いじめの心理学 どう接するか?
あなたがいじめを知ったら:いじめっ子とは
ネット上でいじめに関するニュースが出ると、コメント欄やSNSは、荒れがちです。いじめっ子に対する罵詈雑言が飛び交います。逮捕しろ! 同じ目に合わせろ! 最低だ! 学校から追い出せ! 親も同罪だ!
しかし、いじめている子を、悪魔のような悪い子として見て罰を与えても、いじめ問題は解決しません。
あなたの子も、もしかしたら「いじめっ子」になるかもしれません。教育現場では、いじめられっ子といじめっ子は、必ずしも分離しているわけではなく、同じ子供がいじめっ子になったり、いじめられっ子になったりもします。
小さい頃は、ちょっと乱暴で、力も強くて、クラスの中ではいじめっ子タイプの子もいます。他の子たちが、いじめられっ子です。ところが、少し大きくなると周囲も強くなってきます。
もういじめっ子の言いなりにはなりません。クラスのみんなが、かつてのいじめっ子を嫌い、排除しようとします。誰も同じグループになろうとしません。
この状態だけを見れば、この一人がいじめられっ子で、他のみんなんがいじめっ子に見えます。大人が気づき、介入するタイミング次第で、いじめっ子といじめられっ子が入れ替わることすらあるのです。
いじめっ子グループの中で、新たないじめが起きることもあります。いじめっ子グループの一員でいじめを行っていたのですが、そのグループ内で、その子がいじめられることがあります。この子は、いじめっ子であり同時にいじめられっ子です。
ある子は、悪い子ではないのですが、気の弱いタイプでした。いじめっ子グループに声をかけられ、いじめを行っている間の見張り役をさせられました。特に暴力で脅されたわけではありません。
ここでいじめが発覚すれば、この気弱な子もいじめっ子の一人です。
昭和のマンガでは、ジャイアンタイプがいじめっ子で、のび太タイプがいじめられっ子です。しずかちゃんや出来過ぎくんは、いじめを止める側でしょう。しかし現代では、どのタイプの子もいじめの被害者になります。
クラスみんなで誰かを無視するなどのいじめが起きた時には、どのタイプの子も、クラス全体には逆えず、いじめっ子になってしまうこともあります。
いじめっ子を断罪するだけでは、問題は解決しません。