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いじめで居場所がない子にメッセージ

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松阪市在住の児童文学作家、村上しいこさん(46)は青少年の心の機微を捉えたヤングアダルト文学で注目されている。デビュー12年目の昨年、いじめと短歌をテーマにした小説「うたうとは 小さないのち ひろいあげ」が野間児童文芸賞に輝いた。自身も幼年期に虐待といじめを経験した。「自分を好きになっていいんだよ」。居場所が無い子どもたちに作品を通してメッセージを送っている。

受賞作は短歌を詠む「うた部」の高校生たちを描いた青春小説だ。主人公・桃子と、いじめが原因で引きこもる友人らの友情や恋愛に揺れる気持ちを短歌で表現し、思いを通わせる−−。

 いじめによる自殺が報じられるたび、大人の対応に憤りを感じてきた。「学校はアンケートを取っておしまい。教育評論家は『社会全体で考えなければいけません』と言って終わり。なんの解決にもなっていない」

 津地裁であった男子高校生の自殺を巡る訴訟を2回傍聴した。事務的な手続きを重ねているだけのようで、亡くなった高校生がふびんに思えた。「自分の居場所が無い子が一歩でも前に進めたらいいなあ」。受賞作執筆のきっかけになった。

 今時の中学生、高校生はツイッターなど短文でやりとりすることが多い。「言葉のリズムを短歌に乗せたら面白いのでは」と、全国高校生短歌大会に出場した高田高校(津市)の文芸部を取材。「高校生って言葉が豊か。少し恥ずかしいようなことでも短歌なら言えて良いなあ」と感じた。

 物心付いたときから継母に虐待された。いつも傷だらけで、毎日同じ服を着せられたため、学校ではいじめられた。図書館だけが居場所だった。「全く笑わない子どもだった」と振り返る。

 早く家を出たくて中学卒業後、飲食店などで働いた。22歳のとき「人生をリセットしよう」と鳥羽市内の旅館で住み込みで勤めた。地元を離れるのは初めて。みんな親切にしてくれた。初めて手にした自分の居場所に安心感を覚えたという。

 作品が「暗闇から光をのぞくような明るい物語」になるよう心掛けている。「つらい思いをしている子も本を読んでいるときは明るい気持ちでいてほしい。一人でも多くの子に『誰にでも幸せになる権利があるんだ』と思ってもらいたい」


 《メモ》

むらかみ・しいこ

 津市出身。全国を回って小中学生や教師に、いじめや不登校についての講演を年10回ほど行っている。8月初旬に野間児童文芸賞受賞作の続編が刊行される。主人公たちが1学年進級し、新たな登場人物も。物語のテーマは前作とは異なるといい「詳しくはまだ内緒ですが、楽しみにしていてください」。