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原発避難いじめ 「心の傷」は…

原発事故のために避難した子どもに対するいじめの状況を文部科学省が公表した。把握されたケースは氷山の一角かもしれない。避難を余儀なくされた子どもらを見守り、異変を見逃さずにいたい。

 調査は、福島原発事故後に福島県の内外に避難した小中高生ら約一万二千人を対象に行われた。二〇一六年度は百二十九件、一五年度以前は七十件の計百九十九件。このうち震災や原発事故に関連したケースは十三件だった。

 調査のきっかけは昨年秋、横浜に避難した男子生徒が小学校時代に、同級生から暴力をふるわれたり、遊興費などのために百五十万円を要求されていたことが発覚したことである。

 同省は十二月、同様のいじめがないか調べるように学校に求め、子どもたちに面談などをして確認を行った。十三件の内容は「福島へ帰れ」「放射能がうつる」などと心ない言葉を投げ付けられ傷ついている場合が多い。被害に遭ってもすぐに親や教師には言えなかったというケースもある。慣れない避難先で不安な生活を送っている子どもが、さらにいじめに遭うのはあまりにも理不尽である。

 原発避難者たちが各地で提訴している損害賠償裁判でもいじめの問題が出ている。避難者に限らず、いじめの問題への対応は難しいが、原発避難という特別な事情を踏まえ、子どもの様子を見守ることで異変のサインもキャッチできる。問題の芽を早めに摘めるのではないか。

 避難者の子どもたちに放射能や賠償金のイメージがついて回るのは、大人が持っている差別や偏見の影響があるだろう。今村雅弘復興相が区域外の自主避難者の避難について「自己責任」と発言した。国策が招いた原発事故なのに、被害者に責任を転嫁するような認識を閣僚が率先して示すようでは、偏見や差別を助長させる。

 松野博一文科相は避難者いじめの防止策として、子どもらが放射線に対する科学的な知識を身に付けることも呼び掛けた。だが、子どもたちに求める放射能の知識とは何を指すのか。原発事故の影響を矮小(わいしょう)化しようとする思惑があるのなら見逃せない。

 横浜の生徒は「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」と手記に書いた。自分と同じように苦しむ子どもたちのために生徒が出した勇気に、大人たちは正面からこたえなくてはならない。