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「大人の都合より子供の命を訴えるも」いじめ対策法改正が暗礁に…

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いじめによる小中高生らの自殺や不登校など重大事案が後を絶たない中、いじめ防止対策推進法の改正に向けた動きが暗礁に乗り上げている。超党派の国会議員による勉強会(座長・馳浩文部科学相)が座長試案をまとめ、それをもとに今国会での改正を目指す方針だが、学校側の義務を明確化する規定などが盛り込まれなかったため被害者家族らが反発。9日にはいじめ被害の高校生らが文部科学省内で会見を開き、試案の再検討を求めた。一方、学校側の義務規定などに対しては現場を萎縮させるとの意見もあり、法改正は難航しそうだ。

学校の義務規定削除

 「(座長試案では)子供のための法律にならないと感じた。これでいじめがなくなるのかどうか不安」

 9日に会見した高校3年の女子生徒(17)が訴えた。小学5年から高校2年まで暴言を吐かれるなどのいじめを受け続け、他の高校への編入を余儀なくされたといい、「もっと子供たちの笑顔が増えるような法律がつくられることを願っている」と話す。

 いじめ防止対策推進法の改正に向けて議論してきた超党派議員の勉強会は昨年11月、いじめを放置した教職員への懲戒規定などを盛り込んだ素案をまとめ、いじめ自殺の遺族や被害者家族らでつくる団体などに伝えた。しかし、今年4月に改めて示された座長試案では、懲戒規定をはじめ学校側の義務規定などが多数削除されていた。

 この日の会見に同席した元小学校校長で、いじめ撲滅を目指す団体代表の仲野繁氏も座長試案に対し「いじめ防止の取り組み内容が子供主体のものになっていない」などと批判する。

「全て見抜く」困難

 懲戒規定などの義務規定が盛り込まれなかったのは、勉強会による学校関係者へのヒアリングで、「現場の負担が増す」「萎縮を招く」などの反対意見が多く寄せられたためだ。

 大津市の中学2年生が平成23年にいじめで自殺した事件の遺族が先月、勉強会座長の馳元文科相に削除された条文の復活を求めた際、「(条文の義務規定などに反した)教職員は即違法となる。現在の学校現場には、それに耐えうるだけの教職員のスキルが伴っていない」との返答があったという。

 教員や教員経験者でつくる全国組織の幹部は、現行の地方公務員法でも職務専念義務に違反すれば罰することは可能と指摘。その上で「全てのいじめの存在を見抜くことは現実として難しい。現場で対応しきれないことまで法律で細かく定め、それができないと『懲戒』というのはどうなのか」と話す。

 勉強会メンバーの与党議員によれば、背景には予算や人員不足の問題もあるといい、「(義務規定などを残すには)実効性を担保するため、予算措置とセットにしなければならない」と難しさを指摘する。

「原点に返って」

 一方、いじめで自殺した子供の遺族や不登校の被害者家族などからは、「誰を守るための法律なのか」との声が上がる。

 座長試案では懲戒規定のほか、昨年11月の素案にはあった「いじめ対策主任」の設置義務などが削除され、「いじめを受けた児童らを徹底して守り通す責務」との文言も削られた。

 これに対し、青森市で28年に中学2年の娘を亡くした男性は、「(素案の内容が以前から)実行されていたなら私の娘は死なずに済んだ」とした上で、「素案の条文を削除せずに法改正してほしい」と話す。

平成10年に高校1年の一人娘を亡くして以降、いじめ問題に取り組んでいるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さんは「座長試案では学校現場にいじめに対する緊張感が生まれず、子供の命が守れない。何のための法律か、原点に立ち返って法改正に取り組んでほしい」と訴えている。

 いじめ防止対策推進法 平成23年に大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのをきっかけに、議員立法で制定、25年9月に施行された。いじめを「被害者側が心身の苦痛を感じているもの」と定義。付則で施行後3年をめどに法改正を含めた「必要な措置を講じる」と明記されたが、28年に見直しは行われなかった。総務省が30年3月に「学校がいじめの定義を限定解釈する事例が多い」と文部科学省に改善勧告したことを受け、超党派の国会議員の勉強会が発足した。