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いじめに加担した教師を守る腐りきった教育委員会

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山口県周南市で起きたいじめ自殺事件において、いじめに加担していた教師が懲戒処分を受けることなく、「口頭注意」のみで済まされていたことが明らかになりました。

このような理解に苦しむ判断を下した山口県教育委員会を批判するとともに、「いじめ防止対策推進法」にいじめへの加担、助長、放置、隠蔽に関わった教師の懲戒処分を明記するなど、その改正の必要性を強く訴えています。

教師からのいじめを懲戒できない不条理

8月20日付の読売新聞オンラインで、「揺れる『いじめ防止法』…放置した教職員を懲戒すべきなのか」という記事が掲載されました。校長会などの教育関係団体が懲戒規定に反対していじめ防止対策推進法の改正案から懲戒規定が削除されたこと懲戒規定削除にいじめ被害遺族らが反発している現状を紹介し、「法改正を目指すには、遺族や教育関係団体それぞれの主張の妥協点を見いだし、意見調整をすることが欠かせないと言えそうだ」と結論付けています。(2019年8月20日付読売新聞オンライン)。

私たちは、長らく教師のいじめ加担、いじめ助長、いじめ放置、いじめ隠蔽等を抑止するためには懲戒規定が必要だと訴えてまいりました。教師が、いじめを放置したり、いじめに加担することで、いじめが深刻化してしまった事件が数多く起きているからです。いじめによる長期の不登校、いじめを苦にしての自死、いじめ被害者や家族の精神疾患。加害者が問題なのは当然ですが、ここに至る前に早期に対処すれば自殺や不登校をくいとめることもできたとしか考えられない事件が起きています。

最近では、7月、山口県周南市で、高2男子生徒が2016年7月に、鉄道自殺した事件が大きく取り上げられました。教師が加害者と一緒になって生徒をいじめていたことを知りながら、山口県教育委員会は、「いじめに類する行為」であるが、「懲戒の指針に照らしあわせた結果、懲戒処分には至らない」として、いじめに加担した教師を懲戒処分しなかったという内容です。

この事件では、

1.当初の第三者委員会は、生徒は日常的に「いじり」を受けていたこと、教師たちは「いじられキャラ」、「それで人間関係が保たれる」などと問題視しなかったことを認め、「いじめ」に該当するものもあったと認定しましたが、「いじめのみを自殺の要因と考えることはできない」と結論付け、しかも県教委が、遺族に、「(調査報告書の)内容を外部に口外しないとする文書への署名を強要したことも判明しています。

2.遺族の求めに応じて再調査した「県いじめ調査検証委員会」は、本年2月、

  • 体形や髪形をからかい、「キモイ」などと言った、
  • 女子生徒の制服のリボンを頭に付けられてスマホで撮影された
  • ラインのグループから退会させられて仲間外れにされた等、同級生らによるいじめ18項目を認定

教師のいじめについては、

  • 部活顧問が、他の部員たちに「○○に預けとけ。○○が片付けるよ」と言って、練習後の片づけを押し付けた
  • テスト中に、「ちゃんとやったんか」と個別に話しかけた
  • 授業中に不必要に名前を連呼した

など一部の教員による5件の行為について、「いじめに類する行為」であると認定し、「教員に配慮と適切な対応があれば自殺を防げた可能性があった」と結論づけました。

3.教職員20人への聞き取り調査をまとめた文書も遺族に渡されましたが、それは、「(死亡した生徒は)能力が異常に低い」、「学習障害」、「やりとりもかみ合わない」、「いじられながらも相手をしてもらった方がいい」、「いじりを行っていた生徒も知っているが、みんな良い子」等の教師側の言い訳にあふれたものでした。ご遺族は、関係教員の処分を強く求めていました

この訴えに対して、本年7月23日、県教委は、野球部顧問の教諭を、生徒の入部時に保護者の意向確認をしなかった等を理由に「口頭厳重注意のみとし、同じく「いじめに類する行為」を行った他の教員には懲戒処分なし。当時の校長は、「減給10分の11か月)」の懲戒処分、当時の教頭2人は、いじめ調査を実施しなかった等として、「文書訓告」とされました。

8月20日、当時の校長と現校長、野球部顧問が、生徒の遺族宅を訪問し両親らに謝罪したことが報道されています。当時の校長は「自分がしっかりしていれば防げたはずだった」、野球部顧問は「自分が気付くことができなかった」と謝罪したものの、自分が行っていたいじめに類する行為については聞いても無言のままであったということです。

調査報告書に、「教員に配慮と適切な対応があれば自殺を防げた可能性があった」とされながら、何らの処分もされないのです。今回、処分されなかった理由は、「規定がないからだ」と県教委は説明しています。

冒頭の記事にある、いじめ防止法改正案から懲戒規定が削除された理由に教員からの反対があげられます。反対理由は、「教員の負担が増す」、「いじめを隠す方向に傾いてしまうおそれがある」、「教職員のモチベーションの低下を招く」、「現場の萎縮(いしゅく)を招く」、「『地方公務員法』に懲戒規定があるから新たに定める必要はない」と伝わっていますが、現実には、今回のケースのように、「地方公務員法があっても何らの処分されずに普通に教壇に立っている教師がいるのです。

児童生徒へのいじめ、いじめへの加担、助長、放置、隠蔽などした教師に対する懲戒処分を明記するなど、いじめ防止対策推進法の改正は必要です。私たちは、今後も懲戒規定を定めることを訴えて参ります。

 

また、都道府県や政令指定都市の懲戒処分等の基準で、「いじめに関して取り決めをしているのはごく一部の少数の自治に限られています。全都道府県・全政令指定都市で、懲戒処分の基準にいじめに関する規定を盛り込むように、文科省は指導するなど積極的に取り組んでいただきたいと思います。