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「インスタいじめ」多発の実態…「いいね」欲しさで過激化

Instagramはあいかわらず若い女性を中心に高い人気を誇っているが、同時にさまざまな問題が起きていることをご存知だろうか。Instagramで起きている問題の現状と対策について解説したい。

いじめを減らし心身を護る2つの機能
 実はInstagramでは、いじめが多数起きている。10代を対象とした英国のいじめ防止団体Ditch The Labelの2017年の調査によると、同年のネットいじめがもっとも多いサイトは、1位がInstagramであり、僅差でFacebookが2位だった。

Instagramでいじめ」と聞くと違和感を感じるかもしれないが、Instagramが女子の間のメインコミュニケーションツールとなりつつあることを考えると不思議ではない。日本でも、加害者がストーリーズに同級生などを暴行するなどのいじめ行為を投稿し、Twitterなどに転載されて炎上する事例が起きている。

 被害者の写真を使ってなりすまし、アカウントをつくるいじめも起きている。「喫煙や飲酒をしている風の写真を投稿されて、高校で問題になりかけたことがある」という話を聞いた。自分のアカウントではなく合成写真だったので、それ以上は問題にならなかったが、非常に嫌な思いをしたそうだ。

 そこで、Instagramではいじめを防ぐための機能を2つ追加することを発表している。ひとつ目は、他人を傷つける可能性があるコメントをAIが特定し、事前に通知して考え直させる機能だ。通知によってユーザーの一部は、コメントを取り消したり、やわらかい表現に変えたりすることがわかっているという。

 これは、「Rethink」を思い出させる。2013年、13歳の少女Trisha Prabhu(トリーシャ・ブラブ)さんがネットいじめの実態について憂い、「Rethink」と呼ばれる仕組みを考えた。「本当に投稿しますか?」というメッセージを表示するこの仕組みのおかげで、93.4%の若者が投稿を取りやめ、「ネットいじめ」発言をしようとする意欲も71.1%から4.7%にまで減少したという。

 その「Rethink」と呼ばれるソーシャルプラットフォームは革新性を絶賛されたが、Instagramでの新機能はこれとかなり似ている。両者の関連性は明らかではないが、少なくとも高い効果が見込めそうなので期待はできるだろう。

 

ほかにもInstagramでは、いじめの加害者に知られることなく、相手のアカウントのコメントを「投稿者のみに表示」にしたり、相手に対して自分がInstagram上でオンラインであることや、DMを既読したことが表示されなくなる機能も発表している。子どもたちは状況が悪化することを恐れ、加害者をブロックやフォロー解除、報告(通報)したがらないため、このような心を守る機能が生まれたというわけだ。

「いいね」数非表示で競い合いを減らせるか
 Instagramは、若者の精神上、もっとも良くない影響を与えるSNSといわれている。もともとInstagramは、いわゆる「インスタ映え」する写真を投稿する場だ。それゆえ、他人と自分を比較して落ち込んだり、「いいね」数を競い合って依存状態となったり、過激な行動に出たりしがちなことはよく知られている。

 ある女子高校生は、「いいね」がほしいあまりに自撮りの場所がどんどん過激となっていったという。ある時、背景が空のベランダから乗り出した写真を撮ろうとして、危うく落ちかけたそうだ。「ただ自撮りしても『いいね』はそれほど増えない。でも、驚きがある場所で撮れば増えた」という。

 そこで同社は7月から、日本を含む一部の国で投稿の「いいね」数と動画の再生数を非表示にするテストを実施することを発表している。非表示になることで、呪縛が緩和される可能性はあるだろう。

 しかし、「いいね」されると脳内にドーパミンが出て快楽を感じることは指摘されており、それゆえ多くの人は依存状態となっているわけだ。こちらの快楽は減らせるわけではないので、全体としてはどうなるのか、テスト結果の発表を楽しみに待ちたい。

 もともとはきれいな写真を公開したり、閲覧したり、情報を収集して楽しむための場だが、Instagramでも、以上のようにたくさんのトラブルが起きている。周囲の大人は、子どもたちがトラブルを避けながらうまく使いこなせるよう、見守っていってほしい。

(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)