いじめニュース速報@イジ速

いじめ事件 ・イジメ ニュースを発信中!スマホいじめが増加!子供達をいじめから守ろう!

絶望的アンケート、失われた教師の信頼

shutterstock_698375806

2016年度児童生徒の行動に関する調査結果

10月26日、文部科学省より、全国の国公私立小中高、特別支援学校が対象の2016年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果が公表されました。

いじめ認知件数は、軽微なものも積極把握するとの文科省方針もあり、全体で9万,8676件増43.8%増の32万3,808件と過去最多を更新しました。内訳を見ますと、小学校は23万7,921件、中学校は7万1,309件、高校は1万2,874件、特別支援学校は1,704件で、小中学校については調査を始めた昭和60年度以降、最も多くなりました。

いじめのうち会員制交流サイト(SNS)など「パソコンや携帯電話での中傷嫌がらせ」の認知件数は、前年度から1,596件増の1万783件。命や心身に重大な被害が生じたとされる「重大事態」は、前回より86件増え400件。自殺した児童生徒は、前の年より29人増え、244人で、うち10人がいじめに遭っていました。

一方で、依然として学校や地域での意識の差がうかがわれるデータもありました。今回、いじめを認知した学校は全体の68.3%で、前年度より6.2ポイント上昇しましたが、3割強の学校はいじめを1件も認知していないことになります。いじめの認知件数が前年度比1.4倍にもなっているのに、この結果には疑問を感じます。実際、文部科学省も「これだけ多くの学校でいじめが全くないとは思えない」という趣旨の指摘をしており、認知件数の少ない自治体には、ヒアリングを行うなどして助言することも検討しているそうです。

また、都道府県別でみてみると、児童生徒1.000人当たりのいじめの件数は、全国平均で前年度より7.4件増加し23.9件でした。特に青森県は前年度比4倍以上の38.8件に急増。いじめ自殺事件の影響が、かなり出ているものと思われます。

自治体間の格差ですが、京都府が96.8件と最も多かったのに対して、最も少なかった香川県は5件ちょうどで、2つの県の差は19倍以上ありました。軽微なものも積極把握するとの文科省方針があったにもかかわらす、20倍近くの差というのは、どう考えてもおかしいとしか言えません。文部科学省は「まだ法によるいじめの定義をしっかり認識していない学校や地域があると考えられる。今後も法の趣旨や認知の必要性を周知していく」としています。

 

もう1点、考えさせられる情報として「いじめの発見のきっかけ」というデータがあります。これによると、約半数がアンケートにより発見されています。本人からの訴えが約2割本人の保護者からが約1割学級担任が同様に約1割となっています。

アンケートの重要さが浮き彫りにはなったのですが、学級担任からの発見が1割程度という事は、生徒一人一人に目を向ける余裕がなくなっているのではないかと心配されます。また、本人からの訴えが2割ということも、担任との信頼感が薄れているように感じます。それと、保護者らの訴えも1割程度にしかなっていないということは、本人が両親へなかなか相談しきれていないという現状もあるのではないでしょうか。

さて、前年度比1.4倍、32万件となった、今回のいじめ認知件数ですが、取手市で代表されるように、頑なに「いじめ」を認めない教育現場は、少なくありません。また、いじめ相談を受けても、放置しているという事例も、後を絶ちません。これらの事を考えると、実際のいじめ認知件数というのは、さらに膨大な数になるのではないでしょうか。

しかし、いじめの認定は大事なことではあるのですが、もっと大事なことは、いかにいじめを解決するかということではないかと思います。今回の情報では、加害生徒の保護者への報告が半数弱被害生徒への謝罪指導も半数弱という状況です。どちらの項目も、いじめ解決に当たっては、大切な項目です。

きちんと保護者に報告して、家庭と学校の両方で指導していくこと。自分が誤った行動をしたのなら、相手に謝罪するのは当たり前の事です。にもかかわらず、半数弱というのが現状では、学校のいじめ解決力もまだまだなのではないでしょうか。文部科学省も、数字の報告で終わるのではなく、この数字から問題点を洗い出し、次なる改善に進んでほしいものです。

いじめ問題に関しては、黙っていても学校が何とかしてくれるだろうと思っていては、解決しないことが多いのが現状です。アンケートを実施しても、いじめが発見されるのは半数にしかなりません。保護者の皆様も、積極的に行動し、学校と力を合わせて、解決していくことが大切だと思います。