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“いじめアラート” こどもを危険から守るエースチャイルド

「もし、自分の子どもがいじめられていたらどうしよう」「知らぬ間にSNSで出会い系や犯罪に巻き込まれているかも」ーー。こうした不安を抱いたことがある親は多いのではないだろうか。子どもがスマートフォンSNSを使うことが当たり前になった現代において、誰しもがこうしたトラブルに遭ってしまうリスクを抱えている。

 そんな、インターネット上にはびこる危険から子どもを守ることをミッションとしているのがエースチャイルドだ。同社では、子どものSNSのメッセージ内容などをプライバシーに配慮した上で分析し、危険な単語などが含まれていた場合に、親にアラートで伝える「Filii(フィリー)」を運営している。

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こどもセキュリティ「Filii(フィリー)」

 Filiiは、子どもを監視するのではなく、あくまでも見守り、必要に応じて親子の会話を促すためのサービス。月額400円で家庭のスマートフォンを3台まで登録でき、2013年10月のサービス開始から5年間で約1万5000世帯に導入されているという。また、日本PTA全国協議会や、全国学習塾協会(JJA)、全国学習塾協同組合(AJC)などが同サービスを推奨しているほか、「UQ mobile」や「イオンモバイル」では、子ども向けの見守りサービスとしてFiliiをオプション提供している。

 「SNSというクローズドな環境では、外からやりとりが見えないので(いじめられていても)手が出せない。しかし、情報をまったく得られないわけではないので、われわれがその仕組みを作った。ようやく2017年ごろから、クローズドな環境での問題対策が議論され始めてきた。その流れを受け、教育委員会などでも教員や総務省文科省の方などにご紹介いただけるようになり、サービスの認知が少しずつ広がっている」と、エースチャイルド代表取締役CEOの西谷雅史氏は話す。

エースチャイルド代表取締役CEO&Founderの西谷雅史氏(右)と同社エデュケーショナル・ストラテジストの飯島淳氏(左)
エースチャイルド代表取締役CEO&Founderの西谷雅史氏(右)と同社エデュケーショナル・ストラテジストの飯島淳氏(左)

Filiiで使える4つの機能--危険度アラートや繋がり分析

 Filiiの機能は大きく4つある。1つ目が「アラートリスト・アラート検索」。子どものSNSでの投稿やダイレクトメッセージを分析して、危険が検知されると親のスマートフォンやPCにアラートがいく仕組みだ。通知内容は、問題が起きた発生日時や、やり取りをしている相手、やりとりの危険度(高、中、低)、「謝れ」「バカ」といった単語などで、もちろん会話の内容自体を見られるわけではない。対応SNSは、LINE、TwitterFacebook、Messenger、カカオトーク、SNOW、Instagram

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「アラートリスト・アラート検索」

 2つ目が「アクティビティ分析」。子どものSNS上での活動内容を分析した結果を、グラフなどで視覚的に把握できる。たとえば、どの時間帯にTwitterをよく使っているかといった傾向や、どのアプリや機能をどれくらいの時間使っているかといった使用頻度などを把握できる。

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3つ目が「つながり分析」。子どもがSNSやチャットアプリなどでどんな人物とつながりを持ち、誰と仲が良いのかといったことを確認できる。たとえば、Twitterなら相手のフォロー・フォロワー数、LINEなら合計のやり取り回数と、やり取り人数といった具合だ。そして、4つ目は「通知履歴」。これは先の3つと違い子ども向けの機能だ。Filiiがどの会話内容を分析したかを子どもが自ら確認できる。

「つながり分析」
「つながり分析」

 同社によれば、SNSの会話内容は、スマートフォンにプッシュ通知されるメッセージを活用しており、アプリの利用頻度やタイミングなどはOS情報から取得しているという。ただし、AndroidiPhoneでは取得できるOS情報が異なるため、現在はAndroidの方がより正確に状況を把握できるとのこと。AIによって会話の文脈も考慮しており、たとえば「野菜が嫌い」というやりとりなどは対象から外れるように分析する。また、新たに生まれた単語などを検知漏れしないように、日々メンテナンスを欠かさないという。

 なお、一度スマートフォンを買い与えたあとに、子どもの端末にFiliiのアプリを入れようとすると、「監視するのか」と反発されてしまうことが多いという。そのため、小中学生にスマートフォンを買い与えるタイミングと同時に、ルール作りの一貫としてFiliiを導入する親子が多いそうだ。現在の利用者は小学生と中学生が5割ずつ。また、高校生になると“みんなと同じ”ことを重視してiPhoneを持ちたがる子どもが増えるが、小中学生の時には親からAndroid端末を与えられることも多く、iPhoneよりもAndroid利用者が多いという。

 同社では今後もFiliiの機能アップデートを予定しており、子どものスマートフォン利用の良い点のフィードバックや、ネット・スマホ依存アラート、チェーンメールやバトンの検知、YouTube視聴内容の把握なども可能にしたいとしている。

子どもから相談を受けたい自治体を支援する「つながる相談」

 Filiiに続く2つ目の柱として、同社が2018年3月から提供しているのが、マルチSNS相談窓口プラットフォーム「つながる相談」。LINEやTwitterなどのSNSで、子どもからの相談を受け付けたい自治体・団体・企業などをサポートするサービスだ。すでに、厚労省福島県、北海道、鳥取県和歌山市などのSNSで活用されており、2018年度内もさらなる利用拡大が予定されているという。

「つながる相談」
「つながる相談」

 LINE社は2017年9月に2週間にわたり、LINE相談専用アカウント経由で長野県内の中高生約12万人から悩み相談を受け付けたところ、前年度1年間の電話相談約260件を大きく上回る約1580件のアクセスがあり、そのうちの3分の1に当たる約550件の相談に乗ることができたという。この結果を受けて、各自治体がSNSによる悩み相談窓口を設けようとしているが、経験が浅く運用ノウハウや管理スキルがない自治体も少なくない。そこをエースチャイルドが支援するという。

スマートフォンだと顔も声も知られないので、面談や電話と比べるとハードルが一気に下がる。また、リビング以外でのスマートフォン利用を禁止している家庭もあるので、リビングで友だちとLINEをしているフリをしながら、悩みを相談できることも重要」(西谷氏)。

 つながる相談は、ウェブサイトやパンフレットのQRコードから、各自治体のいじめ・悩み相談のSNSアカウントをフォローした子どもから寄せられた意見や相談を、一元管理して対応できるプラットフォーム。どのような相談がきていて、どの担当者が対応しているのかを把握できる。共通のシステムで入力・返信できるため、相談員がSNSを意識せずに使えることも特徴。LINEやTwitterFacebookなどに対応しているほか、留学生の相談にも応えるためにWeChatへの対応を進めているという。

相談員の専用画面
相談員の専用画面

 サービスの仕組みはこうだ。各自治体は相談員の数にあわせて回線数を設定し、その数を超える相談があった際には、混雑中であることを伝えて、先に悩みのアンケートに答えてもらうように誘導する。待ち時間に、診断テストやチェックリストで自己の状況を認識してもらい、それでも自己解決が難しい子どもとは、問題点が整理された状態で相談員がSNS相談にのる。また、順番待ちの子どもの回答や書き込み内容などから、緊急性の高い悩みは優先して対応する。

 「相談の窓口に勇気を出して連絡したのに、スルーされたり、ずっと待たされたりしてしまったら、二度目の連絡は来ないかもしれない。このシステムなら、緊急なものにはすぐに対応できる」と、中学校と高校で教員の経験を持ち、教育委員会にも所属したことのある、同社のエデュケーショナル・ストラテジストである飯島淳氏は話す。

「つながる相談」の仕組み。カウンセラーの意見を反映しているという
「つながる相談」の仕組み。カウンセラーの意見を反映しているという

 子どもたちから寄せられる相談内容は、各自治体が設ける窓口によってさまざま。「友だちとうまく話せない」といった整理できない心のモヤモヤを伝えるようなものから、「教科書を破られた」といった具体的ないじめの内容を伝えるもの、「今からに死にます」など緊急性のあるものまで幅広いという。

 同社ではシステム提供だけでなく、相談を受ける体制の構築も支援している。臨床心理士精神保健福祉士で構成されるチームによって現地の相談員を育成し、地元の人々の知見を生かして子どもが相談しやすい窓口を設けるパターンと、SNS相談を請け負っている団体を紹介するパターンのいずれかによって、SNS相談を受ける体制を作る。各学校の温度感などを地元の教育委員会とすり合わせながら決めているという。

ネットの使い方の啓蒙活動やプログラミング授業も

 同社では、この2つのサービス以外にも、子どもの感性を育てたり、安全に暮らすための取り組みを進めているという。

たとえば、「つながる世界の歩き方」というオウンドメディアを運営しており、安全なインターネット利用や最新の技術の理解を深められるような情報を発信している。大阪大学の心理学研究室や、インターネット協会などから寄稿を受けているほか、子育て世代からの育児情報も含めた、低年齢でのスマホ利用についての情報も発信しているという。

オウンドメディア「つながる世界の歩き方」
オウンドメディア「つながる世界の歩き方」

 また、プログラミング教育を中心とした授業や教材づくりにも取り組んでいる。現在、特定の公立学校のニーズをもとに、「VOCALOID for Education(初音ミク)」を利用した“プログラミング×音楽”の授業や、「Minecraft Education Edition」を利用した“プログラミング×社会“の授業などを企画中。そのほか、LINEを活用した英会話や英検などの学習プラットフォームの開発なども進めているという。

 「教員はものすごく忙しく、情報モラル教育やプログラミングまで手が回らない。そこで、われわれが学校とともに授業を作っていきたい。将来的には、塾などより幅広い団体と一緒に、子どもたちの将来をテクノロジによって支えていきたい」(西谷氏)。