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[パワハラ防止義務化]に前進

職場でのいじめや嫌がらせといったパワハラ被害の深刻化を受け、厚生労働省が企業に防止策を義務付ける新たな方針を打ち出した。

 これまで手つかずだった対策に法制化の道を開くもので、来年の通常国会への関連法案提出を目指している。

 厚労省労働政策審議会の分科会に示した法改正骨子案のポイントは三つ。

 まずパワハラについて(1)優位性を背景に(2)業務の適正な範囲を超えて(3)身体的・精神的苦痛を与える、または職場環境を害すること-と定義する。

 企業に対しては、就業規則などへの対応方針の明記、相談体制の整備や当事者のプライバシーの保護などを求めていく考えだ。

 取り組みが不十分な場合、労働局が企業に行政指導し、是正勧告もできるようにする。

 日本にはパワハラを規制する法律がないだけに、企業への義務付けは対策の第一歩といえる。

 しかし審議会で労働者側の委員が求めた「パワハラ行為自体の禁止」は骨子案に盛り込まれなかった。セクハラなども含む全ての嫌がらせ行為を包括的に規制する新法の制定も見送られた。前進したとはいえ、内容は不十分である。

 厚労省が企業に課すとした対策の多くは、2007年に「措置義務」が追加された男女雇用機会均等法のセクハラ対策をなぞっている。 

 セクハラ被害が一向になくなっていないことを考えれば、実効性への疑問が拭えない。

    ■    ■

 17年度に全国の労働局などに寄せられた民事上の労働相談は約25万3千件で、うちパワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」が約7万2千件に上った。解雇や賃金などに関する相談を上回り6年連続の最多だ。

 沖縄労働局の相談も同様の傾向を示し、「いじめ・嫌がらせ」が517件で全体の4分の1を占めた。

 厚労省が16年に実施した全国調査で、実に対象者の3人に1人がパワハラを受けたと回答している。人前でののしられたり、1人だけ飲み会に誘われないなど、暴力や暴言、仲間外しといった問題に悩む人が多かった。

 自殺に追い込まれたり、うつ病になったりする深刻なケースも相次いでいる。

 職場でのいじめなどが原因で命を絶った女性の母親が「パワハラは見えない刃物で心を刺す行為だ」と語っていたことがずしりと響く。

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 労働組合側が強い抑止力となる「行為自体の禁止」にこだわるのは、国際労働機関(ILO)が来年にも、ハラスメント規制条約を採択するからである。初の国際基準となる条約はハラスメントを包括的に扱い、禁止規定を盛り込む予定だ。

 加害者本人に刑事罰を科す仕組みのある英国やフランスなどと比べると日本の対応は消極的に映る。

 パワハラは相手の尊厳や人格を傷つける許されない行為だ。働く人を守るため、さらに一歩踏み込んでもらいたい。