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「いじめは、あなたが“病気”だから」教師に絶望した中2

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「いじめられているのはあなたが“病気”だから。それを治さないと、周りは変わらないし、誰も助けてくれない」

 いじめの悩みを打ち明けた教師の答えに、当時中学2年のまぁ〜ちゃん(27)=本名・城間勝、嘉手納町=は言葉を失った。教師は救いの手を差し伸べるどころか、偏見に満ちた言葉で追い込んだ。「先生の言葉と絶望感は今も忘れられない」。それから大人を信頼しなくなった。

 ある時、学校の廊下の隅で同級生に羽交い締めされた。声も出せず、「殺される」と本気で思った。それから死を意識するようになり、「いつか殺されるかもしれない。どうせ殺されるなら自分で死のう」と、迷惑を掛けずに死ねる場所を探したりもした。

 同級生には拒絶され、大人には否定された。話し相手もいない。「学校に私の居場所はなかった」

 「知っている人がいない所に行きたい」。まぁ〜ちゃんは生まれ育った嘉手納町を離れ、隣の読谷村にある読谷高校に進学した。そこにはいじめた相手もいなかった。祖父母から教わったしまくとぅばを流ちょうに話すことが話題になり、同級生らが関心を持った。「あなたのことを知りたい」というクラスメートも現れた。

 「今なら本当の自分を表現できる」と青ストールを巻き、アクセサリーやメークをして登校するようになった。同級生は、それを受け入れた。

 高2の時、全校集会で意見発表の機会があった。友人は「自分自身のことを書いたら」と背中を押してくれた。「今なら言えるかも」という期待と「言ったらどうなるだろう」という不安。葛藤はあったが、LGBT(性的少数者)の小中学生がいじめられ、自殺するニュースに、いたたまれない気持ちがあった。

 「同世代の子たちが性の問題で命を落としている。不幸な出来事をなくしたい」と、意見発表することを決意。「私が私であるために」と題して舞台に立ち、自分の性をカミングアウトした。

 気持ちは楽にはならなかった。想像以上の反響に戸惑い、告白への後悔もあった。その一方、自ら道を切り開く「覚悟」を決めた瞬間でもあった。地元を離れ、新たな人間関係がつくれたからこそ、踏み出せた一歩かもしれなかった。

 まぁ〜ちゃんは当時を振り返りながら、こう語る。「いじめで追い詰められたら、身を守るため、環境を変えるなどして逃げてもいい。周りの人も、それを受け入れてほしい」

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「自分より年下の世代に同じようなつらく、悲しい思いはさせたくない」

 高校時代、自らの性をカミングアウトしたのを機に、まぁ〜ちゃん(27)=本名・城間勝、嘉手納町=は異質な存在を差別し、排除する社会を変えたいと動きだした。性の違いで受けたいじめ体験から、特にLGBT(性的少数者)への理解を促す活動に取り組んだ。

 大学時代は中高生らに体験を語り、人と違うことは悪くないと訴えた。「自分にも当てはまるかもしれない。カミングアウトしたい」と言う生徒も現れた。「性の違いによるいじめや自らの性を打ち明けられず苦しんでいる子たちを励ましたい」。その思いは少しずつ届いていると感じた。

 2014年。まぁ〜ちゃんと同じく、男でも女でもないセクシュアリティー(性の在り方)の双子「らむ」と「らん」に出会った。2人も多様な性を知ってもらい、違いを認め合える社会にしたいと願っていた。意気投合した3人は「おねぇカラーズ」を結成。新たな同志とともに活動の幅を広げ、決意は揺るぎないものになった。

 まぁ〜ちゃんは現在、沖縄市男女共同参画センターの嘱託職員として、LGBTの相談業務にも携わる。

 昨年12月には西原南小学校の6年生を対象に、体と心の性について講演。自身のいじめ体験や、クラスに1人か2人はLGBTが存在するという統計データを紹介し、身近な存在であることを伝えた。

 「みんなと性が違う人に出会うかも知れないし、当事者になるかもしれない。その時、自分は何ができるかを考えてほしい」と語り掛け、こう続けた。

 「人と違うことで傷つき、苦しんでいる人の声に耳を傾けて。『無理しなくていいんだよ。よく死なないでいてくれたね』。そう言ってあげて」

 講演後、児童が「話を聞けてうれしかった」と声を掛けてきた。自然な事として受け入れる子どもたちの姿に、社会が変わりつつあると実感した。

 一方で、現状を変えていく厳しさも理解している。最近も、沖縄本島内の中学校で性同一性障がいの生徒を教師が差別的な言葉で傷つけたという話を耳にした。「異質なものへの偏見をなくすのは難しい」

 それでも、まぁ〜ちゃんは諦めない。「社会全体で理解を深め、いつの日かLGBTという言葉そのものをなくしたい」

 その目標に少しでも近づけるよう、出会う人々に満面の笑みで語り掛ける。「まぁ〜ちゃんと呼んでください」