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いじめ、不登校の経験を糧に14歳が「表現の場」企画

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学校現場でいじめや不登校が後を絶たない中、子どもたちが自由な発想で自らを表現しながら交流するイベントが今夏、福岡市で開かれる。企画したのは、福岡市南区の中学3年中井健翔(けんと)さん(14)。自身も不登校の中井さんは「普段、感情を表に出すことが苦手な子どもらの表現の場が増えることで、みんな幸せになってほしい」と願う。

「感情を表に出し、幸せに」

 中井さんは脳性まひで足に障害がある。小学生のころ、同級生は足の障害をからかい、金銭を要求。階段から突き落とされてけがをしたこともあった。

 「この足がなかったら、いじめはなくなるかな」。収まる気配のないいじめに5年生の1学期、自宅で握りしめたのこぎりを足に当てて刃を引いた。軽傷だったが、その日から不登校になった。

 なぜ人は他人をいじめるのか-。いじめる側に立って考えた。「塾通いなどで抑圧され、ため込んだストレスが元凶かもしれない」。そんなことを想像しながら一冊の絵本を作った。

 1人の少女が部屋に閉じ込められ、毎食、同じスパゲティを与えられる。食後に「おいしかったか」と問われるが、返事のボタンには「イエス」しかない。「おいしくない」「他のものを食べたい」とは主張できない。そこで、少女は「ノー」というボタンを作って自らの気持ちを表現、部屋から解放される-という物語だ。

 母親の通うワークショップで絵本を披露したところ、来場者から「面白いね」「感動した」などと褒められた。「初めて自分が肯定された気がした。マイナスだった心がプラスになった」。そして、子どもがもっと自由に表現できる場の必要性にも気付いた。

 中井さんの日常は、自宅で在籍校から届けられる宿題をしたり、パソコンで映像を制作したり。通信制の高校や大学に進学するつもりで、学習は欠かさない。ただ「学校に行ってない分、学校で出会えないような人と話してみたい」との気持ちがあり、ビジネスマンや主婦たちが夢を語る異業種交流会やお笑い芸人の講演会に参加、面白そうと思ったら声を掛けた。その中で知り合った人たちにイベント開催の夢を実現する方法を教えてもらった。

 昨夏、賛同者を募り手探りの中で「こどもばんぱく」を初めて企画した。子どもによる、子どものためのイベント。人が集まるか不安だったが、会員制交流サイト(SNS)などで情報が拡散、当日会場を埋めた千人以上の来場者に鳥肌が立った。「子どもの力ってすごいんだと思った」

 2回目となる今回、子どもたちでつくる運営メンバーは昨年の3倍の60人に増え、内容も充実させた。不登校の小学生も加わっている。中井さんにはイベントを全国に広げたいという目標がある。「来年は音楽フェスティバルも企画している。いろんな経験を積みながら、将来は大人も子どもも幸せにするような仕事に携わりたい」。14歳のイベンターの挑戦は続く。

ネットや企業訪問で300万円 運営費集めも自分の手で

 2千人以上の来場が見込まれる本格イベントの開催に当たり、企画した中井健翔さんは、周囲の助言を受けながら会場の設定や資金集め、タレントの出演交渉など自ら奔走した。

 普通の中学生にとって、とりわけ高い壁が運営費だ。中井さんはインターネット上で寄付を募るクラウドファンディングを活用、企業からの協賛金を含め300万円以上を集めた。クラウドファンディングの専用サイトには動画や画像を多く使って自らのいじめ体験やイベントの目的、大人へのメッセージなどを紹介。3月に募集を始め、1カ月半で312人から163万円を集めた。

 協賛金は、応援してくれる人を介して企業を直接訪問。協賛へのメリットを書いた企画書を提示するなどして12社から快諾を得た。

 助言者の一人で、プログラミング教室の経営者近藤悟さん(29)は「健翔君は人を共感させる力が高い。だから多くの支援が集まったのだと思う」。協賛した西日本シティ銀行(福岡市)の谷川浩道頭取は「大きな事を自ら企画し、人を動かせる人間は珍しい。将来に期待ができる」とエールを送った。