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小中学校で道徳を正式教科に、いじめ自殺の遺族「逆効果」と懸念

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小中学校で道徳を正式教科に昇格させる大きな意義として、文部科学省はいじめ問題への対応を挙げ、各教科書ともいじめに関する内容を扱っている。だが、いじめによる自殺で子どもを亡くし、教育現場で講演活動を続ける遺族の女性は、教科書に沿って教え、教員が子ども一人一人に評価を付けるやり方は「逆効果」と指摘する。 (柏崎智子)

 検定に合格した各社の中学道徳の教科書では、読み物に加え、登場人物の気持ちを考える視点を提示したり、生徒同士で演じて議論するよう促す仕掛けも盛り込まれた。会員制交流サイト(SNS)などのネットいじめにも触れている。ある教科書会社の担当者は「いじめの記述にはかなり力を注いだ」と強調する。

 しかし、二十年前にいじめによる自殺で高校一年生だった長女を亡くした横浜市の小森美登里さんは「子ども一人一人の感じ方や胸に落ちるまでの時間はさまざま。先生と生徒の上下関係がある中で、統一の教科書を使って教え込み、評価まですると、子どもの感じる力に枠をはめてしまう」と懸念する。

 十五年前からNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の理事として、いじめを減らす活動を続け、これまでに学校を中心に千四百カ所以上で子どもたちや教員、保護者らを対象に講演してきた。「正しい結論」は出さず、考えるきっかけをつくることを心掛けている。だから「いじめはいけない」「命は大切」とは絶対に言わない。「分かりましたか」と念を押すこともしない。

 いじめを防ぐカギは、いじめてしまう側の子どもの心へ響く働き掛けだと感じている。講演では最初に「途中でトイレに行ってもいい。眠かったら寝てもいいよ」と伝え、いじめっ子たちへ逃げ道を用意しておく。「もぞもぞ動いて笑って居づらそうにしたり、寝たふりをしたりでもいい。それが葛藤している証拠だから」

 東京都内の中学教諭(26)も、道徳の教科化がいじめ防止につながるという考えに違和感を持つ。「人の気持ちが分かればいじめをしなくなるという前提のようだが、いじめっ子はどうすればどれくらい他人が傷付くか分かってやっている」

 特別活動や学校行事と並ぶ扱いで授業が行われている今は、子どもたちの状態に合わせた教材を選ぶことができる。正式教科になれば、「いじめはいけない」というトーンに貫かれた教科書が使われ、授業へ積極的に参加する姿勢が評価されるようになるという。

 この教諭は「教科書ができると『授業をこう進める』という形が決まってしまう。教員にとってある意味やりやすいが、子どもは評価を気にして思ってもいない立派な感想を書くようになるのでは」と心配する。

 教科書を使った道徳の授業は小学校ではこの四月から、中学校ではその一年後に始まる。小森さんは授業を担当する先生たちへアドバイスを送る。「教えようと思わないで、まず、あなたには自由に幸せに生きる権利がある、と一人一人に伝えることから始めてほしい。愛され、必要とされ、幸せに生活する子どもは誰かを傷つけようという発想はしないから」

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