いじめで息子を亡くした母親が手記を今年9月に自費出版 ~ いじめられている子に役立ててほしいと…
2010年にいじめがきっかけで自殺した川崎市立中学3年、篠原
学校が設置した調査委員会の報告書などによると、真矢君とその友人は4人からいじめを受け、日常的にからかわれたほか、ズボンや下着を無理やり脱がされたこともあった。真矢君は10年6月7日、同市麻生区の自宅トイレで硫化水素を発生させて自殺。トイレにあった手書きの遺書には、友人を守れなかったことを悔やみつつ、4人について「決して許すつもりはありません」などと書かれていた。
遺書には、「困っている人を助ける」「人の役に立ち優しくする」ことを人生の目標にしてきたとも記されていた。父親の宏明さん(51)と真紀さん夫妻はこれを息子の遺志と受け止め、13年、いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)に参加。全国の中学・高校などに出向き、講演会で遺族としての経験などを繰り返し語ってきた。
夫妻は手記「問わずにはいられない 学校事故・事件の現場から」(B6判、254ページ)に、9ページにわたって経緯や心境などを寄稿した。
「まわりで見て見ぬふりをするのも、いじめと一緒だ」。真矢君が亡くなった後の教室で教師がそう言ったのに対し、友人が「そんなことは分かっている。でも先生たちだって見てたじゃないか」と反発したことを紹介。月命日のたびに自宅を訪れる友人たちが、止められなかった後悔と自責の念に苦しんでいることに触れ、彼らは「傍観者」でなく「被害者」だと指摘した。
一方、解決に動けなかった周囲の大人が「本当の意味での傍観者」だったとして、教育関係者に「大切な命を失わせた『当事者』という自覚を持ち、命の教育を推進すること」を求め、最後は「自らの命を絶った子供たちに、『またあの世界に生まれてみたい』と思ってもらえる世界をつくることが、私たち残された者すべての責務ではないか」などと締めくくった。
真紀さんは3日、市役所を訪問し、福田紀彦市長に本を寄贈。取材に対し、2月の
手記はネット通販サイト「アマゾン」でも購入できる。問い合わせは出版代理店「L.C.研究所」(06・6430・9306)。