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「いじめのある世界に生きる君たちへ」

年が明けた。毎年、自戒を込めて、以下の詩に目を通すことにしている。以前にも書いたことがあるから、またかと思う読者もあるかも知れないが、私にとって年頭行事のようなものなのである。

                   ◆

私はこうありたい-より勇敢で 大胆に もう年なのだから いま少し賢く

出会う人々に もう少し優しく 敗北に対して もっと雄々しく

これが新年の私の願い 私の祈り 神よ 真の人間に なさしめたまえ

 

私はこうありたい-いま少し洗練され もっと微笑み ぐちを少なく

立ち上がりにもがいている人々へ より早く 手をさしのべたい

これが新年の私の祈り 神よ 真の人間に なさしめたまえ

 

私はこうありたい-いま少し公平に より優れ より正確に

すぐ咎め立てや 非難することなく あらゆる人を助け

人の欠点に むきにならない人 神よ 真の人間に なさしめたまえ

 

私はこうありたい-いま少し誠実に 願うだけでなく 行う人に

より広く より大きく 進んで人に与え 隣人に手を貸しつつ ともに生きる人

これが私の新年の願い 私の祈り 神よ 私を真の人間に なさしめたまえ

                             エドガー・A・ゲスト

                   

 年末に、1冊の本と出会った。

 「いじめのある世界に生きる君たちへ」(中央公論新社刊、1200円+税)。サブタイトルに「いじめられっ子だった精神科医贈る言葉」とある。著者は中井久夫さん。日本を代表する精神科医、と解説にはある。

 中井さんは、「いじめ」を人間奴隷化のプロセスととらえ、それが「孤立化」「無力化」「透明化」を経て子供たちを破壊すると解析している。

 大人たちには「いじめのワナのような構造の、君は犠牲者であるということを話して聞かせ、その子のかかえている罪悪感や卑小感や劣等感を軽くしてゆくことが最初の目標でしょう」と語り、「この文章を読んでくれたきみに、『ありがとう』と言います」と締めくくる。どうか一度、この本を手に取っていただきたい。この紙幅では、その内容全てを書き尽くせない。読んでいただくことが「私の祈り」、でもある。

【文化社会部編集委員・石井秀一】