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女子中学生の飛び降り自殺をいじめと認めない闇

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2018年1月に名古屋市で起きた女子中生自殺事件を巡り、その原因をいじめと認めなかった「名古屋市いじめ対策検討会議」の調査結果を不服とした遺族が、同市の河村市長に対して再調査を求めたことが、各メディアで大々的に報じられました。この事件について調査を進めている現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんは、自身のメルマガ『伝説の探偵』で、隠蔽を図っているとしか思えぬ学校サイドや自殺した生徒が所属していた部活の異常性を明らかにするとともに、「名古屋のいじめ予防対応は絵に描いた餅」と厳しく批判しています。

名古屋名東区中1自死事件

2019年4月14日、報道機関によれば、

名古屋市名東区で2018年1月、名古屋市立神丘中学校1年の女子生徒=齋藤華子さん当時(13)=がマンションから飛び降り自殺した問題で、同市教育委員会が設置する第三者委員会は「心身の苦痛を感じるいじめ行為があったとは認められない」と結論付けた報告書を市教委に答申していたことが14日、遺族への取材で分かった。

当日は1月5日の早朝で、彼女は部活の合宿に行く予定であった。同生徒は2017年9月に大阪から名古屋市に転校、11月からソフトテニス部に入部していた。

三者委員会なるもの構成

三者委員会の構成については文科省ガイドラインにもあるように、弁護士や精神科医臨床心理士などで構成されている。

名古屋市の場合は、教育委員会直下のいわゆる検討委員会を第三者委員会として扱っており、これは常設されている。本件についても、常設のいじめ検討となる「名古屋市いじめ対策検討会議」が担当している。

現状の構成メンバーは6人で、構成メンバーは名古屋市のホームページに記載されている。

名古屋市の場合、この委員会については、「名古屋市いじめ対策検討会議条例」なるものがあり、教育委員会の付属機関として設置されているのだ。

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報道機関各社についてもこれを「三者委員会」と記載しており、私も直接、名古屋市教委から第三者委員と呼称しているのを聞いているから、名古屋では委員の入れ替わりもほとんどない「教育委員会の付属機関」であっても、第三者委員会なのだとしているのであろう(以下、この自称第三者委員会については、「付属機関」という)。

たくさんのいじめ目撃証言

いじめについてはたくさんの目撃情報がある。

特に学校が2度取っている記名・無記名のアンケートには、いじめの加害者の氏名がいくつも記載されていた。つまり、いじめを問うアンケートには、具体的ないじめの状態とそれをした行為者が、何人ものアンケート回答に記されているのである。

特に部活においては、華子さん本人が特定の同級生について「怖い」と別の同級生に相談していたというものもあるし、一人で帰っていた(ボッチにされていた)というものもあった。

ところが、これを付属機関は、「伝聞だと判定し別段の問題はなかったとしたのである。

いくら生徒たちが正直に声をあげても、その声はどこかでフィルターがかかり、変えられてしまうのだから、まともに証言して内申を人質に取られては堪らないと思うだろう。

大阪時代

付属機関は、報道によれば、「過度な練習で心身の不調さをきたした可能性が高い」として、華子さん本人の真面目な性格から「休みたいと言えなかったことが自死の原因だとしているが、彼らはわずか4ヶ月しか彼女のことを知らない人らから話を聞いて、よくそこまで言えたものだと首をかしげざるを得ない。

確かにソフトテニス部は校内では有名なブラック部活であり、上下関係が過度に厳しいことからいじめが多発していたという証言はいくつもあるが、学校にいたのはわずか4ヶ月なのだ。この短期間で人を語れば、遺族から想像に基づく作文に過ぎないと酷評されても仕方ないだろう。

私は華子さんが名古屋に来るまで過ごしていた大阪で彼女のことをよく知る人物らから話を聞いている。そして、心理テストを行い簡易ながらも分析をした。

確かに彼女は、真面目で物事に真摯に取り組む様子がよく聞くことが出来た。その一方で、ユーモアがあり、性格は明るくサバサバしているというエピソードも多かった。つまり、ストレスをあまり溜め込む傾向ではなく転化して発散する実績があったのだ。

他の側面としては、慎重さがあり、頑固とも言えるほど自らの考えを貫こうとする傾向がある。知能レベルは高く、予測をして回避をする能力もあるが、他人との軋れきに動じないという傾向もある。簡単に言えば、間違っているということがあれば、相手が誰であれ間違っていると思うと言える子であった。

また、一方で家庭でのコニュニケーションも濃厚であることから、自死という結果には疑問が生じてくる

学校の対応

前述の4月14日の報道の後、保護者会がはじめて行われたというニュースも流れた。

つまり、学校はアンケート調査などを行いながらも、自死という最も重い事態と言える状況の中で、およそ2年間説明すらしていなかったのだ。

その姿勢は全てにおいて共通していると言えるだろう。

例えば当時の校長は、部活の合宿については非公式の活動であり、学校の公式の活動としては認められないとしている。しかし、中学校の部活が顧問(教員)引率で活動をすれば、それは、学校としてあずかり知らぬとは言えないのは当然なのだ。

また、付属機関の調査によれば、学校は再発防止として独自の取り組みをしている言うが、その内容の全てが、遺族による提案をそのまま採用したものであるのだ。自ら考える力がない学校に、積極的にいじめを予防する力はない。

この学校の保護者らに1つ言える事は、明日は我が身という事だ。

付属機関の調査不足はなぜ起きたのか?

遺族によれば、付属機関の委員らは一部の生徒らからしか聞き取りができていないというかのだ。

その姿勢について、重要な情報を持つ子、アンケートで名指しされていた生徒やその関係生徒に重きをおいて調査すべきだいう遺族の指摘に、付属機関の委員らは、答えると言っている子にだけ真摯に調査をすれば間違いはないと答えたという。

付属機関は確かに社会的なステイタスもある権威ある専門家であるが、それはその世界での話である。調査の専門家として指摘するとすれば、何も知らない、情報を持っていない者からいくら話を聞いても、それはただの時間と費用労力の無駄なのだ。

ディオ風に言えば、「無駄無駄無駄無駄無駄!」なのである。

情報を持っているが、起きた事件自体が過重なストレスで調査を拒んでいる相手や保護者をいかに説得するかが重要であり、どこまで情報を聞き出せるかが調査の醍醐味と言える。

例えば、アンケートで名指しされた生徒は調査拒絶をしている。これは法体系の中でできる事であり、拒絶されてしまえば調査はできないことになる。いじめ防止対策推進法を改正するとして超党派の議員らの議題の中でも、調査の拒絶権を簡単に行使できる事を問題視しているが、それならそれで、探偵であれば探り方というのはあるものだ。お上品なお仕事をなさっている先生方にはできないことかもしれないが。

例えば、飛び込み営業をする営業マンは、断られるだけではなく塩をまかれる事をわかった上で、飛び込み営業でも実績を上げていく。電話での営業をするアポイント電話の人らでも、「いらない」と言われながらも、あちこちに電話をかける。

調査や捜査においても、根気強く地廻りをして、足で情報を稼いでいくものだ。断られても拒絶されても、本部にクレームが入っても、情報を得るためであれば、粘り強く説得するのは調査をする者としては当然の姿勢なのだ。

いじめの情報

同級生による入部の妨害と嫌がらせ

華子さんがソフトテニス部に入部を決める前、すでに部活に所属していたメンバーの一部から、入部しないように部活の厳しさへの指摘があった。

これについては、関わっていたメンバーからの証言からも明らかなのだが、その理由として、「ソフトテニス部はいわゆるブラック部活で、部活の指導のみならず生活態度や拘束される時間にも厳しさがあり、勉強と両立させるのが大変だから、本当に大丈夫なのか?未経験者だと特にきついよ」と良かれと思ってのアドバイスであったとされている。

しかし、私がより内部の人物から聞いた情報によれば、それは建前的な問題後の後付けの言い訳に過ぎず、入部妨害を特にした生徒らは、「現行のメンバーで活動したいと考えており他所から来た他人しかも未経験者に入ってきてもらいたくなかった」という話を聞いている。

さらに、入部の申し込みがわかったところで、「何でウチらの話を聞かないのよ」ということになり、経験者が未経験者を教えるという伝統であったそうだが、教える事を拒否する経験者もいたということであった。

つまり、はじめから異質の者としての扱いがあり一部の生徒からターゲットにされていたことが伺えるのである。

部員によるいじめ

ある部員は私にもアンケートにも、華子さん本人がソフトテニス未経験者にも関わらず、メキメキと実力をつけていく姿に焦ったと言っていた。流石に試合となれば、経験者には及ばないが、試合に出してもよいと言われるまでが異常なスピードであった。

このままでは抜かれる、そうした焦燥感が嫌がらせとなり、いじめへとつながったのであろう。

華子さんが転落死したということがわかった段階で、校内の多くの生徒が、ソフトテニス部内でいじめが起きたのだと感じたという証言もある。「あの部活は毎年しごきを超えたいじめで部員が辞めるんですよ」。これは他の部活に所属している生徒が私に話した内容だ。

そして、1月5日当日、生徒らによれば、華子さんは合宿の待ち合わせ場所に来たそうである。それを、部活の一部のメンバーが「帰れ、帰れ!」「お前に居場所なんかないよ」とやって無理やり帰らせたという情報を得た。

付属機関の調査では、口裏を合わせて、「来なかった」「引っ越してきたばかりで場所がわからないかもしれない」と言ったが、口裏を合わせられない子や不安定な子は聞き取りを拒否させたという情報も得ている。

つまりは、華子さんは部活の合宿に参加するため、バスが来るという待ち合わせ場所へ早起きをして向かった。ところが、強制的かつ高圧的に参加を拒絶され家の近くまで帰られせられたのである。

だから、華子さんの靴は汚れていたのだ。

そして、自死が分かった時、それに関与した一人の女性生徒の母親は娘からその話を聞き、異様に動揺をしたまま、遺族の元へ向かい、あまりの動揺ぶりを記憶されたのである。

一部の関係者は、華子さんの死があまりに隠されることがストレスになり、毎晩夢に見るようになったことから、月命日には現場に献花をするようになった。

ブラック部活

例えば、インフルエンザで1週間、部活を休んだとする。

すると、最低でも21周走らなければいけないというのが部の裏の決まりであった。

1年生は水以外飲んではダメ。どんな状況であっても、先輩より先に先輩を見つけ挨拶しなければならない。などなど、ソフトテニス部にはいくつもの裏の決まりがあった

こうしたブラック化した部活の状況は、付属機関もよく調べて、その異常性を指摘している。

そもそも裏の決まりがあるということが問題なのだが、顧問らは当然、こうしたことがあることを知っていた。ところが、当時の顧問らは、遺族が指摘しても、「そんなものはありません」と裏の決まりが書かれたメモが出てくるまで否定し続けていた

結果的に、証拠が出たことで顧問らは裏の決まりがあったことを仕方なく認めているが、証拠がなければ、一切喝采を認めなかったであろう。

河村市長の対応

河村市長は、自死事件が起きてしばらく経ってから、必ず行って話をすると遺族に約束していたが、色々あって伺うことはできないと人伝てで反故にしている

彼らしくない不誠実な対応をしたことになるが、4月14日以降の報道で、河村市長は「遺族とよく話してから、(遺族側が要望している本物の第三者委員会による再調査をするかどうかは)決める」とコメントした。

河村市長はいじめの予防対応については、「子ども応援委員会」なるものを作り、各校に専門家を配置するなどいじめ予防については画期的な仕組みを全国に率先して導入してきた。

ところが、教育委員会常設の付属機関を「第三者委員会」扱いするようでは、仕組みは素晴らしくても、結果それが学校や教育委員会の不都合を隠すために利用されてしまうのでは、せっかくの仕組みも「絵に描いた餅」に過ぎない状態になってしまう。

専門家を各校に配置してどんな実績があったのだろうか。仕組みはしっかり運用されているのであろうか。絵に描いた餅ならば、幾つもの委員に名を連ね、まるで名義貸しをしているような者はいないのかよくよくチェックし排除すべきだろう。

河村市長は私の同志である教育関係者のところまできて、名古屋市の教育界の壁が厚いことや子ども達への思いを語ったという話を聞いたことがある。そこまで志のある男が、真摯に対応すべきこの問題を一度約束を反故にしてしまった。その上、ここにきて尻込みしているようでは話にならないと言わざるを得ない

子供の命を守るんだろ?こんな杜撰な調査を公式にしていいはずはない。

見直すべき異常な事態が起きていると認識すべきであろう。

編集後記

本件がニュースになり、注目されると、続々と情報を持つ生徒たち(付属機関の調査を拒否した子も多く含まれる)が、私が代表理事を務めるユース・ガーディアンの「本件に関する情報提供のお願い」を見て、情報を寄せてくれています。

中にはアンケートに詳しく書いたのに、なんでちゃんと調べてくれないの?という不満の声もありました。

保護者に関しても、学校が開いた保護者会の内容を聞いて、「嘘をついている」と感じたという感想も寄せられています。そして危機感を持っています。「明日は我が身なのかもしれない」「こんな学校教育委員会に子どもの命は預けられない」という意見が大半です。

もちろん、その中には、こんな情報提供を求めるサイトは即刻削除せよ、という嫌がらせもあるわけですが、辿る限り、何らかの役員など学校の関係者と言える者から発信されたものでした(私が探偵であるということを知らないのでしょうか…)。

付属機関の委員についてはその専門性の中では実績のある方達だと思いますが、この事件についてはというより、この制度自体、私には全く理解ができません。

事件ごとに職能団体に推薦を求めたり、予定を合わせてもらったりの調整は大変だというのは理解できますが、だからと言って、重大事態に対して、いつもの常設委員さんでという論理は、問題軽視ではないかと思うのです。それに常設ということは、利害関係はバッチリあるように思うのです。本件では、教育委員会はいじめを否定しています。その次がその付属機関、まるで世間で言うところの第三者委員会と呼ばれて現れ、教育委員会とさして変わらぬ調査をしたわけです。事務局は教育委員会です。これでは、時間の無駄行政予算の無駄使い、さらに委員の中には、他の地域行政で同様の委員をやっている兼任者もいます。

重大事態は少なくとも数百件は起きてしまいます。その全てではないにしろ、兼任もいるような委員会、ましてや教育委員会直下の付属機関で調べきれるわけがないと思うのは私だけでしょうか。

大津のいじめ事件を担当した委員はダンボール箱だけでも大変な量の資料があったと言います。それを読み込み、疑問点をチェックし、聞き取りをしたり、聞き取りできるように説得をするなど、大変な時間がかかったわけです。これ、件数にすれば1件ですから、本業を持ちつつ、同様に年間十数件やるだけでも、スーパーマンに近いと言えるわけです。

三権分立から考えて、日本の政治は経済経済と経済バカな話ばかりです。立法面で言っても、耳にするのは経済バカな話ばかり、あとは与野党の足の引っ張り合い…。右でも左でもどっちでもいいから前に進めろよ、と思ってしまうのですが、結果、子どもの問題は、ばらまき型の話ばかりで、命に直結するようないじめや虐待の話はほとんど前に進まないのです。

特にいじめの問題はいじめ防止対策推進法の改正について超党派の議員が試案を出しましたが、速攻で遺族からクレームがついているわけです。

仕方ありません。いじめを放置もしくは先導した教員処罰案は票田とも言える有権者が多くいる教育界を敵に回しかねないですからね。

…ふざけるなと思うわけですが、それを言うと、「阿部ちゃん、もっと大人になれよ」と言われるわけです。

本にもコラムにも書きましたが、「子どものいじめ問題は大人社会の写し鏡です」。今のいじめを異常と思うならば、今の大人社会が異常なのです。

そして、今、名古屋で起きていることは異常以外のなにものでもありません。私は彼女の死自体に疑問を持っています不審点が多すぎるのです。本件については、さらに取材を進め、真相を究明したいと思います。