道徳の授業で差別いじめ
兵庫県姫路市四郷町で太鼓製作を手掛ける杉本大士さん(41)がこのほど、市立広嶺中学校(同市峰南町)の人権講演会で職業差別について自身の体験を語った。小学生時代に皮革を扱う家業のことでいじめを受けた杉本さんは「差別は見えにくくなっただけで、無くなってはいない。若い世代が、差別をする大人たちに間違っていると伝えてほしい」と生徒らに呼び掛けた。
杉本さんは滋賀県にルーツを持ち、300年以上続く「太鼓屋六右衛門」の18代目。小学5年生の時に皮革産業を扱う道徳の授業があり、教員の発言で父親が太鼓の革を作る仕事だと分かると、そこから同級生によるいじめが始まった。「汚い」「臭い」などと言われたり、持ち物が盗まれたりし、次第に友人が離れていったという。
「仲の良かった友達の家に行くと、母親に『皮を触っている家の子と遊んで欲しくない』と追い出された」。いじめの背景には親たちの差別感情があった。
杉本さんは「今では家族を持って幸せになれたが、自分の子が同じ目に遭うと思うと怖い。だから皆に差別について知ってもらい、僕のような経験をする人が増えないよう助けてほしい。皆の力が必要です」と訴えた。