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衝撃!!知られざる「いじめ後遺症」

いじめの「隠れた傷あと」

 都内に住む40代の私は、妻との間に中学生の長女と小学生の長男の二人の子どもがいます。2年前、当時小学3年生だった長男がいじめに遭いました。家族で苦しみながらも、「いじめ」自体は何とか乗り越えました。しかし、「いじめ被害」とは今もなお、闘っています。

 私たちが直面している「いじめ被害」には、二つの側面があります。一つは、「いじめ後遺症」の深刻さです。いじめによって被害者に後まで残る悪影響です。

 長男が受けたいじめは、「くさい」「あっち行け」「くっつくな」といった言葉の暴力が中心でした。

 長男は不登校になりました。夜は母親が横にいないと眠れず、寝付いてからも毎晩のように「うーん、うーん」と苦しそうに唸る状態が続きました。

 また「くさい」と言われたのが心に残っていたのでしょう。お風呂に入ると、「きれいにするんだ……」と呟きながら、いつまでも身体をタオルでこすり、肌が赤くなるほどでした。命を絶つことすら考え、それを言葉にしたこともありました。

 イギリスの2015年の研究では、子どものときに同級生から受けたいじめは、大人から受けた虐待よりも深刻な精神的影響を与えるといいます。

 東京大学大学院の2014~2015年の研究報告も、子ども期のいじめ被害は中年期に至るまで、抑うつ・不安などの精神疾患発症リスクに加え、肥満傾向、さらに血液中の炎症反応の程度を示す炎症指標といった「隠れた傷跡」としての慢性的な影響を与えることを明らかにしています。

 実際、今も長男は救急車のサイレンや雷、怖いニュースなどに敏感です。いじめ被害によって過度に心配症になったのではないかとも感じます。フラッシュバックやトラウマ、性格への悪影響などの「いじめ後遺症」は、長男が成人になって以降も、親として心配し続けなければなりません。

いじめは被害者家族全体をむしばむ

 もう一つは、被害者家族への「いじめ二次被害」です。いじめによる児童への被害とは別に、事後、保護者もそれによって苦しむということです。“二次被害”といえば、例えば「セクハラ二次被害」があります。セクハラ被害を受けた女性が、事後、その状況を詳しく聞かれるなどで更に苦しむケースです。

 当時、私も妻も長男の命を守ることを最優先にいじめ事件に必死に対応しました。校長や副校長ら学校側と何度も面談し、なかなか連絡がとれなかったいじめ中心者の父親を待ち伏せして、直撃したこともありました。

 こうした日々を送るなかで、私たち夫婦は心身のバランスを崩しました。夜は2人とも眠れなくなり、私は耳鳴りを発症。妻は原因不明の腹痛に悩まされました。

 妻は大きな病院で精密検査を受け、ストレスが原因と診断されました。しかし、腹部の違和感は2年経った今も続いています。

 後期高齢者の私の母と我が家は絶縁状態になりました。いじめ対応で疲弊している私たちに「(長男に)精神科を受診させて薬物投与を!」「(長男の)名前がよくないからいじめられたのかもしれない。改名をしたら」などと強く言ってきたことがきっかけです。今になって考えると、高齢の母にとっての「常識」をもとにすれば、仕方ない発言もあったのかもしれません。

 ただ間違いなく言えることは、いじめは、被害者は当然のこと、その家族の心身までも蝕み、家族関係を壊すほどの破壊力を持つということです。

カウンセリングと保護者ケア

 そのような状況の中、私たちを支え続けてくれたのがカウンセリングです。

 私と妻は、学校から紹介されたスクールカウンセラーと度々面会してきました。つらい思いを受け止め、時に適切なアドバイスをくださったお陰で、何とか最悪の事態を避けられました。

「いじめカウンセリング」といえば子どもへの対応、というイメージがありますが、保護者へのケアも重要です。

 いじめ被害を受けた子どもと向き合う際は、保護者ができるだけ心身ともに穏やかであることが大切です。家族など身近な人との「あたたかい関係」が、いじめ被害による悪影響を小さくするとの研究報告もあります。

 実際、妻はそういったアドバイスを受けて、できるだけ「よく待って」長男の声を聞くように努めました。そうして聞いた子どもの訴えは、まさに「心の傷」から溢れ出した言葉でした。長男は「いじめの風景」を自分なりの言葉で語り、その行為を通して少しずつ癒されていったような気もします。

「いじめ対応・最優先」を!

 日本のいじめ対策は、まだまだ不十分です。いじめ予防授業などの研究の進展も必要です。いじめ後遺症など「いじめ被害」による長期的な社会コストと比較すると、学校での予防教育プログラムの費用がいかに安いか、といった研究も海外ではあります。

 日本も「子どものいじめ対策」を早急に進めることが、将来的には「大人のいじめ」であるセクハラ・パワハラ対策、そして今後の外国人労働者問題の対策にもなるのではないでしょうか。

 また、現在の学校教育は「学力向上ファースト」ですが、最も大切なのは「安心できる安全な教室づくり」のはずです。それが結果的に学力向上にも繋がります。

「いじめ対応・最優先」。この発想が一日でも早く、全国に広まって欲しいと願っています。