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「実名投稿」裁判”ネットいじめ”の苦悩

ある親子の行動が“ネットいじめ”に対する、抑止力に繋がるかもしれない。

中学時代、いじめを苦に自殺未遂を繰り返したという16歳の男性・Aさん。

ネットの掲示板にAさんに対する誹謗中傷の数々が投稿され、さらに「実名」まで書かれていた。

そこで今年6月、実名を書いた人物などを特定するため、Aさんと母親はインターネット接続会社3社に対して「情報開示」を求める裁判を起こした。

「とても辛かった」被害者が明かす悲しみ

事の発端は2015年。

Aさんは、埼玉県川口市の中学校に入学した直後から、同級生や先輩に悪口を言われるなどのいじめに遭っていたという。

また、Aさんの靴には「しね」という文字が書かれ、LINEには「しねかす」「ごみおつ」などの文字が…。

こうした“いじめ”に遭ったAさんは手首を切ったり、家の窓から飛び降りようとするなど、自殺を図ったという。

Aさんは「首を絞められたりとか、『死ね』『ウザい』とか『お前はみんなに嫌われている』とか、とても辛かった」と心境を明かした。

Aさんの母親は一番つらかったことを「息子に死にたいと言われた時。引っ張られて引きずられたり、そんなことをされていじめも止まないで、結局自殺未遂して、本格的に不登校になってしまった」と話した。

母親はいじめ被害を学校側や市の教育委員会に訴えていたというが、適切な対応がなされなかったとして、現在は川口市を相手取り、損害賠償を求める訴訟中だ。

“ネットいじめ”などの抑止力に?

さらに去年の10月、ネット掲示板に「イジメられてるじゃなくて、嫌がられてるんでしょ。自作自演じゃないんですか?」といった誹謗中傷が書き込まれ、更にAさんの「実名」まで書き込まれた。一方、書き込みはすべて「匿名」だった。

Aさんの母親は「こちら側が注意することもできないですし、話し合いをすることも当然できないですし、ただただ腹立たしいというか、卑怯だなという部分は大いにあります。あまりにもひどい…。それで個人特定にかかろうということで」と投稿した人物を特定するため、裁判を起こした。

判決が下ったのは12月10日。インターネット接続会社3社に対し、東京地裁は実名などの投稿によってAさんのプライバシーが侵害されたことは明らかである、ということから、投稿者の氏名、住所などの「情報開示」を命じた。

Aさんの母親は「(子どもの)ネットいじめに関して『開示命令』というのが今までなかったようです。(匿名での誹謗中傷の)抑止力になるというのは、多くの方から頂きました」と話した。

この判決についてネット犯罪に詳しいアークレスト法律事務所の野口明男弁護士は「ネット上だと、どうしても匿名で投稿できると考え、軽く投稿しがちなのですが、このような事例(判決)が出ることで、匿名での書き込みは減ってくるようになる」と指摘。

野口弁護士は、今回の判決は“いじめ”だけではなく、ネット上のさまざまな誹謗中傷に対する抑止力に繋がる可能性があるとした。

また、「投稿した本人を特定した上で、損害賠償請求をしていくという例はこれから増えていくと考えられます。(匿名の投稿に対する)対抗措置をとっていくことが出来るということが、今後はよくあると思います」と話した。

判決を受けAさんは「加害者の人(匿名の投稿者)にも『やっちゃいけないことをした』ということをわかってほしいです」と話した。