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川口市は『いじめ加害者』を守る地域なのか?

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いじめによって心身ともに傷ついた児童やその家族たちを、さらに苦しめるような信じられないことが埼玉県川口市で起きました。いじめ不登校事件の裁判で、川口市側の主張にあまりにも問題があるとして、ネットでも大きな話題となっています。

 

川口市いじめ不登校訴訟 -教育者の嘘は子供を深く傷つける-

12月25日に、いじめ不登校事件の裁判が、さいたま地裁で開かれ、ご厚意により傍聴する機会を得ました。裁判所の1階で被害生徒のお母様が待っていてくださり、裁判を傍聴し、その後の記者会見にもご一緒させていただきました。

この事件は、2015年に川口市の市立中学に入学した男子生徒が入学直後からサッカー部でいじめや体罰を受け、中2の2学期の16年9月からは長期の不登校になった事件です。2018年6月、学校側の対応が不適切だったとして、生徒(現在高2)が、川口市に損害賠償を求めて訴訟を起こしたものです。

2017年2月には、第三者委員会が発足、翌18年3月に、7項目の行為がいじめと認定され、「いじめ行為が不登校の主たる原因と考えられる」との調査報告がなされています。調査報告書の公表にあたっての記者会見では、川口市の教育長からのコメントが読み上げられました。

 

「今回のいじめ調査委員会の調査結果を教育委員会としても真摯に受け止め…(中略)…いじめにより生徒が不登校に陥る事態を招いてしまい、その間、初期段階で組織的に迅速な対応が遅れてしまったことで更に生徒を傷つけて信頼を損ね…(後略)」

という内容で、この段階では、教育長はいじめを認める発言をしていたのです。しかし、訴訟になった途端に川口市は、一貫して「いじめはない」と態度をひるがえしました。第三者委員会が認定した7項目のいじめ事実に関しても、「先に、被害生徒が暴力をふるった」などと反論したり、様々な言い訳を書き並べ、「いじめではない」としています。

このいじめ訴訟に関しては、いじめを認めないことも大きな問題になっていますが、それ以外に、市側の主張の問題点がマスコミ等でも指摘されています。簡単にまとめてみると、

1.「いじめの訴えは母親からのみで、被害生徒との直接面談や、本人からのいじめ被害の確認ができなかった」と主張し、その理由を「母親が妨害したため」だとする校長の陳述書を証拠として提出しています。しかし、実際には、生徒は部活顧問や担任に何度も相談しており、不登校になった後も、自宅に来た担任や校長と直接、話していることが明らかになっています。

2.市は、「いじめ防止対策推進法」について、「法律としての整合性の欠如」、「教育現場に与える弊害を看過しがたい欠陥を持つもの」等であり、同法の「いじめの定義」に該当しているとしても、「被害生徒に対する違法な加害行為にはならない」と強弁しています。川口市は、「いじめ防止対策推進法を遵守しない」と宣言しているかのようだと批判が集中しています。

3.市が証拠として提出した警察作成の文書に、虚偽があったことが判明しています。警察の文書には、学校で開かれた会議に出席していた警察の担当者が、被害者の母親と弁護士に、「被害届の件については、加害生徒は暴力を認めているが、被害生徒が先に2回、足蹴りしていた事実があり、原因を作ったのは被害生徒だと考えられるので事件化が難しいと伝えると、二人とも納得した」旨報告されていましたが、このような事実は存在しなかったというものです。しかも、市は、この文書が「虚偽文書」であると認識しながら、裁判所に証拠として提出したというとんでもないことが起きているのです。

お母様とお話ししましたが、被害生徒が最も傷ついていることは、「何回も先生にいじめを訴えていたのに、先生たちが平気で嘘をついている」ということだそうです。

上記2.の「いじめ防止対策推進法」に欠陥があるとの主張は、日本中から批判をあび、ネットでも大炎上しました。川口市の教育長は、定例会見で、「裁判での主張であって、法を否定しているわけではない」などと釈明しています。批判されたから、理由を後付けしたようにしか見えませんが。

しかし、文部科学省は、法に従うべき行政機関が、法廷で「欠陥がある」と主張したことを重く見て、文科省に、教育長と教育部長を呼び、生徒指導室長による事情聴取を行いました。教育長は、「わかりやすく説明するために欠陥という言葉を用いた」、「法を否定しているとは考えていない」などと説明したと報道されています。対応した文科省生徒指導室によると、「真意を何度も繰り返して尋ねたが、『欠陥があるとは考えていない』と同じ答えを繰り返したので、これを教育長の言葉として受け止める。今後の対応を注意して見ていきたい」とのことです。

本当に、法に「欠陥があるとは考えていない」のであれば、「欠陥がある」との法廷での主張は撤回するはずです。しかし、現実には、その後も、市は裁判での主張を維持したままです。文科省の追及にはしおらしく答えて、結局は何もしない。文科省なんて「ちょろいよ」と思っているかも、あるいは「私が法律だ」と主張したいのでしょうか。教育長は、教育者の一人として川口市の子供たちに恥ずかしくない姿勢を見せるべきです。

上記3.の虚偽内容の警察文書については、「警察までが隠蔽するのか」と大問題になりました。警察は謝罪し、直ちに文書の虚偽部分に二重線を引いて削除しました。被害生徒のお母様が、記者会見で、線が引かれた警察文書の写しを見せてくれました。今後、正しい文書が作成されることになっているようですが、お粗末な対応には間違いありません。

 

大きな問題は、市は虚偽文書であることを知りながら、裁判所に証拠として提出したことです。学校での会議には校長や教頭、教育委員会らが同席していたのですから、警察文書に書かれた内容が、実際の会議での警察の発言と異なる虚偽であることに市側は気付いているのです。虚偽文書と認識しながら裁判所に提出することは、「虚偽公文書行使罪」という立派な犯罪です。弁護士も知っていたのなら同罪です。

 

傍聴後の記者会見は県庁記者クラブで行われ、テレビカメラをはじめ多数の報道機関が参加しました。被害生徒の弁護士とお母様が会見し、報道関係者からは質問が相次ぎ、関心の高さが窺われる記者会見でした。

 

川口市では、この訴訟以外にも、重大ないじめ事件が複数報道されています。2019年9月8日には、男子生徒(高1)が、マンション11階から飛び降り自殺しました。中学でのいじめが原因で、今まで3回自殺未遂をして、自殺未遂の後遺症で車いす生活になっていました。自宅に残されたノートには、

教育委員会は大ウソつき」
「いじめた人を守ってウソばかりつかせる。いじめられたぼくがなぜこんなにもくるしまなきゃいけない」
「くるしい、つらい、ぼくの味方は家族だけ」
「今度こそさようなら」

等と書かれていました。

 

また、2019年の4月には、川口市の市立小学校を卒業したクルド人の少女が、学校ぐるみのいじめにあっていたことが報道されました。6年生になって校長が変わってから、いじめがエスカレートし、男子に背中を蹴り続けられたり、座っている椅子を倒されるなど、陰惨ないじめが続きました。保護者らが学校に相談しても、「(少女は)心が弱いから」などと言われ、校長も教頭も担任も、教員は誰も味方になってくれなかったと報道されています。

川口市のホームページを見ると、「川口市は、いじめのないまちづくりを目指します」との宣言が書かれ、「川口市いじめから子どもを守る委員会」の相談窓口の電話番号が書かれています。

しかし、これまでの教育長の姿勢からはまったく逆の印象しか受けません。「いじめを受けるのは本人に問題がある。いじめられたとしても、その子を守る必要なんかない。いじめられている被害者を黙らせれば、いじめはないことになる」と言わんがばかりで、その考えを川口市の全教職員に徹底させているかのようにさえ見えるのです。

川口市が真剣に「いじめのないまちづくり」を目指すのなら、なぜ、「いじめ防止対策推進法」は欠陥があるから守らなくていい、と主張するのか。なぜ、文科省の指導にも、第三者委員会のいじめ認定にも従おうとしないのか。裁判所が、それをどう判断するのか。今後の経緯を見守っていきたいと思います。