報告が遺族・被害者になされているが、この第三者委員会とは、教育委員会が常設した、常設第三者委員会なのである。

普通、第三者委員会は各事案ごとに設立され、その公平中立性を保つために、遺族や被害者から意見や推薦を受け、委員に平等性を持たせようとするものだ。

これは、やはり、その存在が中立で公平でなければならないことや、事務方になりやすい教育委員会との関係と差をつけるために行う意味もあり、存在意義としては重要なことだ。

ところが、常設の第三者委員会は任期があり、地域行政の寄せられる多くのいじめ事案を取り扱うことになる。名古屋市も愛知県も6名ほどの委員で構成されているが、驚くことに、名古屋市でも愛知県でも委員に名を連ねる委員も存在する

これでは、いじめ自体は数千件に及ぶほどの数があり、複数の命に関わるいじめ問題を扱うには時間的にも人員的も限りあるであろう。

そして、何より、行政に雇われる形となるこの第三者委員会は、当事者ではないという意味で第三者であっても、利害関係というところに至っては、市や県から独立性を保てるとは到底考えられない。

独立性を担保したいのであれば、やはり常設化することは避けなければならない。

以前、私は東京都教育委員会におけるいじめ自殺問題で発足した第三者員会の存在について、その第三者性を否定し、これを調査委員会と評価したが、組織図としては、教育委員会の下に置かれた委員会であることが明らかになって以降、彼らは第三者委員会と名乗ることはなくなり、調査委員会ですと言うようになった。

4. 常設の第三者委員会は流行っているのか

調べてみると、意外に常設の第三者委員会は、市などの地域行政に広がっている。

遺族の会やいじめ問題でよく意見交換をするNPO法人などにも問い合わせをしたが、常設の第三者とはすでに第三者性を失っており、やはり、組織図を調べる限り、教育委員会直下に発足させた調査委員会に過ぎないと言える。

そもそも、この委員会は調査を行うスキルが低い、こうした調査や資料集めなどは、事務を担当する教育委員会が行うことになっている。

教育委員会のいい加減な調査、いじめはなかったとしたがるバイアスのかかった調査に不満を持ったり、公平性や中立性が保てないと思って、三者委員会を求める遺族や被害者からすれば、一旦は自分たちを否定し、命の重みのカケラすら伝えられない教育委員会に絶望しての話だから、これに教育委員会が深く関わるのであれば、三者のメリットがない実質の調査委員会に何かを委ねるということは、時間と労力と行政の予算、つまりは税金の無駄遣いに他ならない。

が、第三者委員会を自分の行政の配下的存在にできれば、結果すらもコントロールはできる。調査の結果は不都合の連発であるだろう、が、結果すらコントロールできるのであるから、そこに価値を見出したと考える方が妥当だろう。

5. 独立性を担保してこその第三者委員会

体操の宮川選手について、体操協会は第三者委員会を発足し、調査を行うことを決めたというニュースは記憶に新しい。これは塚原夫妻(強化本部長、副会長)によるパワハラについて調べたり、塚原氏らが監督などを務める朝日生命のクラブへ宮川選手を無理に引き抜こうとしたとされる問題についても調べるわけだが、当初発足の第三者委員会に朝日生命関係者がいると言う告発を受け、委員が辞退を表明した。

つまり、その問題について中立公平、フラットな心情を委員が持っていたとしても、三者委員会を務めるにあたっては、利害関係を含め関係性がないと言うことを担保しなければ、三者性を保てないというのが、常識なのだ。

ところが、やはり、教育委員会が常設してしまった自称第三者委員会は、その存在として常設である以上、独立性を公に担保できなくなっている。

6. 名古屋市いじめ自殺問題では委員会運営自体に疑問

名古屋市の事件では、自称第三者委員会はその会議への参加が委員、5名であったり、6名であったりしており、常設の割に委員全員が出席していないことも確認されている。さらに、問題なのは、いじめを否定した教育委員会が事務方を務め、15~20名近くの教育委員会の各部署のメンバーが会議に参加している。そして、議事録についての問い合わせには無言を貫く

もしも、議事録がなければ、委員会を開催していること自体を評価することすらできないというのが、一般的常識的判断ともなろう。

これで、公平中立を謳うのなら、呆れてモノも言えない。

7. 愛知県、県教委は二転三転

愛知県の県教委は、被害者に対して当初はハッキリ、三者委員会が調べているという名目を盾にしていたが、委員会へ資料提供をするなどの際に、あまりに不自然な点が多かったため、質問を繰り返すと、検討委員会をやっています的な発言に変わり、いつのまにか第三者委員会の存在が隠れてしまった。

検討委員会については、そのメンバーについては、弁護士とか臨床心理士、元警察官など役職ばかりの案内しかなく、誰が?が明確になっていない。

つまり、第三者委員会はオバケであり、出るぞ出るぞと言われていただけであるとも評価できる。いじめの被害者からいじめを解消してほしいという要望から、単に逃げるために使われた便利な名簿こそが、愛知県の第三者委員会なのかもしれないのだ。それは、私ではなく、第三者委員会のメンバーこそが教育委員会に物申すべきだろうし、県民は行政をチェックすべきだろう。

8. まとめ

常設の第三者委員会は、その存在、設立の経緯から考察する限り、独立性の担保は確認できない、組織図から考えて、教育委員会直下の組織であり、もはやそれは、「調査委員会」と呼ぶべきなのだ。

そして、この自称三者委員会は、いじめ自殺事件で事実を追求したい遺族やいじめの被害者が、いじめを早く解消してほしいと願う際に、教育委員会によってスケープゴートの対象となって1つの逃げ道になっていた

数多くのいじめ問題に対峙しなければならない教育界がその対応を迅速する目的で、常設委員会を用意して、外部の専門家を招いて意見をもらおうと考えられたことが、この自称第三者委員会の始まりとも言えるのだが、もはや認めてはならない存在に成り下がっていた。

もともと第三者委員会は、良いものもあり、うまく運用されれば、強力な事実解明のチームとなる。そして、一般的には、中立公平なイメージが先行しているため、その結果を受け入れやすい。

だからそのイメージを使い、悪用するような運用をするものは許してはならない。

編集後記

名古屋にお住まいの方、名古屋市では今年、学校でいえば今期、複数件のいじめを原因とした子どもたちが命を落とすという事件が起きています。

ところが、議会ではこうした問題は議題に上がらないそうです、今のところ。

子供たちの命やいじめ問題よりなにより、経済の方が大事なんでしょうか。市議会は。

そんなことより、国学力テストの成績を上げる方に学校も教育委員会も必死なんでしょうか。

私には多くの友人が名古屋にいます。そして、彼らがスゴイいい奴だって知っています。名古屋愛がすごいことも知っています。だからこそ、あえて言いたいのです。

外から直せることや指摘できることもありますが、本当の意味で変わり直すのは、内からです。内から直さないと根本は変わりません

そして、常設の三者委員会とかいうわけのわからん組織は今すぐ解体し本来の形に戻しましょう。苦しむのは、被害者、遺族ばかり、二次的な弱い者いじめの仕組みを許してはなりません。