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『元気やでっ』は『わたしのいじめられ日記』と言う手記を原案とした作品

タイトルは『元気やでっ』。NHKの朝ドラにでもありそうなナニワの商人ものや、大家族ものなどを想像しそうであるが……。

社会問題となっていた「いじめ」に真っ向から取り組んだ衝撃作


『元気やでっ』は『わたしのいじめられ日記』と言う手記を原案とした作品。そう、テーマは「いじめ」である。

ある少女の中学生時代の壮絶ないじめ体験を軸にフィクションとして再構成されており、少年漫画史上初めていじめをテーマに本格的に取り組んだ作品となる。
なぜか、脚本・構成・演出に『よろしくメカドック』の次原隆二先生が名を連ねていたこともマニア的には見逃せない異色作だ。

冒頭の解説によると、平成3年(91年)に全国の学校が文部省に報告したいじめの件数は約22,000件。実際の件数はその10倍は下らないとも言われている。
連載されていた95年(平成7年)の前年の秋、愛知県西尾市で同級生によるいじめを苦に中学生が自殺する事件が発生。その後もいじめを苦にした自殺が各地で相次ぎ、学校におけるいじめが大きな社会問題となっていた。

事実、文部科学省のデータを確認したところ、いじめの報告(発生)件数自体はこの年で6万件。昭和61年~平成17年の期間でワーストを記録している。

前園の「いじめ、カッコ悪い。」もこの時期


今やバラエティタレントとなっている元サッカー日本代表前園真聖が出演していた公共広告機構(現ACジャパン)のCMのキャッチフレーズ「いじめ、カッコ悪い。」は96年のもの。いじめ問題に対して様々なメディアが警鐘を鳴らす中、ジャンプもその流れに追随し、この『元気やでっ』の連載にチャレンジしたのだ。

連載と並行して、いじめ問題について真剣に考えるコーナー「J'sサークル」(ジェイズサークル)も掲載。『元気やでっ』の連載終了後もしばらく続ける形で、全国の読者から広く体験談を集め、それを一冊にまとめた『ジャンプいじめリポート 1800通の心の叫び』も発表している。
最も売れていた時代にいじめ問題に本気で取り組んでいたジャンプの姿勢はもっと評価されていいと思う。

リアルないじめ描写が続く、救いのない展開……


『元気やでっ』の主人公はどこにでもいる中学2年生の女の子。明るく素直でお人好し。むしろ、人一倍やさしい性格。それゆえに、からかわれてもイジられても「友達だから」と受け入れてしまっていた。その性格につけ込まれ、「からかい」は徐々にエスカレート。

下校時にカバンを隠される、上履きを水の入ったバケツに入れられる、生徒手帳をズタボロにされた上に罵倒の言葉が書きなぐられると、明らかな「いじめ」となって行く。

激化するいじめは直接的な暴力にまで発展。心配を掛けまいと親や親友にも打ち明けられず、やつれて行く主人公。意を決して頼みの綱の担任に相談するも、見て見ぬふりをするどころか、いじめられる側にも問題があるとし、逆に説教をされてしまう非情の展開……。

クラスでも完全孤立し、自殺を考えるまでに追い込まれてしまった主人公だが、担任はすべてを知っておきながらも黙殺し、いじめの証拠隠滅まで図るのであった……。

その後、校長も含め学校ぐるみでいじめの隠蔽を図るも、主人公は親や仲間に支えられ、写真週刊誌への顔出し実名告白と言う勇気ある決断を選択。市の教育委員会も動く形となり、事態が好転した中で物語は幕を閉じているが、いじめ問題は解決したわけではないのがまたリアルだった。

主人公の最後の微笑み、あなたはどうとらえましたか?


最後まで謝罪の言葉もなく、のうのうと教師を続ける担任教師の胸クソ悪さは異常。
るろうに剣心』なら「悪・即・斬」の精神でぶった斬り、『ジョジョ』なら「ドララララーッ」とスタンドでぶっ倒したくなる圧倒的悪役ぶりだ。ただ、悲しいことにこんな教師が実在するのも事実なのだが……。

荒唐無稽な他の連載漫画との温度差は激しく、読むごとに気分が落ち込むダウナー系漫画であったが、非常に考えさせられる作品であった。
当初から短期集中連載を予定していたようで、全10週で終了。翌週に『ドラゴンボール』が完結したインパクトが強すぎるが、最後に「元気やでっ!!」と微笑む主人公の姿は今でも鮮烈に思い起こされるのである。

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