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「沖縄のいじめの実態! 大人に言いたいこと」

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「沖縄に住む大人たちに聞いてほしいことがあります」−。こんな一文で始まるブログが昨年11月、インターネット上に現れた。

 筆者は石垣島出身で「ゆか」と名乗る19歳。「すごくすごく大好きな地元だけど、私はずっとこの島で違和感を抱いて過ごしていました」。いじめやリストカット、貧困、親の暴力。同世代を取り巻く環境を明かし「なんで気づかないの??と苦しくて大人たちへの怒りでいっぱいで叫びたくなった」とつづる。

 「どれだけ沖縄の海が美しくても、そこに住む子どもの心や体は対照的に荒んで助けを求めています」

 記事は瞬く間に拡散。ブログ開設わずか1週間で6万アクセスを超えた。県出身タレントのりゅうちぇる(22)も「僕も立ち上がらないと」と共感を寄せ、石垣市議会では市に筆者と会うよう迫る意見も出た。

「心をえぐられるような作業」

 ブログを開設したのは慶応大1年の島尻優楓(ゆか)(19)。昨年春に生まれ育った石垣島から上京したばかりだ。

 「ナイフで切られ、トイレットペーパーを口に入れられた」「○○菌って呼ばれた」。優楓のスマートフォンには、10代のいじめ被害者からの長文が絶えず届く。顔見知りもいればネットでつながった人もいる。

 「言いづらいことを話してくれてありがとう」「気持ちよく分かります」「相談できる人はいた?」。画面上の無機質な文字の行間ににじむ心の機微に神経を集中させ、一人一人に具体的な経緯を尋ねていく。

 「心をえぐられるような作業」と優楓は表現する。自身もまた小中学校時代にいじめを受けた。他人であっても細部を聞くのは、自ら心の傷のかさぶたをはがすのと同じ。「苦しいですよ。追い込まれて自殺する夢もめっちゃ見る」。一時は大学の保健室で寝込む日々が続き、カウンセリングも受けた。

 それでも「気持ちが分かる当事者こそ立ち上がらないといけない」と自分を奮い立たせる。目指すのは、10代がいつ、どこにいてもいじめの悩みを相談でき、心のよりどころにできるアプリの開発だ。

 志を共有するのは読谷高1年の佐久間かざり(15)。いじめで同世代が自殺したニュースを見て、何度も心を痛めた。一人でも多くの経験をアプリに反映したいと、2人は1年間で県内外千人以上のいじめ被害者の話に耳を傾け、寄り添ってきた。

 優楓は誓う。

 「私自身つらかったし、友達も助けられなかった。せめて現状を変えていける大人になりたい」

「もしかしていじめられてる?」

 学級委員長を任されるような優等生で、そこそこスポーツもできる読書好きな少女だった。「当時のことはよく思い出せないし、思い出したくない。包丁で心をぐさぐさ刺し続ける感じになる」。いじめられた記憶が今も、島尻優楓(19)の心を縛る。

 最初に「もしかしていじめられてる?」と感じたのは小学校4、5年生のころだ。ある日突然、何をするにも一緒だったグループの数人に無視された。さらにクラスメートの前でばかにされ、わざとぶつかられ、プリントをしわくちゃにされた。教師に見えないよう毎日繰り返される「ちょっとした嫌がらせ」。殴る蹴るではなく、心への暴力だった。両親を悲しませたくないと、家では普段通り振る舞った。

 「彼女たちは嫌がらせしながら、楽しそうに笑ってた。今もその顔は忘れられない」。いつしか誰かがこそこそ笑い合うのを見るだけで、悪口を言われていると感じるようになった。

 小6の夏。小1から大切に扱ってきた読書カードが何者かにぐちゃぐちゃにされる事件があった。さまざまな世界に出会える読書が好きで、毎年「多読賞」を取るのが自慢だった優楓には「何よりつらい思い出」。次第に人と関わることが怖くなった。「私の何が悪かったのか。いじめられる理由を考えても分からなくて苦しかった」

「何があっても味方だから」

 中学校に入学し、一時はやんだいじめ。だが、1年の夏に再び始まった。

 通りすがりに「死ね」などと暴言を吐かれ、学年中に根も葉もないうわさを流された。「正直もう思い出せない。記憶の中から消えちゃった」。学校に居場所がなければ生きる意味がないように思え、どうしたら楽に死ねるか、シミュレーションもした。「当時を思い出すと、憎しみや悲しみでぐちゃぐちゃになる」

 学校側の対応で、優楓の心は一層ささくれ立つ。いじめを相談した教師には「証拠がない」と取り合ってもらえなかった。

 耐えられなくなって両親に打ち明けた。「どんなことがあっても優楓の味方だから」。その言葉が支えになった。「私が死んだって、いじめた子たちは罪悪感なんて持たない。悔しくて、今は何もできないけどとりあえず耐えるって思えた」。いじめの原因が分からないまま、自分を責め続けてきた優楓にとって「あなたは悪くないよ」と言ってくれる存在は大きかった。その体験が、いじめ相談のアプリ開発を思い付いた原点だ。

 「いじめの証拠がないと言われるなら、記録するしかない」。自分を守る苦肉の策として、制服にICレコーダーを忍ばせ、学校に通うようになった。

「証拠がない」−。突き放すような教師の一言で、当時中学1年の島尻優楓(ゆか)(19)はやむなく制服のポケットにICレコーダーを忍ばせた。いじめを認めてもらうため、嫌がらせを受けるたびに手のひらサイズのメモ帳にアリほどの小さな字で時刻や概要を書き込んだ。

 自分のかんに触る態度が引き金だったのかもしれない。でも、ここまで追い詰められるほどの行為は絶対にしていなかった。「学校もいじめた側もいじめを認めてくれない。平気で人を傷つけても許されるのか」。悔しさが募った。

 第三者の力を借りようと、勇気を振り絞りスクールカウンセラーに面談を求めた。だが1カ月待たされた上、相談内容は無断で教職員に共有されていた。授業中、クラスメートの前で生徒指導室に呼び出された。

 静まり返る室内。ほとんど話したことのない生徒指導の男性教師に、カウンセラーに打ち明けた細部を再び話すよう求められた。

 つらい記憶は口にするだけで心が押しつぶされそうになる。なのに、教師の態度は「尋問みたいでめっちゃ怖かった」。疑われているのか、とさえ感じた。「なんでこんなに頑張らなくちゃいけないんだろう」。音声やメモは全て学校側に提出した。クラス替えを機に中2でいじめは影を潜めた。

 しかし、今度は過去の自分に重なる姿が目に付いた。「嫌な空気感にすごく敏感になった」。部活で女子10人にボールをぶつけられていた同級生がいた。

 「親か先生に話した方がいいよ」。人目を避けて声を掛けると、彼女は「忙しそうな親に心配掛けられないし、先生に言えば余計ひどくなる」と泣きだした。「彼女の感情が心に流れ込み、痛いほどだった。でも中学生の私は何もできない。親と教師以外に頼れる場所が分からなかった」

 男子数人が、身体的な特徴を理由に同級生をいじめているのも見掛けた。止めたくても怖くて足がすくんだ。教師に訴えたが、解決した様子はなかった。

 高校で、いじめの記憶にふたをした。だがニュースでその3文字が流れるたびフラッシュバックする。いじめから同級生を救えなかった負い目も引きずった。

 転機は高3。地元を出るきっかけを探し、企業支援による人材育成プロジェクト「Ryukyufrogs(琉球フロッグス)」に応募した。本島での研修で当時中3の佐久間かざり(15)と出会い、初めて過去に正面から向き合った。10代目線のいじめ相談アプリ開発のアイデアが生まれた。