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いじめの場が校庭からオフィスに移っただけ

1年前のことだ。ある大手エージェンシーの人材責任者のところに、クリエイティブのチームがやってきて、上司(クリエイティブ担当)が職場環境を険悪にしていると訴えた。彼らの話を詳しく聞いたところ、一般的な批判を超えた「過剰な」フィードバックを感じていると語り、「いじめ」という言葉を使った。この人材責任者は調整をして、このチームのアカウントを変更することにした。

数カ月後、そのうちの一部が再度やってきて、新しい上司についても同様の問題を訴えた。

「どうしたらいいのかわからなかった」と、この人材責任者。「ある意味、こうなったら私にできる仕事はないとも感じた。それでも、真剣に受け止める必要があった。この手の問題はいま、とても真剣に受け止める必要があるからだ」と語った。

ハラスメントが国民的な議論の中心になる一方で、仕事における別の問題もどうやら注目を集めている。職場のいじめだ。

ハラスメントとの違い

エージェンシーの業界団体である米国広告業協会(4A’s)が先日、「職場啓発」の認証プログラムを立ち上げた。このプログラムが解消を支援する対象には、セクシャルハラスメントだけでなく、エージェンシーの職場におけるいじめと恫喝も含まれている。プログラムでは、権力、地位、ジェンダー、人種関係に関する問題や難しい対話について、自己評価のツールとトレーニングを、幹部や人事権者向けに提供する。

広告とメディアの従業員支援組織であるNABSは、「アドバイス」電話を英国に設置しているが、内部の数字によると、職場のいじめに関する問い合わせは25%も増加している。

「クリエイティブにはふたつのグループがあるというのが私の考え方だ」と、先の人材責任者。「フィードバックを好み歓迎するグループと、やったことを批評されるのが我慢できないグループがある。今回のケースは、後者ばかりだったのだろう。『このまぬけ』などと言われているのなら、もちろんそれはいじめだ。しかし、そうでないのだとすれば、指導しているだけで被害者が生まれる状況になりつつあるということになる」と語った。

いじめとハラスメントは区別が難しく、同じくくりにされていることが多い。しかし、いじめのほうが特定や解決が難しいとはいえるだろう。まず、ハラスメントは、性的指向ジェンダー、人種といった象徴するものによって狙いが定まる。しかし、いじめはそうではない。さらに、ハラスメントは違法であり、そのため被害者には政府機関など外部に訴える選択肢があることが多い。いじめは曖昧な領域が少し広く、被害者の駆け込み先は人事部だけということが多い。また、いじめがより一般化する特有の要因がエージェンシーにはありそうだ。

業界特有の問題

いじめになる可能性があるものとしては、過剰な罵り、仕事を批判する際のフィードバックを超えた辱めなどがあり、場合によっては、強い言い方や悪態もいじめになりえる。また、うわさ話、のけ者にして孤立を感じさせること、侮辱、恣意的な批判などもいじめになりかねない。無視のような、言葉によらないきっかけもある。クレジットを奪う剽窃も、エージェンシーを中心にクリエイティブ業界によくある例だが、いじめになる。ハラスメントと違って、いじめは高い地位が不可欠ではない。

あるエージェンシー従業員は(名前を出さないように求めた)、クリエイティブな業界のいじめはエゴを通じて顕在化することが多いと語った。この業界はエゴが欠かせない。賞が燃料である業界では、受賞は素晴らしい重要な仕事をしているという大切な――不可欠な――確認を与えてくれるのだ。

クリエイティブの能力は測るのが難しい。広告は特にそうであることから、受賞の数が重要になる。そして、このエージェンシー従業員によると、通常、受賞数がとりわけ多い人が、一番のいじめ加害者になる傾向がある。

つまり、エージェンシーは社内競争が激しいのだ。「自分のアイデアが勝てるように、自分が勝てる仕事の一員になれるように頑張る。だから人々が攻撃的になる。とても有名な人がいる大きなエージェンシーは特にそうだ」と、この従業員は語った。

仕事に欠かせない要素

4A’sで人材エンゲージメントと包摂のSVPを務めるキーシャ・ジャン=バティスト氏は、声明で次のように述べている(いじめに関して具体的なコメントを求めたが、4A’sの幹部の対応はなかった)。「我々のアプローチは、問題をすぐに解消するものではないが、こうした振る舞いを可能にしている根本問題に対処するものだ。セクシャルハラスメントに光が当たっているが、人種、年齢、障害、同性愛による差別も同じくらいまん延している。必要とされているのは、みんなの社会意識が高く、誰もが文化を理解し、互いに思いやる労働文化だ」。

バートンF.グラフ(Barton F. Graf)の創業者で最高クリエイティブ責任者のゲリー・グラフ氏は、この業界は否定が極めてありふれており、クリエイティブは特にそうだと語った。「クリエイティブの日常は90%が否定だ」とグラフ氏はいう。クリエイティブパートナー、クリエイティブディレクター、グループのクリエイティブディレクター、そして最終的にはクライアントにアイデアをボツにされるこのビジネスでは、否定派はありふれた、欠かせない要素なのだと同氏は語った。

問題はいじめをどう識別するかだ。ある人にとっていじめであることが、ほかの人からすると率直なフィードバックに過ぎないということはよくある。「アイデアが上司たちに嫌われている、あるいは良くないと思われていると感じていて、ボツにされた場合にいじめだと感じるケースもある」と、あるエージェンシー従業員。この従業員は、アクセントのマネをしてからかわれることが多いと語った。

実質なにも変わらない

クワイエット・ストーム(Quiet Storm)創業者のラニア・ロビンソン氏は、業界情報サイトのキャンペーン(Campaign)による記事で、エージェンシーはある意味、「陰の中傷」が報われる構造をとりわけ生み出しており、底流において実際にいじめが報われているのだと語った。

いじめはストレスが多い環境でより起こりがちで、エージェンシーはそのひとつだ。「仕事もキャンペーンも最新のものでしか評価されないと感じることが多い」と、ある下位のクリエイティブ職員は語った。つまり、上に行くためにできることをやる必要があり、彼の場合、不採用時にいじめられていると感じることが多いという。

別のエージェンシー従業員は、いじめは世代問題だと語った。「『自分は若いころ耐えたのだから』といった部分がある程度あり、私自身、キャリアにおいて言われたことがある」と、この従業員。「当時がひどかったのだから、いまもひどくする、という感じだ。私は、『いや、ひどいことをする必要はないのではないか』みたいなところがある」と語った。

「プログラムも発表も取り組みも結構だが、結局のところ、実施すること、しないことについてはトップから降りてくる」と、4A’sのトレーニングプログラムにサインしたある幹部はいう。「ひどい振る舞いに対して、本当に行動が取られたり実質的に影響したりということはないことが多い。扱いにくい人間だと見なされるだけというのが普通だ」と、この幹部は語った。

高校生のようなやり方

米DIGIDAYはこの記事のために、エージェンシーのミレニアル世代10人に声をかけ、職場でいじめられていると感じたことがあるか尋ねた。回答者は全員が匿名を要求した。女性2人が、高校のような「党派的」なやり方で女性からのいじめを感じていると語った。「あからさまにフィードバックされるのがひとつ。あと、オープンオフィスの環境で同僚の前でそれをやられるのがもうひとつ」という回答者もいた。人事部に行ったところ、いじめている人物に直接、話をするように言われ、状況が悪化したという回答もあった。

「いじめは確かにあって、いかにも高校生のようなやり方だ。校庭からオフィスに移行したのだ」と、この回答者は語った。