いじめる子は親の背中を見て学び育つ
子どもがいじめに走る原因として、育った家庭環境が関係しているといわれます。
幼いころは生活の中心が家庭にあるので、それが心の成長に影響を及ぼさないほうが不思議ですからね。
もちろん、家庭だけがすべての原因だというわけではないでしょうが、「子どもは親の背中を見て育つ」という言葉があるように、家庭における親の子への接し方が、その後の子どもの人格形成に大きな影響を与えることは疑いの余地はありません。
これはいじめだけではなく、子育てをするうえで注意すべきことです。
子どもがいじめっ子になりやすい家庭の特徴
1.親が日常的に暴言を吐いたり、暴力を振るっている
子育てをするうえで、しつけをどのようにするかは難しい問題です。確かに、いくら言葉で説明しても言うことを聞かないときには手を挙げてしまったり、暴言を吐いてしまったりすることもあります。
しかし、毎回そのような暴力や暴言で物事を解決していると、子どもはそれが当たり前だと思うようになってしまいます。そして、入園や入学をした際に、何か気に入らないことがあったときには、暴言や暴力で解決しようとしてしまうのです。
そういう子どもには、相手を思いやったり人を尊重したりするという経験がないため、暴言や暴力以外ではどのように人と付き合ったらいいのか、わからないのです。
2.親が子どもに対して過保護、過干渉
親とのコミュニケーションが十分でないまま成長した子どもは、その寂しさからいじめっ子になりやすいともいわれています。
しかしその逆に過保護や過干渉で育った子どももまた、いじめっ子になる傾向があります。なぜならば、子どものことを心配するあまりに親が何でも先に先にとしてしまうからです。
親がすべてをしてしまうと、次のような問題点が発生します。それは、
- 親がすべてをすることで子どもの我慢や忍耐力が育たず、すべてが自分の思う通りになるわけではない幼稚園や小学校の集団で怒りが我慢できなくなる。
- 何でも親がしてしまうことによって親の価値観が押し付けられることになり、ストレスを感じている。
という2点です。この心理状態には、いじめを誘発する可能性があるのです。
価値観の押し付けは過保護や過干渉以外にもあります。例えば、学歴などにコンプレックスを抱いている親は、学歴があればもっと豊かな人生が送れるはずだと思い、子どもに対して「もっと勉強していい学校に行きなさい」といいます。
親は子どものことを思ってこのように言うのですが、子どもには子どもの人生があります。特に現代においては、いい学校に行けば本当に豊かな人生が送れるかどうか、不確実な時代でもあります。
もちろん、これらの発言も勉強が好きだという子どもの個性を理解したうえならまだいいのですが、単に親の身代わりとして親の価値観だけをただ押し付けているならば、あまり感心できません。
子どもにとっては親は絶対的な存在ですので、子どもは親に認められたいがために自分の意思を無視して親の言うままに従おうとします。そして本当の自分の気持ちとのギャップに疲れ、次第にストレスを感じはじめるのです。
このようなストレスがいじめに発展することもあります。
3.親が子どもに対して支配的、縛り付けている
親が子どもに対して「~してはいけない」「~するべきだ」と、意識の面で縛りつけることもあります。
本当に、人として大切なこと(他人を傷つけたり、ものを盗んだりしてはいけないなど)を教えることは必要ですが、大人の価値観で子どもの好奇心や欲求をことごとく否定し禁止してしまうと子どもの不満やストレスは高まり、外で発散しようとします。
・これは危険だからしてはいけない
・世間はこうだからこうしなければいけない
と何でも禁止せず、子どもの好奇心を満たしながら育てていくことが大切です。
4.何かと比較する場面が多い
また、兄弟や姉妹と常に比較されながら育ってきた子どもも、いじめに走りやすいといわれています。
多くの場合、比べられることで常に劣等感を抱くことになります。この劣等感は子どもにとっては重圧です。そして、この感覚から抜け出すために他人と比べて優位に立とうとしていじめに走るという見方です。
人は、それぞれにすばらしい部分を持っています。学力や運動能力だけで子どもを見るのではなく、その全体像としての価値を認めることが子どもの成長には欠かせません。
子どもの良いところをきちんと見つめ、親として温かく接していくことが大切です。