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自殺のサイン! 「言えないことは身体が語る」

夏休みが終わる前後に増える子どもの自殺。

我が子を自殺で失った遺族らがいじめや学校事故を防ぐために情報発信している一般社団法人「ここから未来」(代表理事大貫隆志氏)が8月18日、シンポジウム「夏休み明けの子どもの異変に備える」を川崎市で開いた。

どうしたら子どもが追い詰められているサインに気づき、助けることができるのか。

夏休みも残り少なくなった今の時期、同法人の理事で子どもの自殺対策にも広く関わっている教育評論家の武田さち子さんが紹介したいじめや自殺のサインをもとに、それぞれができることを考えたい。

子どもの自殺は増えている しかも9月1日前後だけではない

いじめなどによって自殺した子どもの遺族からの聞き取り調査を元に、いじめや自殺を防ぐための発信を続けている武田さん。

「2013年9月にいじめ防止対策推進法ができましたが、残念ながら法律ができてからも、いじめも不登校も子どもの自殺もなくなるどころかむしろ増えています」と話し、

文部科学省のデータで法律ができる前後の4年間を比較すると、小中高校生のいじめが原因と思われる自殺は23件だったのが34件と増加し、小中高校生の自殺全数も793人から942件と増えていることを示した。

また、夏休み明け前後に自殺が増える「9月1日問題」について、2013年までの42年間の厚生労働省の人口動態統計から18歳以下の自殺を日付別に分析した結果では、9月1日前後が突出し、次に春休み明けが多いことを紹介した。

ただ、武田さんが防止法成立後に子どもの自殺や自殺未遂で「第三者委員会」が設置された96件を日にち別に独自に分析したところ、多かったのは8月、9月ではなく、11月だったことを示した。

「8月、9月にだけ注目して自殺対策をとっても子どもの自殺は防げないということが言えるのではないでしょうか。いつどこで子どもが亡くなってもおかしくない状況だということを心に刻んでいただきたいと思います」

そして、11月に次いで多かった8月の10件のうち3件は教師の指導がきっかけで自殺した「指導死」だったことも明らかにした。

「背景に、教師の多忙化や評価制度によるストレス、効率的な児童生徒管理が促進されていることが影響しています。特に最近では学力テストによる学校間の競争が激化している影響で評価に関する指導が増えているようだ」として、教師のストレスが、子どもの自殺に与えている影響を指摘した。

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大人が子どものサインに気づくことが大事

武田さんが遺族らへの聞き取り調査などを元にまとめた、子どもの自殺のサインが以下の表だ。

「子どもたちの世界では大人にいじめを相談することを『仲間を裏切る行為』『チクる』と言って嫌われる行為であるという感覚がある。報復の心配もあります。先生からの暴力行為について誰かに相談したくても自分の言うことを信じてもらえるか心配することもある」

武田さんが、誰かにいじめを打ち明けることができた子どもたちにその理由を聞くと、共通する答えが返ってくるそうだ。

「『言われなくても気が付いてくれた。だからいじめを打ち明けることができた』というのです。先生や両親が『どうしたの? 何か心配事あるんじゃない?』と声をかけてくれて、そのことに勇気を得て話すことができたということでした。大人が子どものサインに気がつくということはとても大事なことです」

そして、この夏休み期間中、ネットなどで死ぬ方法を検索したり、具体的な計画を立てている子もいるという。

武田さんが第三者委員会の委員を務めていた東京・足立区の中学3年生の男子生徒の自殺例では10月下旬に亡くなったが、散らかっていた部屋を片付けるなど準備は夏休みの間に行っていた。

「言えないことは身体が語る」

また、自殺した子どもたちに共通していたのは「原因不明の体調不良」だった。

「足立区の男子生徒の場合は薬が効かないほどの激しい頭痛がありました。自殺に至る前、多くの子どもたちに頭痛や腹痛、発熱、下痢、食欲不振などの症状が見られます。しかも本人や保護者が受診を必要と感じるほど激しい症状がありました」

「原因不明の体調不良が2週間続いたら、医療機関、それも思春期外来や心療内科などを受診した方が良いと思います。これらはうつ病のサインとも共通します。ただ専門医でも見抜けないことがある。足立区の生徒も受診しましたが、『思春期に偏頭痛はよくあること』と言われたそうです」

いじめや自殺のサインは思春期に特有の体調不良と見分けるのが難しい。

「そのほかに摂食障害なども思春期によくあることとして薬を出しておしまいということがあります。専門医であっても患者本人が思い当たる原因について話そうとしなければ、本当の原因を知ることができないのが現実です」

「『言葉にできないことは体が語る』。カウンセラーの内田良子さんの言葉です。体は正直です。いじめや心配事を否定する言葉よりも、顔色は悪くないか、食欲はあるか、夜は眠れているかなどをチェックしてください。体調不良は生命維持に危険を感じた肉体からの警鐘かもしれません」

もう一つ、自殺した子どもたちに共通していたのは「視線恐怖症」だという。

「遺族から同じような話をいつも聞くなと思って臨床心理士の人に話すと、『それは視線恐怖症だろう』と教えていただきました。実際にはフードを被って外出する、外出や人混みを怖がる、外出した際、周囲を非常に気にするという形で現れることがあります」

「最初はいじめている子に会うのが怖くてそうしているのかと思いましたが、常に強い不安に晒されている人間の心因性の症状としてこのようなことがあるそうです」

最後の手段と思いつめている「回避行動」を取り上げてはいけない

さらに、自分を守るための回避行動(逃げる行動)が共通して見られるサインだ。学校や部活に行きたがらない、親に黙ってサボる、宿泊行事に参加したがらないことなどが挙げられる。

「大人の目が届きにくく、他に逃れようのない宿泊先で自分がどのような目に遭うか子どもたちにはわかっているのだと思います。しかし、なぜ行きたくないのか話すには自分がいじめられていること、暴力を振るわれていることを明かさなければいけません」

「それができない子どもたちは理由を言いたがらなかったり、違う理由をわざとこじつけて言ったりします。大人たちは『こんな理由ぐらいで行かないなんてわがままだ』と感じ、子どものギリギリの選択肢を取り上げてしまうことがある。子どもが理由を言えない時には、より深刻な状態にあるのかもしれないと思ってください」

武田さんがいじめホットラインで相談を受け、「お子さんはかなり追い詰められているのではないですか?」と尋ねると、多くの親は「いや、うちのはそんなに深刻ではないんです。今も親しい友達が来て遊んでいます。なんたってうちの子は明るい性格ですからそんな死ぬなんて」と否定するという。

「でも亡くなった子どももそうでした。最後の最後まで親の前では必死に演技をしていました。親にもし自分が死にたいと思っていることがバレたら、視野狭窄に陥る中で、自分が唯一の解決方法だと思っている手段を取り上げられてしまうからです」

「中には、これで明日からいじめられずに済むとホッとしてかえって明るく見える子どももいるでしょう。人生の最後に楽しい思い出を残したかったのかもしれません。『いつもよりかえって明るく見えた』という話を何人ものご遺族からお聞きしました。中には反抗期だった息子が亡くなる前、急にお母さんに優しくなったこともありました」

「死ぬ」「死にたい」は重要な自殺のサイン

武田さんが「自殺の可能性もある要注意サイン」として自身の著書『わが子をいじめから守る10カ条』(WAVE出版)で示しているのが以下の表だ。

【自殺のきっかけとなるできごと】
深刻ないじめを打ち明けた直後
暴行された直後
自殺未遂した時、繰り返している時
長期休み明け直前や行事の前後
自殺報道がある時
身近な人の死
家出(家出中、帰宅後も)
教師や保護者に理不尽な叱責や対応をされた直後

【注意すべき言動】
幻聴、幻覚を訴える
他人の視線を気にする(視線恐怖症
うつ状態うつ病
原因不明の体調不良(特に発熱、胃痛、腹痛など)
落ち込んでいたのが立ち直り始めた時
アルバムを引っ張り出したり、昔の思い出話をしたりする
「死ぬ」「死にたい」「私は死なない」など「死」について話題にする
大切にしていたものを惜しみなく人にあげる
いらないものを処分して部屋をきれいにしている
反抗的だった態度が急に優しくなる
LINEやTwitter、PCやスマホのデータを消す

「自殺の可能性のある重要なサインとして家出をする、自殺をほのめかす、自殺未遂をするというものがあります。『死ぬ死ぬというやつに限って死んだ試しはない』とよく言われますが、それは嘘です。子どもに限らず、大人でも自殺した人の多くは、周囲に『死ぬ』『死にたい』と言いますし、子どもの中には『私は死なない』と親に言っていた子もいました」

「『死ぬ』『死にたい』は『死ぬほど苦しい、助けて』という重要なサインだということを忘れないでください」

また、自殺未遂をした人はその日のうちか1ヶ月以内に再び試みて亡くなるケースもあるという。

「親は子どもが自殺未遂をして帰ってくるとホッとします。もう二度としないだろう、本気ではなかったのだろうと思ったりします。でもその日のうちに、あるいはいったん気持ちがおさまって合宿に行かせた先で自殺をすることもあります。家出中や家出から戻った時に自殺することもあります。大人がホッとした時がむしろ子どもの危機であることを覚えておいてください」

自殺の危機が高まった子どもには「TALK」の原則

もしも子どものいじめがあることがわかったら、親ができることは何だろう。

まず武田さんは「客観的な情報を集めて学校に相談すること」を勧める。

いじめで自殺した子どもの多くで、学校などに情報が共有されていなかったということが共通していた。

「いじめ防止法で学校にはいじめから子どもを守る義務が書かれています。学校に相談する時は担任に相談するだけではなく、(各学校に作ることが法律で義務付けられている)いじめ防止対策チームも関わっていただくように相談してください。最低、どの先生がチームのメンバーなのか確認してください」

そして、自殺の危機が高まった子どもに対しては「TALKの原則」で対応することを勧めている。

Tell  言葉に出して心配していることを伝える
Ask 「死にたい」という気持ちについて、率直に尋ねる
Listen 絶望的な気持ちを傾聴する
Keep safe 安全を確保する

「子どもが否定したとしても、直感を信じて、もうひと押ししてください。『あなたのことを大事に思っている。悩んでいることがあればいつでも打ち明けてほしい』『一緒に考えよう』と伝えてください。そのひと押しが子どもの命を救うかもしれません」

遺族「いつでも子どもは死んでしまう可能性がある」

2010年に当時中学校3年生だった次男の真矢さんを自殺で失った母親で、同法人理事の篠原真紀さん(53)は、武田さんの講演について、こう自身の経験を重ね合わせた。

「武田さんの話は改めて聞くと本当にその通りだなと思いました。真矢のあの時の言葉、あの時の態度、あの時の様子が本当に点と点が線につながってしまって、親として本当に気づいてあげられなくてごめんねという思いで胸に刺さるものがありました」

そして、夏休み明けだけでなく、11月にも子どもの自死が多いという分析について驚きの言葉と共にこう訴えた。

「裏を返せばいつでも子どもは死んでしまう可能性があるんだなと思いました。夏休みが終わって秋になれば安心というのではなくて、子どもの変化や様子の変わりようをいつも見てなくてはいけない。そうしなくては子どもを救えない時代になってしまったのかなという思いがありました」

 

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