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問題の解き方を教えてあげたら「いじめ」??

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「A子は算数の時間に、問題を一生懸命解いていた。しかしあと一歩のところで解けずにいた。隣の席の算数が得意なB男は、A子の困っている様子を見て、解き方と答えを教えた。A子はくやしくて泣きだした」-。全国でいじめが原因とみられる自殺や不登校などが相次ぎ、早期発見と対処の重要性が叫ばれる中、兵庫県内の学校で今春、上記のケースを「いじめ」の例として紹介する1枚のチラシが配られました。保護者らからは「えっ、これがいじめ?」「むしろ良いことをしたんじゃ?」と戸惑いの声も続々。制作した県教育委員会に、その意図を聞きました。

 -かなり衝撃的な内容でしたが、なぜ、こうしたチラシを?

 「啓発チラシは、2013年から毎年新しいものを作って県内の全学校に配っていますが、今回はかなり踏み込んだ内容になっています。ただ、内容自体は兵庫県が独自に考えたのではなく、文部科学省が2016年に出したいじめ認知の手引きで、『いじめ』という言葉は使わないが『いじめ』として対応すべき事例-として紹介されているものです」

 -今年、攻めた理由は何だったのでしょう。

 「昨年度の兵庫県内のいじめ認知件数は1万2960件で過去最多となりました。軽微なものでも積極的に認知するようになった結果ですが、それでも全国平均を下回り、いまだに『0件』と報告する学校もある。でも、子どもたちの間で小さなトラブルは日常茶飯事。教師が『いじめ』と思っていなくても、実は当人は嫌な思いを抱き続けているケースもあるはずなんです。兵庫県内でもいじめが原因で子どもが命を絶つ事案が相次いでおり、いじめへの感度を上げるきっかけになればと、事例の中からあえて最も『そんなことが?』と感じられるものを取り上げ、タイトルも目を引くことを重視しました」

 -保護者や教育現場からの反応は?

 「保護者の方から『これがいじめになるんだったら、教え合いもするなというのか』などのご意見も何件か頂きました。もちろん、単純に『教えてあげる=いじめ』ではありません。ですが、教えられた子がすごく嫌だと感じ、さらに、日常的に勉強ができないとからかわれ、それが続くなど両者や集団内の関係性によっては、心の傷を負わせ、深刻な『いじめ』につながることもあると知っていただけたら、と思います」

 -私も、「違うやろ」と思ってしまいました。

 「いえ、そういう方が大半だと思います。でも、いじめ防止対策推進法によるいじめの定義は『被害者が心身の苦痛を感じていること』が根幹で、一見いじめと思えないことも『いじめの芽』として対処することが求められています。さらに、たとえ教師が『いじめの芽』と捉えて子どもの家庭を訪問し、指導しようとしても、親御さんに『そんなの、いじめちゃうやろ』とシャットアウトされては元も子もありません。教師はもちろんですが、ご家庭でも考え、理解して頂けるきっかけになれば」

 確かに、冒頭の事例では、教えられたA子さんは泣いてしまいました。困っている姿を見て教えてあげようと思った優しい気持ちはしっかりほめつつ、なぜ相手が泣いてしまったのか、次からどうした方がいいか、さらに教えられたくないと感じたら、その気持ちをどう伝えればいいのか、親子で考えることが大切なのかもしれません。

法律上の「いじめ」の定義は、教師や保護者が子どものころとは大きく変わっている。チラシの例も①双方とも児童生徒②一定の人間関係がある③心理的・物理的影響を与えている④受けた側が心理的苦痛を感じている-といういじめの4要件に照らせば「いじめ」になる。文科省はこうした「兆候」や「芽」も含めて積極的に認知するよう求めているが、都道府県ごとの認知件数には大きな開きがあり、浸透しきっていないのが現状だ。学校現場でも戸惑いがある中で、今回のチラシは思い切った対応だと評価できる。ただポイントは、各校が保護者にこのチラシの真意を伝えること。それをして初めて、いじめの芽を意識する機会になる。