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いじめ被害の元生徒、ネット中傷との戦い…

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いじめ被害にあった元男子生徒(16)が、ネットの匿名掲示で誹謗中傷されたとして、発信者の情報開示を求めた裁判で、東京地裁志賀勝裁判長)は2018年12月10日、投稿された内容がプライバシーの侵害に当たるとして、プロバイダ3社に対して情報開示を命じる判決を出した。

提訴した元男子生徒は、埼玉県川口市内の中学校で、2015年の入学当初からいじめに遭っていた。2017年10月ごろ、誰でも見られるネットの匿名掲示板に、学校名入りで元男子生徒のいじめが話題にされるようになり、実名やあだ名がさらされるなど、元男子生徒に対する誹謗中傷が始まったという。

判決により、4件の投稿すべてについて、発信者の情報が明らかになった。今回の判決を「画期的」などと評価する声や、ネットの誹謗中傷やいじめの抑止力になることを期待する声もあがっている。

しかし、どこの誰かも分からない相手から一方的に実名や誹謗中傷する内容を書き込まれた元男子生徒の心の傷ははかりしれない。代理人を務めた荒生祐樹弁護士に話を聞いた。(編集部・吉田緑)

●すべての投稿を開示請求するのは「難しい」

元男子生徒は15年に川口市内の中学に入学して間もなく、サッカー部内で暴行を受けたり、LINEのグループで仲間外れにされたりするなどのいじめに遭い、不登校になった。いじめを苦に自殺を図ったこともあるという。

元男子生徒は母とともに学校に相談し、対応を求めたが、適切な対策が講じられることはなかった。学校が、ようやく「いじめ問題調査委員会」を立ち上げたのは2017年2月。なお、元男子生徒は学校や市教委(川口市教育委員会)が適切な対応を取らなかったなどとして、2018年6月、川口市を相手取り、損害賠償を求めて訴訟を提起している。

いじめに関する元男子生徒の認識と学校側の説明が大きく食い違ったことや、保護者の間でもあらぬ噂が広まったことなどから、2017年10月にはインターネット上の匿名掲示板にスレッドが立ち、元男子生徒を中傷する書き込みが相次ぐようになった。

同じ月の20日、初めての全校保護者会が開かれた直後にスレッドは炎上。発信者が明らかになった4件の投稿は、その中でも特に悪質な書き込みだという。

「投稿から3カ月以上経ってしまうと発信者の情報(通信ログ)が削除されてしまうことが多く、その場合、発信者を特定できなくなってしまう。また、投稿内容1つ1つについて、名誉棄損やプライバシー侵害などの権利侵害の有無を判断しなければならないのが原則。

すべての投稿が権利を侵害しているとは必ずしも言いにくく、時間も費用もかかるため、すべての投稿について開示請求するのは難しい」と荒生弁護士は説明する。

●発信者特定は「スピード勝負」

発信者にたどり着くためには、いくつかの手順を踏まなければならない。荒生弁護士は「とにかくスピード勝負。投稿に気づいた時点ですぐに行動をうつさないと、手遅れになってしまうこともある」と話す。

まず掲示板などのサイト管理者に対して、発信者が経由したプロバイダの情報(IPアドレスなど)について開示請求をおこなう。

その次に、プロバイダに対して発信者の情報(プロバイダ契約者の氏名・住所など)について開示請求する、という流れとなる。

注意しなければならないのは、投稿から3カ月程度で発信者の情報が削除されてしまう点だ。このため、プロバイダが判明したら、通信ログを保存するよう要請したうえで開示請求をおこなうことになる。

しかし、プロバイダが発信者情報の開示に応じることは稀であるため、多くのケースでは発信者情報の開示を求める訴訟を提起することが必要になる。裁判所から認容判決を得て、プロバイダから発信者情報が開示されて、ようやく情報にたどり着くことができる。

すべての手順を終えるまでの期間は、半年から約1年ほどだという。

●「ネットリテラシーの教育を」

今回の判決について、荒生弁護士は「出るべくして出た判決。ネット上の誹謗中傷の抑止力になってくれることを期待している」。今後の方針については民事・刑事両方の可能性を視野に入れつつ、「元男子生徒と検討中」だという。

開示請求によって投稿者が分かったとはいえ、心ない書き込みによって元男子生徒が負った心の傷は簡単に癒えるものではない。

ネット上の誹謗中傷を抑止するためには「家庭や学校でネットリテラシーの教育をおこなう必要もある」と荒生弁護士は訴える。

「ネット上の書き込みは半永久的に残るもの。小学生でもネットを扱う以上は、ネット上のルールについて家庭や学校で積極的に教えていくべき。ひどいことを書いたら相手がどう思うのか、ネットはどういう性格のものなのか、早い段階から知っておいた方がいい」