「仲良しいじめ」 は気づかない
新しい学校、クラス、習い事…4月は子どもたちにとって「出会い」がたくさんある楽しい時期であると同時に、「いじめの序章」となりうる季節でもあると、無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』の著者で同ネットワーク代表の井澤一明さんは言います。しかもいじめは仲良しグループ内でも起こりうるというから深刻です。
「お互いを知る」からいじめが起きる
新しい学校や新しい学年になったばかりの今頃は、いじめの相談が少ない季節でもあります。見知らぬ人との間ではいじめは起きません。残念なことですが、お互いを知ることで、いじめが生まれるのです。
はじめはおどおどしながら級友との接し方をさぐっていた子供たちですが、徐々にクラスの中での立ち位置が決まってきます。
リーダーシップがある、運動が得意、勉強ができるよく気がつく、芸能人やテレビに詳しい、忘れ物が多い、よく話す、元気がいい、おとなしい、本が好き、などなど周りの子の特徴が分かってきます。
お互いの距離が近くなり、遠慮がなくなってきて、そしてある日、「いじめ」が起きてしまいます。
今の時代は「いじめ」が起きることが当たり前の時代です。自分の感情を抑えられない子が多いのです。どのようにしたら「自制心のある子」、「自立する子」を育てることができるか、悩むことが多いと思います。ですから「我慢できる子を育てる」ということを考え続けていくことが必要だと思います。
そして担任の先生にとっても、4月は、いじめの無いクラスをつくるためにとても大切な月です。子供たちの「自制心」を引き出すために、ぜひとも
「いじめは犯罪です」、「私は、いじめを絶対に許さない」
「いじめられたら言ってきなさい。先生が守ってあげます」
と宣言していただきたいと思います。
さらにもう一点。この時期は子供たちの「人間関係」について注意を払う必要があります。いじめは「いつもの仲良しグループ」から始まることもよくあるからです。
先生方からも「いじめと遊びの区別がつきにくいので叱りにくい。どこで区別したらいいですか」という質問を受けることがあります。担任にいじめの相談をしても「いじめではないと思いますよ。いつも一緒に遊んでいますから」と取り合ってもらえなかったというお母さんの話もよく聞きます。
確かに、最初は仲良く遊んでいるのです。プロレスごっこや、お弁当グループで話をしたり、ドッジボールで遊んだり、同じ部活になった子たちとふざけあっているなどなど、見ていても楽しそうです。しかし、その関係が少しずつ、少しずつ変化してきます。その中に、いつの間にか、いつもプロレスの技をかけられている、いつもボールを当てられている、毎日、道具を片付けさせられている、という状態になってしまう子がいます。「仲良し」が「いじめ」に変わってしまうのです。
しかし、先生も含めて周りの子はいじめに気付かないことが多々あります。「一緒に遊んでいる」という認識のままなのです。そしてなにより怖いのは、いじめている子さえも「遊んでいるんだ」としか思っていないのです。
繰り返しになりますが、4月は、「いじめの序章」ともなりえる大事な時期です。保護者の私たちとしては子供たちの友人関係に心を配ることが大切です。子供たちが学校から帰ってきた時の声に耳を傾けてあげてください。子供たちの声から、そのトーンや態度から、その後ろにある学校の様子を聞き取っていただきたいのです。
なにか不安に思ったりしましたらぜひご相談ください。いじめの処方箋は「早期発見・早期解決」です。