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伊東歌詞太郎 「いじめられた時、音楽に救われた」

伸びやかで力強い歌声やメッセージ性のある歌詞が中高生の共感を集め、ツイッターのフォロワーが73万を超えるシンガー・ソングライター伊東歌詞太郎さんは、小学生の時にいじめを受けていました。「休み時間は音楽準備室に隠れていた。音楽が救いだった」と振り返る歌詞太郎さん。つらい経験があったからこそ、今は誰かの人生がプラスになるよう、歌い続けています。(『生きづらさを抱えるきみへ』withnews編集部/KKベストセラーズ より)■「いじめられた時、音楽に救われた」そんな僕が歌う意味

「いじめられた時、音楽に救われた」そんな僕が歌う意味伊東歌詞太郎・つらい経験を乗り越えて

 

 6年生の時のいじめがひどくて、つらかった。常に無視をされ、上履きに画びょうを入れられたり、机がなくなっていたり。ニュースになるような嫌がらせは、だいたい受けました。

 いじめグループとは、塾で受ける模試が一緒だったんです。点数が良くて僕の名前が出ることがあると、さらに攻撃をされました。

 助けてくれる人はいませんでした。いじめの中心は5~6人だけど、その人たちが強いから、クラスの誰も逆らえない。全員が無視に加わっていました。

 先生には相談しませんでした。言ったところで解決できないと思ったから。心配させたくなかったから、親にも言いませんでした。つらい毎日の中で、僕の支えになっていたのは間違いなく、音楽でした。休み時間、音楽準備室に隠れていたんです。

 学校に居づらい人は分かると思うけど、休み時間が一番つらかった。無視されるか、ひどいことをされるか、だったので。

 

だから、5分だけの休み時間は仕方がないけど、2時間目と3時間目の間にあった20分間の休みや給食を食べた後の昼休みは、クラスにいたくなくて。自分の居場所を探しました。

 でも、小学校ってそんなに広くない。屋上は施錠されているし、安全地帯になる場所って少ないんですよ。どこかないかなと探していたら「あっ、音楽準備室がいいな」って思ったんです。

 音楽室だと隠れる場所がないからダメ。準備室がいいんです。楽器がたくさんあって、ピアノの下によく隠れていました。誰も来ないし、先生もその時間はいない。僕にとって、安息の場所でした。

 準備室には、合唱で歌う曲の楽譜がたくさんありました。グリーングリーンや赤いやねの家、小さな木の実…。楽譜は読めないんですけど、「おたまじゃくし(音符)がここにあったら高い音、ここなら低い音」というのは何となく分かるから、知らない曲でも口ずさんでいました。

 ただただ、歌うのが楽しくて、つらいことを忘れられた。卒業するまで、休み時間は音楽準備室でしのいでいましたね。

 今思うと、学校を休めたらよかったんですけど、親に心配をかけたくなかったから、その選択肢はなかった。音楽があって、本当によかったです。

 音楽以外では中学受験も支えになりました。「別の中学校になったら、いじめが全部終わる」と出口を作ることができた。もちろん、「落ちたら、中学校も同じになる」というプレッシャーもありましたが、受験合格が暗闇からの出口になると強く思っていました。

 

志望校には無事、合格しました。だから、卒業した時はめちゃくちゃうれしかった。いじめグループと離れられたので、中学校からはいじめられることもなくなりました。

 それから、いじめグループと再会したのは成人式の時でした。向こうは、「俺、お前のことをいじめていたらしいんだけどさ、そんなつもり全然なくて。悪かったな」と言って、まったく気にしていませんでした。

 びっくりしましたよ。「あっ、この程度なんだ」って。自分がきつかったあの過去は、他人からみたらこんなに軽いんだって。怒りはわかず、ひたすら驚きましたね。

■いじめられるって、めちゃめちゃに傷つけられる

 いじめられるって、ものすごく傷つけられることなんですよ。めちゃめちゃに傷つけられる。

 だから、いじめがどれほど人を傷つけるのかというのは、いじめをしている側、もしくはいじめを受けていない人たちより、僕はたくさん知っているつもりです。

 僕の思考の根幹に、「他人の立場になって考える」という考えがあります。いじめの経験はまさにそうです。あれだけつらい思いをしたから、同じことを人には絶対にできない。人が何をされたら傷つくのか。それが分かってから、僕は人に優しくできるようになりました。

 僕にとって、音楽活動をする意味は色々あるけど、そのひとつが誰かの人生をプラスにすること。1ミリでも、10メートルでも、とにかくプラス方向にする。そういう音楽を作っていくことが、僕が生きるひとつの意味だと思うんです。

 

ライブに来てくれた中学生の女の子が「歌詞太郎さんのライブをきっかけに外に出られた」と言ってくれたことがありました。それまで、引きこもっていた子が、僕の曲をきっかけに部屋を出られるようになった。それを聞いた時は、すごくうれしかったな。

 いじめられた時、僕は音楽を聴いたり歌ったりして、落ち込んだ気分を変えることが何度もできた。音楽って、特効薬だと思うんですよ。そういう音楽を作れたらミュージシャンとしては本望です。

 僕の場合はいじめだったけど、他の原因で、しんどい思いをしている人もいると思います。そうした人たちに、甘い言葉は言えないです。だって、つらいもん。「今はつらいけど、この先いいことあるさ」とは絶対に言いたくない。そんなこと言われたら、「お前このつらさ分かんの?」って当時の僕だったら思いますよ。

 小学生の時、僕のつらさを分かってくれる人はいなかった。でも、僕には音楽があった。音楽が僕のことを分かってくれたと勝手に思っていました。

 ゲームでも読書でも、あなたにとって居心地がよければ何でも構わない。見つけてみようなんて無責任なことは言えないけど、あなたの居場所が見つかるよう、僕は祈っています。

伊東歌詞太郎(いとう・かしたろう)
狐のお面がトレードマーク。抜群の歌唱力を武器にネット音楽シーンに登場、数十万のSNSフォロワーと繋がりながら投稿した動画の総再生数は8000万回を超え、アルバムは3作連続でオリコンランキングTOP10入りした。声帯結節の手術から2018年7月に復帰し、全国路上ツアーとホールコンサートを開催中。様々な問題を抱えた家庭や子どもと家庭教師の交流を描く初の小説『家庭教室』(KADOKAWA)を2018年5月に出版 。
公式サイト:https://www.kashitaro.com/
Twitter@kashitaro_itoBlog:https://lineblog.me/itokashitaro/